二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

29 / 177
 何とかいつもよりは早く出来ました……それと、先日ランキング入りしたのに気がつきました。
 やはりこう言った結果が残るのは大変、嬉しいものですね。これからも頑張って執筆して行きますので宜しくお願いいたします。


29話 一触即発?ラウラとゾフィー

「……嫌だ、お前と戦う理由がねえよ」

 

 ラウラに勝負を挑まれた一夏は、そう言うと首を降って断った。しかしラウラは全く殺気を緩めず、いや、それどころかむしろ更に強く一夏を睨み付ける。

 

「貴様には無くても私にはある……そもそも貴様がいなければ教官はモンド・グロッソで……っ」

 

 そこが怒りの沸点だったようで、ラウラははっきりとした怒りの表情を見せ一夏にそう怒鳴る。

 

「(モンド・グロッソ、第二回IS世界大会か……確かあの大会で、大会二連覇がかかっていた織斑先生が突如棄権し騒動になっていたな……)」

 

 そんな二人の様子を注意深く観察しながら、慎吾はラウラの発した言葉から静かにその真意を読み取ろうと試みていた。

 

「(詳しい事はまだ分からないが、どうやら織斑先生の棄権の理由には一夏が関わっているのは間違いないようだな……。そして恐らくボーデヴィッヒはその真相を知っていてそれが気に入らない。話し合いで済ませるのは厳しそうだな……)」

 

 そう判断した慎吾は二人から視線を外さず、しかしラウラには気付かれぬよう以前、休日の際にヒカリから『非常用』として貰った装備をいつでも出せるよう密かに準備した。

 

「……やっぱ、断る。また今度な」

 

 と、そこで黙ってラウラの話を聞いていた一夏はそう口にすると改めて勝負をきっぱりと拒否した。

 

「ほぅ……そうか、ならば」

 

 一夏の返事を聞くと、ラウラは僅かに吊り上げていた口角を緩め。

 

「無理矢理にでも戦わせてやろうっ!」

 

 次の瞬間、ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンが戦闘状態にシフトし、同時に一夏が白式を展開させる。そして、全く同じタイミングで信吾もまた動いた。

 

 直後、レーゲンの左肩に装備された大型の実弾砲が一夏の白式を狙って発射された。が

 

「ぜやっ!!」

 

 その攻撃は白式に届くより先に、エネルギーを回復させたゾフィーが庇うように前に飛び出し、胸を張るような構えで迫り来る砲撃を胸部で受けると、そのまま何事も無かったかのように防いでしまった。しかも、驚くべき事に攻撃が直撃したのにも関わらずゾフィーはタイマーこそ点滅していれどダメージを受けた様子が見た目にも数値にも全く無かったのだ。 

 

「何っ……!?」

 

 完全に予想外の方法で自身の一撃を止められたラウラは思わず驚愕の声を上げた。

 

「ボーデヴィッヒよ、お前の事情は私には分からんが……今日、この場は引いてはくれないか?」

 

 そんなラウラに対して慎吾は構えを崩し、落ち着かせるような緩やかな口調でそっと話しかけた。

 

「舐めるな、たたが一発防いだ程度でいい気になるなよ……!」

 

 が、ラウラは信吾を睨みながらそう言うと、今度は砲の狙いをゾフィーに移す。

 

「くっ……!」

 

 迷うように小さくうめきながら慎吾もまた構え、レーゲンの砲撃を相殺せんとスラッシュ光線を放とうと狙いを付けた。

 

『そこの生徒!一体何をやっている!?』

 

 と、今にも二人が激突しそうであったその時、アリーナ内にスピーカーからの声が鳴り響いた。恐らくはこの騒ぎを聞き付けて来た教師であろう。

 

「ふん……今日は貴様の言う通り引いてやる。だが、これで終わりでは無いぞ……!」

 

 すると、ラウラはそう言って信吾、そして一夏を殺気を込めた視線で睨み付けると、戦闘態勢を解きアリーナゲートへと去っていった。

 

「ふぅ……引いてくれたか。仮に戦闘になっていたら今のシールドエネルギーでは私が負けていただろうな……」

 

 去っていくラウラを見送ると、慎吾はどっと疲れたように膝をついて深く溜め息を付いた。

 

「慎吾!」

 

「慎吾さん、大丈夫ですか!?」

 

 と、そんな慎吾にシャルルと一夏が駆け寄り、それぞれが肩を貸して膝を付いた慎吾を助け起こした。

 

「あぁ……一夏、シャルル私は大丈夫だ。ちょっと疲れてしまっただけさ……」

 

 慎吾はそう言うと二人の肩から放れ、無事を示すように僅かにふらつきながらも立ち上がった。

 

「そういえば慎吾、僕との模擬戦でシールドエネルギーが0になったはずなのに……どうして回復しているの?」

 

 と、そこでふと気付いたようにシャルルが慎吾に尋ねる。そう、確かにゾフィーのシールドエネルギーは先程まで空になった。が、しかし今、ゾフィーのシールドエネルギーは全開までとは行かないが三割ほどが復活しているのだ。

 

「あぁ……これのおかげだ」

 

 そう言うと慎吾はゾフィーの右腕に装着された銀色の十字の中心に穴を開けたような奇妙なブレスレットを一夏とシャルルに見せる。

 

「これは非常用、緊急時にシールドエネルギーが不足している時に、急速にシールドエネルギーを回復するための装備だ。最も……これはまだ試作機らしいがな」

 

 そう言いながら慎吾はふと、この『ウルトラコンバーター・プロト』と名付けられた試作機を『必ず近いうちに、もっとスピーディかつ大幅にエネルギーを回復できる正規版を渡す』とやる気に満ちた真剣な表情で言ったヒカリを思い出し、小さく笑った。

 

「さて、時刻も4時を過ぎたし問題もひとまずは解決した。皆、今日は引き上げるとしよう」

 

 と、そこで慎吾は気を取り直したようにそう言い、皆がそれに賛同したのを確認すると、慎吾と一夏はゲートへと向かおうとした。

 

「あ、そうだシャルル、今日こそ一緒に着替えようぜ!」

 

「えっ?い、一夏!?」

 

 突如、慎吾と共にゲートへと去ろうとしていた一夏が振り返りシャルルにそんな事を提案をシャルルにしてきた。提案をされたシャルルとは言えば一瞬で顔を赤くし混乱していた。

 

「一夏……藪から棒に一体何を言っているんだ?大体、お前は今、シャルルと同室ではないか」

 

 そんな奇妙な状況に耐えかね慎吾は小さく一夏に囁いた。

 

「それがですね慎吾さん……」

 

 慎吾の質問に一夏も小声で返し、こっそりと返事を返して現状を説明した。要約すると、曰く、部屋で二人きりだと急によそよそしくなる。同性同士なのに妙な距離感を感じる。と、何故か必死な様子で一夏は慎吾にそう言ってきた。

 

「ほら……裸の付き合いってあるじゃないですか。それで何とか距離を縮めたくて……」

 

「言いたい事は少しは分かるが……だからと言って一緒に着替えに誘うと言うのは無理があるぞ?」

 

 話を全て聞き終えた慎吾は苦笑しながら、そう一夏をたしなめた。

 

「……ともかく無理じいは良くない。今はシャルルを待ってやれ」

 

「はい………ごめん、シャルルさっきのは無しで」

 

 慎吾の言葉を聞くと少し納得しないようながらも頷いて了承し、シャルルに謝罪すると慎吾と共にゲートに向かって行く。

 

「(あ、危なかったぁ……)」

 

 そんな二人の背中を見送りながらシャルルは内心で深く深く安堵の溜め息を付いたが、それに気付いた人物は誰もいなかった。




 という訳で、今回、ウルトラコンバーター(試作機)を登場させました。正規版はのちのち。
 ウルトラマジックレイは……登場を迷っております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。