二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 完結が近付いてると言うのにどうしてもぐだぐだした展開になってしまい、試行錯誤の日々です……。


173話 二つの戦い

 

「うっ……! ぐっおおおおっっ!!」

 

「ハハハハッ!! 粘るじゃねぇか!! おらぁっ! 次はこいつを食らえ!!」

 

「う……ぐっ……!!」

 

 

 ベリアルの瞬時加速を利用した奇襲に一夏はどうにか反応して雪片でギガバトルナイザーを受け止める。が、それを見越したベリアルは更なる追撃を腕部に装着された不気味な赤色のクローと蹴りで行い、一夏はそれをクローをどうにか弾き飛ばす事で直撃を押さえたものの、その隙間を縫うように放たれたベリアルの蹴りは吸い込まれるように腹部へと叩き込まれ、一夏は大きく後退させられると

共に絶対防御の上からでも響く衝撃に内蔵が圧迫され盛大に悶絶させられた

 

「一夏!!」

 

「大丈夫一夏!?」

 

 徐々にそんな一夏を気遣い、箒とシャルロットが戦闘の最中、ほんの僅かな隙に一夏に呼び掛ける

 

「……気を反らすな! こいつら……他の雑魚とは訳が違うぞ……!!」

 

 そんな二人に対し、ラウラは抗戦する敵から目を反らさず大型レールカノンを撃ち込みながら警告する。が、やはりラウラも一夏の身を案じているのか、その手は戦闘に支障は無い程度ではあるが微かに震え、一夏を案じる気持ちを必死で堪えている事が見て取れた

 

 一転して訪れた一夏の危機に本来ならば、すぐにでもラウラ、シャルロット、箒の三人は助けに向かいたかったし、身体に鞭を打って戦闘を続ける光も見過ごしてはいられなかった

 

 だがしかし

 

『『………………』』

 

 一夏がベリアルと抗戦している間にベリアルがギガバトルナイザーから出したモンスターズの大半は既に4人によって苦もなく蹴散らかされ次々と撃墜されていったものの、残り2機になった所で矢鱈に強い機体が四人を遮って来たのだ

 

「このパワー……機動性……! その上、この装甲……!! こいつらは一体何なんだ!?」

 

 自身の刀と敵機を交互に見つめながら箒は動揺からか額に汗を滲ませながら叫ぶ

 

 箒と光が主に相手をしているのは黒を主体に金色を交える形で塗装され、人型に近い外見こそしてるものの首が無く肩と一体化し。腰部からスラスターらしき円柱状パーツが生えた外見の機体だ。

 その『目』に当たるらしい部分には白銀に輝くバイザーにも似たセンサーが攻めあぐねてる箒と光を睨み付けて、太い両手のうち右手部分に換装されたライフルの銃口を向ける。構えこそ見せないもののこの機体は、どこか横向けにした缶を切ったような形の頭部機レーダーを持つ機体で正確に二人の動きを読み切って致命的となり得る攻撃を正確に回避し、スピードを優先して斬りかかって尚、二人の刃を寄せ付けない程に強固な装甲を武器に要塞の如く立ち塞がる

 

「くっ……おのれっ……!」

 

 一方、ラウラ、シャルロットの二人を同時に相手どっているのは外見で言えば何処か黒いカミキミリムシと人間を合わせたような姿の機体で、此方も両手こそ武器を持たない空手なもののそれがデメリットにならない程、格闘戦に持ち込まれたラウラが競り負ける程の、凄まじいパワーと、シャロットが隙を付いて放ったショットガンの直撃で傷一つ負わない程の装甲を合わせ持ち、ラウラがAICを発動しようとすれば、更には頭部から発射する火球状の砲撃は一発一発が掠めるだけでシールドエネルギーを大きく削りるような馬鹿げているとか思えないような破壊力でジリジリと二人を追い込みつつあった

 

「……今、ようやく分析が終わった。この2機は…以前、学園を襲撃した無人機と機体の基礎データが酷似している。その上……内部にISの物とは異なるだろうが、コアに酷似したエネルギーのシステムを観測した」

 

「何!? そんな馬鹿な! ISコアに匹敵するようなエネルギーシステムだと!? そんな物がそう簡単に……!」

 

 苦しそうに肩で息をしながらも、後衛に回って箒の援護をしつつ分析を続けていた光がそう言うと箒は信じられぬと言うようにそう返す

 

 それも当然の事だ。今、世界各国が躍起になって開発者の束以外は誰も知らぬ、まさに未知に包まれたISのコアを解析して我が物とせんと目論んでいるのにも関わらず、それをいくら強大とは言え一人の犯罪者でしか無い筈のベリアルが酷似したエネルギーシステム二つも所持し、自らの駒として運用して見せているのだ。この事実だけで挑んできた各国の軍隊を返り討ちにしたベリアルの存在に見劣りしない程に世界中が度肝を抜かれるような事態だ

 

「確かに疑問は尽きん。だが……ここで悠長に考えている時間は無いぞ!」

 

 混乱が生じ始めた中、ラウラはそう言うと先陣を切るように箒の隙を付いて奇襲をかけようと腕を伸ばしていたカミキリ虫型の機体の僅かな隙を付いてカウンターのように6機のワイヤーブレードで絡めとった

 

『………………』

 

 拘束されるとカミキリ虫型の機体は攻撃仕掛かっていた動きを僅かに停止させる。が、それもほんの僅かな事で、即座に無造作にワイヤーを掴み取ると、鋼鉄のワイヤーブレードをまるで紙テープのよくにいとも簡単に切り裂き

 

「一気に決めさせて貰うよ! たああぁぁぁっっ!!」

 

 

 その瞬間、背後に接近していたシャルロットのショットガンから零距離射撃での『ラピッド・スイッチ』を使用したショットガンからのマシンガン、トドメにライフル。と短時間で徹底した集中砲火を叩き込まむ

 

『──!ゼ───トォン──』

 

 いかに強固な防御性能を持つ機体でも流石にこの一撃は応えたらしく、奇妙な電信音声を上げると前のめりにつんのめるように倒れ

、大きくバランスを崩した

 

 

「やるな……! ならば私も負けていられるか!」

 

 

 その様子を見て鼓舞されたのか今度は箒が先陣を切って黒と金の機体に再び気合いを入れると雨月と空裂で同時に斬りかかった

 

『──────』

 

 が、当然黙ってその一撃を敵が喰らう筈も無く、太い腕でガッチリとガードをすると雨月の突きを受け止め……

 

「はああああぁぁっっ!!」

 

 その瞬間、箒が紅椿の機体スペックで強引に黒金の機体が完全にガードを決めるより速く刃を押し込んでガードを崩させる

 

「これを……っ!! 受けて……っ!! みろっ!!」

 

そのまま雨月から突きと同時に放たれたレーザーを直撃させると、強引にそのまま同じ部位を狙って近距離で空裂で直接切り付けるの同時に更に吹き飛ばし、空裂から放たれるエネルギー刃を更に同じ部位を狙って命中させる

 

『──!!────』

 

 それは鼓舞される形で放った機体スペックを武器にした強引な力押しではあったが実際、有効だったらしく箒の攻撃により黒金の機体には箒の猛攻により、装甲には大きな亀裂が生まれていた

 

「な、成る程……箒と紅椿は偶然にも助けられただろうがベリアルとの戦いで最も損傷が低い。加えて第四世代と言う規格外……優れた成果を上げてくれるとは思っていたがこれ程とは……な」

 

 その様子を見ながら肩で息をしつつ光は仮面の下で小さく笑う。ラウラやシャルロットと言い、先程までの不利が一夏の危機に気付いた。と、言うだけで一瞬にして覆す仲間達の奮闘が何処から沸いてくるのかと、疑問も感じない事も無かったが、視線を動かしすぐにその答えは理解できた

 

「……やはり君こそが作戦の要。と、言うことは織斑……一夏……」

 

 そこには負傷しても尚、圧倒的実力をベリアルの赤い光を前に、苦戦しながらも息を切らしながらも決して諦めず、ただ前だけを見て戦い続ける1つの白い光があった

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……うおりゃぁぁっっ!!」

 

「ふん、そんな攻撃が……当たるか……っ!!」

 

 肩で息をしながらも再びベリアルに斬りかかる一夏。しかしベリアルはそれを容易くかわすとバトルナイザーを振りかぶり遠心力を乗せて白式の腹部を狙う

 

「ぐあっ…………!!」

 

 あわや直撃……かと思われた一撃だったが、命中する直前に一夏は反転しつつ刀を手元に引き戻す事でバトルナイザーを刀身で受け止め、怯みこそすれどダメージを最小限に抑えることに成功していた

 

「チッ…………」

 

 その様子を見たベリアルは思わず舌打ちをし、決着に至らなかった事に苛立ちを隠せずにいた

 

「(何だ、このガキは……ブリュンヒルデの弟なのは知ってるが、実力は遠く及ばない雑魚だ。……だが、しつこい。何度打ちのめしても向かってきやがる……)」

 

 レイブラッドに遭遇して以来、おおよそ俗世とは切り離させれた生活を送っていたベリアルにはブリュンヒルデ、織斑千冬の殲滅こそが第一目標であり、一人目の男性たる一夏にさしたる興味など無く、この戦いも当初は軽くあしらうつもりだった。だが

 

「まだ……! まだ……っ!!」

 

 一夏は例えベリアルがどんな苛烈の攻撃を仕掛けようと、それをすんでの所で致命打を回避して受け続け、逆にベリアルに当たらずとも果敢に攻撃を仕掛けて決して休まない。当然、その間も白式のシールドエネルギーは減り続けており、ベリアルの勝利は揺るがないだろう。だがしかし、その奮闘が徐々にベリアルの精神を惑わし、苛つかせ冷静さを失わさせていく

 

『いえ……まだやれます……!』

 

『……! ハッハッハッ……! ガキにしてはいい目をしている……!!』

 

「(クソッ……止めろ! 止めろっっ!!)」

 

 だからこそベリアルの脳裏には、とっくに忘れた筈の過去の記憶が甦って来ていた


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