二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 皆様、遅れながらあけましておめでとうございます。未熟ゆえ遅れがちながらも何とか更新を続けて行きますのでどうか、2017年も『二人目の男子はIS学園No.1』をよろしくお願いいたします
 なお、今回も多少のオリジナル設定を含みます。念の為にご注意ください


108話 新たなる光

「箒、楯無会長、それに一夏も私について奴に攻撃を仕掛けてくれ! 時間はあまり残されていない……一気に決着を付けるぞ」

 

 宣言を言い終えた早々、慎吾はそう叫ぶとタイラントへと向かって勢いよく突撃して行く。タイラントとの交戦で負った損傷でゾフィーは今もなお、第二形態への移行は不可能ではあったが、それでも尚、ゾフィーは非常に流星を思わせるような速度でタイラントに向かっていった

 

「はい、慎吾さんっ!!」

 

「分かった!」

 

「はいはい……本当に病み上がりとは思えない行動力ね慎吾くん。……無理はし過ぎないでよ?」

 

 慎吾の言葉に一夏は怪我を負ってるとはいえ、窮地に駆け付けた慎吾の参戦が嬉しいのか先程の慎吾に負けんとばかりに力強く、箒は静かに微笑み事でそれに答え、最後に楯無が困ったように笑いながらそう言うと慎吾と共にタイラントへと向かっていった

 

『Guuu……!!』

 

 ウルトラスラッシュの直撃により大きな怯みを見せ、バランスを失った空中を不安定に舞っていたタイラントではあったが近付いてる慎吾達を捉えた瞬間、素早い動きで即座にバランスを整え同時に鉄球から新たなるワイヤーを、胴体からは大きく伸ばした尾を振り回し迎撃にあたる

 

 

 が、しかし、今この時、一夏と箒、それに楯無に慎吾と言う近接戦闘を得意とする四人の前に本来の力ならばともかく劣化しているその攻撃では驚異では無く

 

「行くぞ一夏!」

 

「はい、慎吾さんっ!!」

 

 瞬間、慎吾と一夏が互いに声を合わせてそれぞれ零落白夜とウルトラスラッシュを同時に迫るタイラントの尾へと叩き込み、尾を切り落として元の半分以下の長さにまで切断した

 

『Gyaaa!?』

 

「隙だらけだ!」

 

「悪いけど……その腕……貰ったわよ!」

 

 尾を切断された事で悲鳴をあげるタイラントではあるが、攻撃はそれでは終わらない。尾を切られた衝撃で怯んだタイラントに畳み掛けるように隙を付いた箒の斬撃がワイヤーを微塵切りにし、更には楯無のランスがタイラントの左腕に突き刺さり、装甲が脆くなっていた事もあって楯無が力を込めて腕に突き刺さったランスに力を込めるとタイラントの左腕は完全に切り落とされ、タイラントは鉄球ごと左腕を失った

 

『ぎッ……Gigiyaaaaaaaaaッッ!!』

 

「まだ……もう一撃!」

 

 腕を失って怯み、悲鳴のような電子音声をあげるタイラントに前に慎吾は決して追撃の手を止めず、タイラントに向かって更に一撃失った腕の隙間をついて中段蹴りを叩き込み、蹴りの勢いでタイラントの装甲の一部を砕きながらタイラントを眼下の小島へと叩き付け、その勢いのまま島奥地へと吹き飛ばした

 

 

「……流石、と言うべきだな。これは」

 

 そんな一連の攻撃をしっかりと見ていた光は思わず感嘆するように呟く。実際に慎吾の合図と共に始まった四人の攻撃には殆ど隙らしい隙がなく、完全にタイラントを追い込んでおり、撃破は目前近くにまで見えていた

 

『Giyaaaaaaaaaッ!!』

 

 と、その時タイラントは残っていた右腕、そして両足を力の限り振り回して自身の回りに張り付くようにして攻撃を仕掛け続ける箒と一夏を無理矢理振り払うと、頭部を光に向ける。見ればその頭部からは紫色の光が収束し、ボロボロの体に更に負担をかけているのか収束部分の一部が融解しながらも、急速にタイラントの頭部は輝きを増し始めていた

 

「……! エネルギーはまだ完全には蓄積されていない。先程のような馬鹿げた破壊力の一撃は放てないはずだが……それを本来の狙いである箒達では無く、俺を狙って撃ってくるか! くっ……」

 

 先程とは異なりフルチャージでは無い熱線がどれほどの破壊力を持つのかは光も正確には判断をしかねるが、本来ならばエネルギー出力向上と防御強化の為に纏ってるアーブギアが激しい損傷で使えず、更に最大の攻撃手段であるナイトブレスが満足に使えないヒカリがまともに受ければ、ただでさえ無理を押し通して出撃しているような今の状況だたちどころにヒカリは大破して砕け、自身も命を失う事はすぐに光は理解できていた

 

「……光っ!」

 

「今、そっちに行きます!」

 

 が、当然そんな光の危機を常日頃から彼女と親しくしている仲間達が放置する筈もない。咄嗟に気付いた箒と一夏が光を救うべく一旦攻撃の手を止め、背後の光の元に向かって動き出した

 

「駄目だ、二人とも戻れ! 今、奴への攻撃の手を緩めてはならない!!」

 

 しかし、光は近付く二人を大声と共に片手を突き出す事で制止し、再び目の前で収束してゆく紫色の光に向き直る。唯一、光を信じて後退しなかった熱線の発射を阻止せんとタイラントへと攻撃を続けていたが、タイラントはそのダメージをも無視して無理矢理に熱線を放とうとエネルギーの収束を続け、輝くは更に増して今にもヒカリ目掛けて発射されそうであった

 

「(具体的な威力や射程距離が不明な以上、あの攻撃を前に俺が取れる手段はただ一つ……完全回避のみ。しかし……それが僅かでも遅れれば……)」

 

 背中からうっすらと流れ始めた冷や汗の感触を感じながら意識を集中させる。丁度その瞬間だった

 

「光! これをナイトブレスに使うんだ!」

 

 楯無と協力してタイラントを取り押さえていた慎吾が片手を突きだしてヒカリに向かって赤く輝く何かを投げ渡したのは

 

「こ、これは……!?」

 

 『それ』は掴んでいたゾフィー手から投げ放たれた瞬間、小さな太陽のような輝きを放ちながら吸い込まれるようにヒカリ、ナイトブレスが装着されている右腕へと飛んで行き、その全体像を見た瞬間、光は目を見開く。

 

 光にとっては、それは自身が最低限の設計図のみを書き上げただけで、完成までの道のりはまだまだ先の机上の理論でしか無かった装備であり、今この場に存在する事など間違ってもあり得る筈の無いもの。それが今ここにあったのだ

 

 

「それが私からケンさんに渡された秘策の一つだ……ケンさんは……『非常事態とは言え、勝手に君のデスクを勝手に見てすまない』だそうだ」

 

 そんな光の疑問に答えるように慎吾が苦笑するのように、しかしどこか自信と誇りを持った口調で答え、それを聞いた光も気付けば自然と笑みを浮かべていた。

 

「そうか……あぁ、そうだな。ケンさんが関わっていると言うのならこんな奇跡としか言えない出来事も納得出来る……」

 

 タイラントの頭部がまばゆいばかりに輝き、まさに今、熱線が放たれんとし、一夏と箒が必死に警告の叫びを光に向ける中、ヒカリは震え一つないほど冷静な心持ちで、たった今、慎吾から受け取った新たなる装備、『赤色のブレスレット』を『青色の』ナイトブレスに重ねる。その瞬間、二つのブレスレットはまるで最初からそうだったかのように合体して、一つのブレスに変わった

 

『Gigigi……Giiiィッ、GYAAアaaaaッッ!!』

 

 

 その瞬間、最初に放った熱線よりは何割か周りの寸尺が細くなってはいたものの、目映いばかりの熱線が無防備なヒカリに目掛けて発射され

 

「はああぁっっ!!」

 

 その熱線は霧を払う風のようなヒカリのブレスから伸びる『巨大な光剣』の一撃で凪ぎ払われた

 

「今度こそ……この限定形態、『ヒカリブレイブ』でタイラントを倒す!!」

 

 ケンがヒカリの設計図を元に造り上げ、慎吾が運んできた装備、『メビウスブレス』の力で通常の第二形態とは全く異なる姿、ヒカリの通常装甲に追加された金色のラインが美しい形態、ヒカリブレイブと変わったヒカリでそう光は力強く宣言した




 メビウス包装中を見て、ずっと思っていたのですが果たして、ISでは無く本当のウルトラマンヒカリもメビウスのメビウスブレスを借りればヒカリブレイブと変われるのでしょうか……?
 今回はあくまでISなので『可能』としましたが、真実が気になる所です

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