鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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投下行きます


避けられない運命

真を含め、魔法少女は非常に危うい存在だ

希望と絶望は差し引きゼロ

魔法少女は希望を抱き契約するが、やがては古いガラス製品のように壊れ絶望を溜め込む

それは人の感情を吸い取る魔獣にとっては生身の人間以上の「ご馳走」に他なかった

だからこそ、魔法少女の多くいる土地に魔獣は現れやすい

魔法少女は魔獣を狩るが、時には魔獣に「狩られる」こともあることを

彼は慣れ過ぎたのだ

仲間が背中を守ってくれている状況に・・・・

 

ドガァァァァッァァァァ!!!!!

 

「がぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

真が横凪に弾け飛ばされる

痛みを魔力で緩和しながら、真は空中に足場を作り体勢を立て直す

それはまさに異形だった

顔は砕け散り

衝撃で弾き飛ばされた四肢の代わりに使える他の魔獣の手足を繋げていた

しかし、使える部位は少なかったのだろう

両腕が左手で、両足の代わりに腕が付けられていた

真にとって幸いだったのは、頭部が破壊されていたために厄介なレーザーが放てなくなっていることだ

しかし、その身体能力は脅威だ

真が口元の血を拭う

肋骨が折れて、内臓に刺さったようだ

だからといって、逃げるわけにはいかない

 

「大丈夫・・・・僕は消えないよ」

 

真が魔獣と再び対峙した、その時だ

 

「伏せろ!!!!!」

 

張りのある女性の声

そして背後から迫る強烈な魔力の高まり

反射的に真はその場に伏せた

 

「リーミティ・エステールニ!!!!!!!!!!!」

 

辺りを白い光が覆い包んだ

 

 

白い光が止み、真は後ろを振り向いた

まだ土煙が舞っていたが、真の鉄仮面の前では無意味だった

真の鉄仮面は何も正体を隠すためだけではない

魔力を一定の量注ぎ込めば、暗視スコープや魔力計、果ては顔や声を変えることさえ可能だ

土埃の中、一人の小柄な少女の姿が見える

黒を基調とした魔法少女形態

エジプト十字をあしらった黒い杖

そして・・・・

 

― 常に警戒を怠っていない・・・・・ ―

 

少女の透き通るような赤い瞳は魔獣と真に向けられていた

もし、少しでも真が彼女に対し攻撃反応を示せば今度は魔獣の代わりに真が「狩られる」ことになるだろう

 

ガラッ!

 

黒い魔法少女がゆっくりと歩いてくる

 

「お前はあすなろ市の魔法少女ではないな?」

 

真は自ら鉄仮面を外し静かに頷いた

 

「僕の名前は真。見滝原で魔法少女をしています。」

 

「その見滝原の魔法少女がなぜ此処にいる」

 

真の脳裏に巴マミに教えられた言葉が再生される

 

― 魔法少女の多くは自分のテリトリーを持っているわ。だからこそ、そのテリトリーを犯すものには容赦しない魔法少女もいる ―

 

「故あってあすなろ市の劇団に招かれています。此処には劇団のみんなを守るため、決して私利私欲ではありません」

 

「劇団・・・・プレアデス聖団か?」

 

「ええ。プレアデス聖団を知っているんですか」

 

黒い少女は静かに頷いた

 

「ミチル・・・・・・」

 

不意に背後から掛けられた声に二人は振り向いた

 

やや紫色のベリーショートヘア

浅海サキだった

着替えがまだだったのだろう

彼女は男物の衣装を着ていた

 

「はいゲームセット、いやゲームスタートかしら?」

 

非常階段に腰かける少女は手にした白い日傘をくるくると回しながら笑みを浮かべた

 

 

 

NGシーン

 

魔法少女というモノは基本孤独な存在だ

何も非がないのに、「魔獣」や「魔女」の結界に囚われてしまう

そこでキュウベェと出会い、結果として契約することになる

多少はキュウベェもサポートしてくれるが、戦闘に必要なスキルは実地で積み重ねていくしかない

同様に自らの魔法の使い方も・・・・

真や杏子の場合は運が良かった

早い段階で巴マミと出会えることができ、「弟子」として経験を積むことができたのだから

でもそれができなかった場合は?

 

 

改変前の世界 「あすなろ市」にて

敏腕女刑事 石島美佐子は頭を抱えていた

あすなろ市で起こる不可解な怪事件

ある店で食事をした人物のみが消える連続誘拐事件

最初は店の店主が犯人だと思われたが、一人の青年の生還で事件は大きく動き出した

 

― 料理用の巨大な注射器の化け物に襲われた ―

 

俄かに信じられない事だが、彼が失踪する瞬間が偶然監視カメラに映っていた

巨大なトングに掴まれ、青年はいきなり消えたのだ

それは監視カメラの映像に残されている

「それは」間違いない、のだが・・・・

 

「刑事さん!信じてください!僕があの怪物に襲われた時、白黒の裸エプロンの中学生が助けてくれたんです!!!!」

 

どっから「裸エプロンの中学生」なんてワードが出てきたのか・・・・

念の為、薬物検査や心理テストをしてみたが、彼に何の異常もなかった

つまりは真実を彼は述べている

しかし、それを信じることはできなかった

・・・・事件が迷宮入りしたのは言うまでもない

 

 

通常、師匠が「弟子」に最初に教える事

それは「認識阻害魔法」

闇に紛れ、魔を狩る為にはどうしても必要になるスキルだ

しかし、それを教えてくれる師匠を持たない魔法少女達はどうやって自らの正体を隠すのか

 

「ううっ!恥ずかしぃよぅ」

 

桃色髪の少女が呟く

少女の姿を一言でいうのなら「風俗嬢」

今の彼女は大胆にスリットが入ったタイツを着用している為、傍から見たら黒パン、黒ブラモロ出しにしか見えない

 

「これは私達の正体を隠すためなの!大丈夫、その姿なら他の人が見てもみらいだってわからないから」

 

白黒のまるで裸エプロンのような姿をした少女が「みらい」と呼ばれた少女を励ます

彼女の言うとおりだ

人間の頭脳は激烈すぎるイメージを見ると、それが固定されて細かい部分まで記憶に残らない

彼ら「プレイアデス聖団」が皆、露出度の高い姿をしているのは、止むに止まれぬ事情があるのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




プレイアデス聖団のあの恰好は正体を隠す為だったんだ! ナンダッテ―

すいません
思いついたのでついやってしまいました

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