鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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小春日和の中、皆様どうお過ごしでしょうか?
私はバイト先でガキの万引きに目を光らせる日々です・・・
ハハ・・・・


悲しき道化

「ハハッ・・・これで・・・これで終わりだァァァァ!!!!」

 

両足を410番ゲージのバックショットで砕かれ、その場に倒れ伏すミチル

 

「ぐうぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・」

 

両足を断裂させられる激烈な苦痛に歪むミチルの顔に銃口を向ける金髪の少女

あいりはゆっくりと味わうように人差し指に力を込めていく・・・・・・

トーラス・ジャッジの長大なシリンダーがゆっくりと回りロックされ、同時にハンマーが上がる

しかし、ハンマーは落ちず弾丸も発射されることはなかった

 

「ユウリ・・・なんで邪魔をするの?・・・どうして・・?」

 

彼女の手にはユウリが召喚した注射器が刺さっていた

ユウリの武器は注射器である

注射器は命を繋ぐことも、死刑囚への最後の慈悲つまりは命を断ち切ることもできる

今彼女が撃ち込んだ注射器には局所的に作用する強力な筋弛緩剤が装填されている

今のあいりは立ったまま指一本すら、自らの意思で動かすことができないのだ

 

「どうしてなのよ!!!!!!どうしてあいりが魔法少女になって人殺しなんてしようとしているの!!!!!!」

 

ユウリは激情のままに慟哭し、滂沱の如く涙を流した

命の恩人であり、目指すべき目標である師匠

そして無比の親友であり、彼女が命を差し出し死の運命から救い出したあいり

 

「なぜ魔法少女同士で殺し合うの・・・・・そんなのおかしいよ!!!」

 

「それは・・・・みんなユウリのためだ・・・ユウリの為なんだ!今はわかってくれなくてもいい!今コイツを・・・かずみを消さなければきっとあの時みたいに仲間を集めてプレイアデス聖団を作るに違いないんだ!!!!!!!」

 

あいりの発した言葉にミチルの表情が驚愕に染まる

 

「貴様・・・なぜプレイアデス聖団を知っているんだ?それにかずみのことも・・・」

 

「ああ全てをな・・・・!お前たちがユウリを・・・・!ユウリを!!!!!」

 

あいりの脳裏に浮かぶのは無数の矢に貫かれてその生を終えるユウリだった「魔女」

助けもせず、ただただ処分した「あいつら」

地獄の夜叉の如く、あいりは怒りを込めて怨嗟の声をあげる

 

「ちょっと待ってあいり!貴方の言うプレイアデス聖団って何?魔女って?」

 

「ユウリは知らなくてもいい」

 

― もう隠し続けることはできないか・・・・ ―

 

「ユウリ聞いてくれ、私達のソウルジェムとはなんだ?」

 

「魔力の源であり・・・・私達の魂そのものです」

 

「そうか・・・自力で真実に辿りついたのか」

 

ミチルは感慨深げに眼を伏せた

 

「助けてもらってからソウルジェムの状態を見るようになって・・・時々、魔力を使わなくともソウルジェムが濁ることがありました。そういう時は決まって嫌な事や嫌な事をしてしまったときでした・・・」

 

「それで・・・・」

 

「何度か実験をしてわかりました。このソウルジェムは私の精神状態によって状態が変わることを。それから導き出される答えは・・・・私達の魂そのものだということ」

 

並みの魔法少女なら絶望に陥る「ソウルジェムの真実」

しかし、ミチルと一緒に死線を何度も潜り抜けたユウリはその事実を受け入れることができた

 

「ユウリが見たことは事実だ。光江を突き落としたのは私だ」

 

静かにミチルが語り始める

 

「・・・・・なぜそのこんなことを!」

 

ユウリはミチルに怒りを向けた

師匠と慕っていた人物が罪なき少女を手に掛けたのだ

思いを裏切られた

そう思っても仕方のないことだ

 

「彼女はいじめを苦に自殺し・・・偶然それを目撃した少女は絶望した・・・・二人を救うにはそれしかなかったんだ!」

 

普段は感情を表に出さない師匠 ― 和紗ミチル ― の怒号にユウリは圧倒される

しかし、その怒りの裏にある感情を彼女は見逃さなかった

 

― 仕方がなかったんだ ―

 

― 誰も傷つけたくないんだ ―

 

そこにあるのは愚かな振る舞いであることを知りつつも、それを否定することのできない一人の少女としてのミチルがいた

それは極めて純粋な悪意

 

「話してください・・・・師匠」

 

彼女は決意した

ミチルの全てを知り受け入れることを

魔法少女の現実を教え、真実を教えてくれた最愛の師匠 ― 和紗ミチル ―

彼女を救えるのは自分だけだと

 

 

 

 

NGシーン

 

「ユウリ、私達のソウルジェムとはなんだ?」

 

「魔力の源であり・・・・私達の魂そのものです」

 

「そうか・・・自力で真実に辿りついたのか」

 

ミチルは感慨深げに眼を伏せた

 

「助けてもらってからソウルジェムの状態を見るようになって・・・時々、魔力を使わなくともソウルジェムが濁ることがありました。そういう時は決まって夜のお祈りをしてしまったときでした・・・」

 

「それで・・・・」

 

「何度か実験をしてわかりました。擦ったり舐めたり電マを当てたり・・・・このソウルジェムは私の精神状態によって状態が変わることを。それから導き出される答えは・・・・私達の魂そのものだということ」

 

なぜ舐める?

なぜ擦る?

なぜ電マを当てる?

ユウリの言う夜のお祈りとは何か?

それを問う勇気はミチルにはなかった

・・・ソウルジェムに穢れが溜まりそうなので

 

 

 

 




さて、時間があったらエイプリルフールの特別編でも書いてみようかな・・・・

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