それまでに終えられるかな・・・・・
ちなみに今章の「アマルコルド」とは「私は忘れない」という意味です
第五章 アマルコルド
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ・・・・
何処までも続く砂漠を二つの影が歩いていた
黒髪の少女と灰色の髪の少女
二人はまだ20にも満たない歳であるというのに、二人の身のこなしは歴戦の戦士を思わせた
「・・・・あっ」
灰色の髪の少女が砂に足を取られ、その場に蹲る
「真さん・・・・大丈夫?」
「暁美先輩。大丈夫です・・・ちょっとダメージがぶり返しただけですから・・・」
灰色の少女が黒髪の少女に懐から取り出した黒い立方体を投げ渡した
「真さんコレ・・・!」
「僕の分はちゃんとあるから持って行ってください・・・・大丈夫、回復したらちゃんと後から来ますから」
「そう・・・・待っているから・・・」
黒髪の少女は灰色の髪の少女を一人残して、再び歩きはじめた
しかし、灰色の髪の少女 ― 真 ― は彼女が泣いていたことに気付いていた
「最後くらいは湿っぽく終わりたくなかったんだけどな・・・・」
愛する者は既になく
仲間も「暁美ほむら」一人になってしまった
真は自らのソウルジェムを見つめる
かつてオパールのように輝いていた彼のソウルジェムは黒く染まっていた
それは、先ほど暁美ほむらに譲り渡した分のグリーフシードを使っても浄化できないほどだった
生に固執するよりも、真よりもダメージの少ない暁美ほむらに使ってもらった方がいい
彼の心に去来するのは「愛する者」と一緒に過ごした日々の思い出
「そういえば杏子さんと一緒に劇に出たっけ・・・・僕が修道女役で杏子さんが騎士役で・・・」
魔法少女として生き、そして死ぬことに後悔はない
きっと「彼女」は待っていてくれるから
不意に砂嵐が止んだ
真が見上げると、そこには輝くような白銀のドレスを纏った桃色の髪の少女が彼女の前に立っていた
「やあ、また逢ったねまどか」
少女は微笑み、倒れ伏した少女に手を差し伸べる
― 頑張ったね ―
「なぁ・・・まどか。僕は成れたのかな?憧れたヒーローに?」
― うん・・・貴方は今まで沢山の人を救ってきた。カンナちゃんももう一度会いたいって ―
「なら・・・後悔なんてない」
少女は「まどか」の手を取った
ヒュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・
砂に埋もれながらも、その「戦士」は尚も前を向いていた
その顔には絶望も苦しみも悲しみもなかった
ただ、自らの人生に満足した者のみが得られる笑みを浮かべていた
戦士の名は「宇佐美真」といった・・・・
「鉄仮面の魔法少女」完!!!!
嘘です♪
だって、たった一人でほむほむが戦い続けていたなんて悲しいじゃないですか・・・・