ちょっと「踏み外して」もいいよね?
「変な魔獣を見た?」
宇佐美邸別館 マギカ・カルテット本部
何時ものように、リーダーである巴マミは優雅に紅茶を楽しんでいた
「ええ。この前のラブホテルでの一件で目撃しました」
「アタシもだぜ!」
「二人でラブホテルに行っているんだから同じ魔獣を見ててもおかしくないわ。当然でしょ?」
「相変わらずの氷点下コメントだな!ほむら」
「暁美先輩も変な魔獣を見ていませんか?」
「とりあえず、状況を話してくれないとどうにもならないわ」
真と杏子はあの夜の魔獣の姿を二人に話した
疑問に思った点は二つ
・なぜ、ラブホテルの外にいた筈の中沢が魔獣の結界にいたのか?
・ラブホテルという獲物の多い場所で、中沢一人だけを狙ったのか?
「魔獣は人を引き込むと言っても、操らずにターゲットをテレポートさせるなんて初めて見ました」
魔獣は人を引き込む
自意識のない魔獣は基本的に結界を張る、トラップ戦法を用いる
でもそれは魔獣の根城である、結界に引き込む場合が殆どだ
「なんというか・・・あの魔獣は中沢を取り込もうとしていたように感じたぜ」
「僕も・・・」
「確かにおかしいわね」
ほむらが口を開いた
「つまりは・・・自意識のある魔獣でということでいいかしら?」
「そうそう!それだよ!」
杏子が手を叩いて、ほむらに同意した
「魔獣は人の生きる上での悲しみ、苦しみ、それらが瘴気となって魔獣を生み出す、それが私達が知りえる全ての情報よ」
「そんなことアタシだってわかってるよほむら!マミ、協力者からあの時の映像を都合してくれないか?」
「まぁ!佐倉さんって大胆!そんなに男の子と女の子のアレに興味があったなんて!」
「ちげーよ!アタシが言ってんのは、協力者から中沢の記録映像をダビングしてもらえないかってこと!」
「なーんだ、折角佐倉さんにも性の芽生えが来たかと・・・・」
「巴先輩、僕からもお願いします」
「真さんの頼みなら仕方ないわよね・・・」
「おいこら」
「画像が不鮮明だな・・・」
「防犯カメラの解像度だから我慢して」
巴マミの協力者「三鐘葵」から送信されたデータを書斎のパソコンにダウンロードする
そこにはラブホテル前で茫然とする中沢の姿が映し出されていた
「少し早送りするわね」
巴マミがカーソルを操作する
「消えている・・・・。巴さんもう少し巻き戻してくれないかしら?」
「ええ。コマ送りにしてみるわ」
コマ送りしても、結果は変わらない
何時の間にか中沢の姿は消えてしまっている
文字どおり、「テレポート」しているかのように・・・・
真は映像に何かしらの違和感を感じた
それはほとんど気にならないほどの違和感だった
「巴先輩・・・・ここに何か居ません?」
真が指でさした場所
そこには小さい犬ほどの影が映されていた
「犬じゃないかしら?」
「でも、中沢さんが消えた直後にこの影も消えている。犬なら何で十秒もたたずに消えることができるんですか?」
「影から距離を割り出せるほどの情報はない。場所が場所だから野良犬の可能性もある。それに・・・」
暁美ほむらが口を開く
「私は今まで自意識を持った魔獣を見ていない」
「イレギュラーの可能性は?」
「魔獣はいわば自然の摂理のようなもの。瘴気が結晶した存在で、あくまで意思の関係なく人を襲いその精神を吸い取る。例外はないわ」
「・・・・」
「とりあえずは現状維持ね。他の街の魔法少女にも話を聞いてみるわ」
「巴さんお願い」
夕暮れ前のしっとりとした闇のような不安が真の心を満たした
NGシーン
瀟洒な高層マンション
その一室が巴マミの自宅だ
カタッカタッ
「保存と・・・・」
カチ!
彼女の操作しているコンピューターに映像が現れる
そこにはあの日の二人、宇佐美真と佐倉杏子が映し出された
三鐘葵から送付された映像は二つあった
監視カメラの映像と、部屋の内部の映像
まさに下衆の極みといった表情を浮かべながら、モニターを見つめるマミ
しかし・・・・
「んもぅ!キスくらいしなさいよ!!!」
マギカ・カルテットのリーダー、巴マミ
彼女も思春期の女子だ
ラブホテル、しかもお互い知らない仲でもない
彼女に恋人はいない
必然的に耳年増になってしまう
彼女がぼっちをこじらせるのも、遠い未来の話ではないかもしれない・・・・
祝「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」アニメ化!
今から動くももちゃんが楽しみ