鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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本日の内にもう一つ投下予定

・・・・できるかな


クリスマス特別編 嘘つきシンデレラ ― 佐倉杏子 ―

 

「なぁ真、クリスマスちょっと付き合ってくれないか」

 

耳に指を突っ込んでアーと声を出す

 

「何?」

 

・・・突っ込みを喰らいました

魔法少女パワー全開で・・・

 

「いや何、魔獣討伐でヘマしたアタシをお前がおぶって帰っただろ?アタシが女友達を家に連れてきたことがなかったからクリスマスパーティーに招待しろって・・・聞いてんのか?」

 

「ヴァ―・・・・・・・・」

 

「いつもの真だ問題なし」

 

 

当日

 

「ニンニクよし、塩よし、銀の弾丸よし」

 

僕は父さんのコレクションにある、ドラキュラ・狼男退治セットを準備する

だって、あの「佐倉杏子」が僕をクリスマスパーティーに招待するなんて!

きっと・・・・邪教の儀式の生贄にするつもりだ!絶対!

自決用のデリンジャーも持っていくかな・・・・

 

「没収!!!!!!!!!!!」

 

「自決用のデリンジャーくらい許してくだせぇ代官様」

 

「誰が代官様だ!」

 

コィーン

 

「はぅっ!」

 

 

「だから本当に普通のパーティーだから!」

 

「へぇへぇ。でも何で僕がまた女体化しているんですか?」

 

「それはだなおふくろに無用の心配を掛けないわけで・・・・・・」

 

そこまで言うと佐倉杏子さんは頬を染めた

そんな表情を見せられたら・・・・断れないじゃないか

 

 

 

「宇佐美真と申します。今回お招き頂き光栄です」

 

「まぁまぁ、固くならずに楽しんでいってくださいね」

 

「ジュースもどうぞなの」

 

「妹さんのももちゃんかな?ありがとうね」

 

妹のももちゃんか・・・・

これが成長すると、あの残虐非道な杏子になるのか・・・

 

僕が悲しい瞳で彼女を見つめていると、不意に胸に違和感を感じた

見ると、背後から二つの腕が僕の「胸」を揉んでいた

 

「ふ~ん、バストサイズ、柔らかさも杏子の上か」

 

振り向くと、一人の青年が立っていた

 

「杏子さん!ここに変態が!!!!!!」

 

「変態とは失敬だな。俺も女だよ、なんなら見せようか?」

 

そう言うと、「変態」は仕立てのいいスーツの前をはだけて、胸の膨らみを見せつけた

 

「杏子さん!ここに露出狂が!」

 

「真!ちょっと黙れ!」

 

杏子が僕の口を押える

 

― 理不尽だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! ―

 

最大ボリュームの念話をぶつける

 

― 変態でも静かにしとけって!あいつはアタシたちの居候主で・・・・ ―

 

「なかなかの良乳でつい手をだしてしまったよ。まだ自己紹介がまだだったね、俺は一二三 美緒。一応はここの当主ということになっている」

 

いきなり僕の胸が揉まれるというアクシデントはあったけど、パーティーは無事に過ぎて行った

僕が用意してきたブッシュドノエルは皆さんに好評だった

僕の分まで杏子が食べていたのはかなりムカついたけど・・・

 

「ちょっといいかな?・・・・・今は真さんだっけ?真くん」

 

コイツ僕のことを!

 

「・・・・・・はい」

 

 

着いたのは一二三邸の書斎

僕はすすまれるままに椅子に腰かけた

 

「・・・何処まで知っているんですか」

 

「まずはこの街に宇佐美という苗字で教授職に就いている人物に、真という名前の娘はいない」

 

「・・・・・」

 

沈黙を守るしかない

この場合、相手の出方を見定めることが肝要だ

 

「キミも杏子と同じ魔法少女?いや違う、君には雌の匂いがしない。君は何者だ?」

 

一二三が真を見つめる

 

「変身を・・・・解除する」

 

虹色の泡が僕を包んで、「男性」の真に変わる

 

「やはり君も杏子と同類か」

 

一二三は考え深げに真を見つめた

 

「何時から佐倉さんが魔法少女であると知ったんですか?」

 

「正直、俺は堅気じゃない。色々と話を聞くんだ、超常の力をふざけた理由で行使する魔法少女の話をね」

 

大切な宝物を愛しむように一二三は語り始めた

 

「あれは・・・寂れた教会に人が戻ってきた頃の話だ・・・・・」

 

杏子の両親は一族の中でも鼻つまみ者だった

特に宗教家と結婚したことが大きかった

だから、極貧の中でも彼女達を助けようとする、一族の人間は誰もいなかった

 

― 教会に人が戻ってきた ―

 

そう、笑顔で話す杏子

でも俺は素直に喜べなかった

杏子の父の思想が受け入れられた?

アイツの思想は当たり前のことを当たり前に言っているだけだ

そんなこと、信者達が受け入れるはずがない

ただの凡庸な宗教家が、見捨てられた教会に人を呼び戻すような奇跡を起こせるはずがない

 

「俺は杏子が魔法少女になったと確信した。後はその痕跡を調べればいい・・・・・簡単だったよ」

 

「あなたは佐倉さん味方ですか?」

 

「俺は杏子の味方さ。君のじゃないけど」

 

「僕をどうするつもりですか・・・」

 

机から黒い鉄の塊を彼女は取り出した

コルト・ガバメント 45ACP

対人威力では9mmパラべラム弾以上の殺傷能力を有している

 

「こいつでズドン!というのも考えた。君が杏子を騙しているならな」

 

一二三はトリガーを引いた

 

シュボッ!

 

彼女は銃口から出た炎を細巻の葉巻にあてた

 

「キューバ産のシガリロ。一本どうだい?」

 

 

「キミに頼みがある」

 

香りのいい紫煙に包まれながら一二三は真を見つめる

 

「杏子を守ってやってくれないか?」

 

「僕が守らなくても十分強いですよ、佐倉さんは」

 

「アイツは弱い。アイツがどんな力を持っているか分らない。だが、アイツが家族を思って魔法少女になったのは事実だ。だからこそ、杏子の力が家族の重荷になるなら・・・・杏子は壊れる間違いなく」

 

不意に彼女は立ち上がると、真に頭を下げた

 

「俺には力がない!泣いていたアイツの家族を助けることすらできなかった!!だから頼む!杏子を守ってくれ!」

 

彼女は泣いていた

見ず知らずの真に頭を下げ、泣いていた

 

「僕も魔法少女になったばかりです・・・・・」

 

真が意志を込めた瞳で一二三を見る

 

「でも!僕は弱き存在を守るために魔法少女になりました。それ中にはは一二三さんも杏子さんもいます」

 

「感謝する・・・・」

 

飄々として実体の掴めなかった一二三の本心が見えたように真は感じた

 

 

「今日は楽しかったよ佐倉さん」

 

「ああ・・・・真が持ってきてくれたケーキも美味しかったよ」

 

佐倉さんは恥ずかしいのか、伏し目がちに話す

 

「僕も君のような良乳に出会えて最高だったよ!」

 

一二三が身体を密着させる

そして・・・

 

「いやっぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁ!!!!胸を揉まないで!!!!」

 

安定のオチである

 

 

― 何かあったら連絡してほしい。銃器や弾薬くらいなら入手できる ―

 

何時の間にか、真の胸の谷間に挟み込まれたメモには一二三の携帯番号が書かれていた

 

「あの甥にあの叔母あり、か」

 

血は水よりも濃い

真はオリオン座が見下ろす中、素直じゃない二人を思って微笑んだ

 

「でも乳揉みは勘弁してもらいたいな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この特別編は実は平行世界の真であり、前作の巴マミ編と本編の真とは違います
これから投下する予定の暁美ほむら編も平行世界の真だったりします

結末である美国織莉子編は違いますが

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