鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

282 / 322
ではでは投下します


手負いの獅子

 

カンナの目の前に迫るカオル

正直、彼女はカオルの実力を知らなかった

当然だ

ほんの少し前まで、彼女はただの少女であり魔法少女の戦いをまるで知らなかった

まぁ、魔法少女のことについては知っているようだったが・・・

だからこそカンナは致命的なミスを犯していた

 

「プ・・プロドットセコンダーリオ!!!!!」

 

カンナの固有魔法は「再生成」

「材料」さえ用意できれば人間すら作れる脅威の魔法だ

彼女が咄嗟に使い捨ての「分身」を作り出そうとするが・・・・

 

「な・・・・・?!」

 

カンナとカオル

今ここに居るのはあくまで「二人」だけ

そして「材料」となる人工物は全く存在しない

彼女の固有魔法である「再生成」の魔法の対象となるべき人工物なんて限られている

カンナ自身を「具材」にして、二つに分身することは不可能ではないが、しかしそれは「悪手」だ

単純に力を二つに分けるのだ

攻撃できる手段なんて限られている

「できないことはない」が、それはあくまで最後の手段にすべきだ

それに「カンナ」は目の前の「カオル」の魔法を全く知らない

このことは「魔法少女同士の戦い」を何度となく経験したカンナにとって、それはそのこと自体が脅威だ

魔法少女は単純な戦闘力でも人間を軽く凌駕する

それに魔力を付加されでもしたら、まさに「人間凶器」だ

加えて魔法少女自身が持つ「固有魔法」もある

これは「願い」が元になっている為にそのバリエーションは無限

「ニコ」から聞いた話では、「友人のような魔法少女になりたい」と願ったばかりに「他の魔法少女の魔法を奪う」という、対魔法少女に特化した「固有魔法」が与えられてしまった少女もあったそうだ

この実例は皮肉しかないが、しかしこれは「固有魔法」は「魔法少女」の意思で選ぶことができないということを表している

故に予想はつかない

先程のカオルの加速を見るに、彼女は肉体強化系の魔法を使っているようだが単純にそう考えるのは早計だ

今、この時点で獲れる手段は「二つ」

 

― カオルから逃げながら彼女の持つ固有魔法を判断し反撃する―

 

無理だろう

そもそもカンナは目の前の状況を判断できてはいない

さすがに状況もわからないのに逃げるのは不可能だろう

それにブービートラップを仕掛けられていたら厄介だ

カオルはカンナをそれに追い込むだけでいい

ジリジリと追いつめられるだけだ

 

― 徹底的に攻撃してアイツを追い詰める ―

 

彼女の魔法で錬成した自身による飽和攻撃、もちろんミサイルのおまけつきだ

これは彼女が「魔法少女」と戦う上での常道だ

魔法少女というのは、とかく「人間」であることにこだわる

既に肉体に「魂」が無いというのにもかかわらずだ

だからこそ、そこに「致命的」な弱点が生まれる

目の前でミサイルが爆発すれば、耳は聞こえず目も見えない

これは「普段」はその身体能力を人間並みに落としているからに他ならない

予め、身体能力のパラメーターを弄ればミサイルの飽和攻撃もホームセンターで売っている安物の花火並みにしか感じないはずだ

しかし、この作戦に引っかかる「魔法少女」は多い

そしてあっけなく敗北するのだ

でもこの場ではそれに必要とする具材は殆どない

ではどうするのか?

彼女が選んだのは・・・・

 

バシュッ!!!!!ドガァァァァァッァァァァッァ!!!!!!!

 

咄嗟にカンナはその指をスタングレネードへと錬成し、それを零距離で炸裂させた

 

「くっ!!逃げるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

カオルが目を押さえて目の前にいる筈のカンナに手を伸ばす

だがその手を何者かの手が掴んだ

 

「・・・・・チェックメイト」

 

目が慣れるに従い、カンナの姿が見える

その手にバールのような杖を握って・・・・・

 

 

~ これが実戦経験の差か・・・・! ~

 

彼女の作戦に「ブラフ」はない

カンナに挑発されても計画は変わらない

真からは魔法少女の身体能力について教えられている

そして効率の良い魔力の放出や魔法の応用

特にカオルはその魔法の性質上、戦いに直ぐに転用することができる

彼女の魔法

それは「身体強化」

カオルは魔法で脚力を強化し、カンナが厄介な魔法を使う前にケリをつける

そのつもりだった

でも結果は・・・・

彼女の手甲をはめた手はカンナが掴んでいた

 

「詰み」

 

カンナが意気揚々とそう宣言する

でもカオルは人一倍「あきらめが悪かった」

彼女の手甲の表面を黒いメタリックの液体が覆っていく

 

「?」

 

そして・・・・

 

「カピターノ・ポテンザ!」

 

カンナの手を拘束する共に、手甲から伸びたスパイクがカンナを捉えていた

手が拘束されている以上、スタングレネードは使えないしミサイルで爆砕しようとすれば自分まで吹き飛ぶ

まさに「詰んでいる」

スパイクは正確に首の後ろにある水色の宝石 ― カンナの魂 ― を砕くだろう

身体を分割する方法も考えられるが、それよりもカオルの方が早い

ならば・・・・

 

「・・・・・・話」

 

「話をする気があるのか?」

 

カオルが静かにカンナに尋ねる

今のカンナが唯一アドバンテージがあるのは情報

彼女はそれを生かすことにした

相変わらず、カオルのスパイクはカンナに向けられているが・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 




すずね☆マギカ

何か本編以上にダークだな・・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。