鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下


魔術師の微笑み

 

アンゼリカ・ベアーズ地下

広い廊下を真琴とマミが進み、その背後に愛華、ジュニ、真理が続く

まるで囚人の護送だとマミは思った

 

「ごめんなさいね。少し物々しくて・・・」

 

真琴が苦笑いを浮かべる

 

「そんなことは・・・・」

 

「私達は仲間よ?思ったことをそのまま言ってくれても構わないわ」

 

そう言うと、真琴は口元を隠し笑みを浮かべる

その仕草は優雅だったが、マミはその笑みに不安を感じていた

 

 

「入って・・・此処が私達の全てよ」

 

薄暗いダウンライトの中、中央にタワー型のコンピューターとそれを放射状に囲む数基の棺桶のようなものが見えた

昔のSF映画に出てくるような大掛かりな装置

でも、地の底から響くような重低音やオゾン臭はそれがこけおどしではないことを意味していた

 

「これは・・・・・?」

 

マミが傍らにいる金髪の少女を見た

彼女はその光景に顔色すら変えず、静かに言った

 

「ここには楽園の礎となった少女達が眠っているわ」

 

マミの目が闇に慣れてくると、このフロア全てが見えてきた

傍らの少女 ― 宇佐美真琴 ― の言うとおりだった

そのカプセルには一人一人、少女達が安置されていた

年齢も身長もバラバラ

唯一、共通する点といえば少女の眠るカプセルに色とりどりの卵型の宝石が安置されていることくらいだ

 

「ソウルジェム?!」

 

魔法少女たる象徴であり、その枷でもある魂の宝石

それがこの場にあるということは、眠りに就いている少女達は「魔法少女」と判断して間違いない

でも、彼女達は身動きさえしない

人形のように眠る少女たちの姿はまるで・・・・・

 

~ 死んでいる? ~

 

マミが心の中でそう呟いたときだ

 

「安心して・・・・・」

 

振り向くと、真琴がマミの直ぐ近くに立っていた

 

「?!」

 

マミが咄嗟に身構える

真琴はマミの背後、3メートル程遠くにいた

それは間違いない

では、その距離を一秒にも満たない時間で詰めたというのか?

それに何で心が読めたの?

 

「彼女達は死んではいない・・・・・ただソウルジェムと身体のリンクを制御して、その身体のみを仮死状態にしているだけよ」

 

「仮死状態?」

 

マミが怪訝な表情で真琴を見る

 

「それには私が説明するよ!」

 

青髪のポニーテールが揺れる

「秦愛華」、この本拠地全ての機器を管理運営している

 

「私達魔法少女のソウルジェムと身体は言うなれば無線LANで接続されているようなもの。だから、本体とソウルジェムが半径100メートル離れたら身体を維持できない」

 

新人の魔法少女が良くするミスだ

私もかつて同じことをしてしまったことがあるので笑えないが・・・

 

「ソウルジェムの穢れは魔法を使わなくても溜まってしまうことがある。それは魔法少女の精神状態で穢れが生み出されてしまうからさ。戦わなくても穢れが溜まる、そして浄化には魔獣から得られるグリーフシードしかない。だから、魔法少女は常に戦い続けなければ生き残れない。ホント、このシステムを編み出したインキュベーター共は外道だよ」

 

― 魔法を使わなければ死ぬことはない ―

 

死ぬことのある苛烈な戦いに怯え、魔獣との戦いから逃げた魔法少女達がどうなっていったのか

私は何人もその末路を見てきた

その先にあるのは絶望の果ての死

皆、後悔や苦悶、怨嗟を叫びながら死んでいったのだ

希望を願った代償

それに釣り合わない程の絶望を抱いて・・・・・・

 

「でねでね、このシステムを逆に言えばソウルジェムから肉体・精神を最低限維持する分だけの魔力を引き出して、身体を休眠させれば穢れの溜まりも最小限に抑えられるってこと」

 

「それって・・・・・・!」

 

「根本的な解決になっていない、かしら?」

 

「ええ・・・・それじゃあ・・・・」

 

マミの疑問

それすらも真琴は予期していたかのように笑みを浮かべていた

 

「それでは彼女達は救えない。私は夢想家や詐欺師ではないわ。それにこの装置はただ魔法少女たちを休眠させるだけのものではない。巨大な電池みたいなものよ」

 

「電池?!」

 

「この装置の本当の目的は余剰エネルギーを溜めておくことよ。無論、大結界を維持する根幹でもあるけど・・・・」

 

固形化された「精神」がソウルジェムの正体

そして、そこから抽出される感情エネルギーこそが「魔力」だ

マミは魔力の万能さと恐ろしさを良く知っている

それを溜める?

一体なんのために?

 

「真琴さん・・・・貴方は何をしようとしているの?」

 

マミが青ざめた顔で彼女を見る

 

「私の望みは魔法少女を少女に戻すことよ。その為にも、此処と私達の計画をインキュベーターたちに知られるわけにはいかなかった。この大結界やジュウベェはその為のガーディアンよ」

 

確かにそうだ

あすなろ市を覆う大結界の主な目的はインキュベーターの記憶と魔法少女としての素質の封印

ここにあるシステムが魔法少女を害するものではないのなら、おのずと何に対して作られたシステムかを理解するのは容易い

 

「・・・・・一体、あなたは!」

 

「手品をするのよ、あの日貴方に見せたものと同じものを・・・・もっと大々的に」

 

「?!」

 

全ては繋がった

マミは彼女がしようとしていることがおぼろげに理解できた

もし「そんなこと」が可能ならば・・・・

巴マミも「普通の少女」に戻れるのだ

 

 




バディ・コンプレックス

溢れるガンダムシード臭
その内、同衾シーンやレ○プシーンでも入れるんじゃないの?
テコ入れってやつで

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