鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下します




 

ガシャァァァァァァァァ!!!!

 

 

ガラスが砕ける音とともに彼女達を取り巻いていた世界が崩壊していく

その光景を巴マミはただただ眺めるだけしかできなかった

杏子は知らず知らずの内に織莉子の近くにいた

以前、マギカ・カルテットの本部で彼女が「胎児の夢」を起動した時のことは覚えているが、その時はあくまで幻覚魔法の一種だと考えていた

だが、あれはある程度手加減したモノだった

 

「ここは・・・・?」

 

杏子が不安げな表情で織莉子を見る

「世界」の崩壊が収まると、彼女達はらはうち捨てられたショッピングモールの廃墟に立っていた

周りには人影すらなく、あるのは誰が管理しているのか青々とした観葉植物の鉢植えくらいだった

 

「喫茶店を出てから胎児の夢を掛けたわ。騙してごめんなさいね杏子さん」

 

織莉子が杏子に頭を下げる

 

「お、おぅ・・・」

 

いつもの杏子なら、彼女を騙した織莉子の行動に対して文句の一つも言っているだろうが、今は状況を理解するだけで精いっぱいで、とてもそんなことができる状態ではない

 

~ マミ・・・・・ ~

 

極貧で苦しむ家族を助ける為に「魔法少女」になった杏子

今でこそ、強力な幻覚魔法と卓越した体術を使う「武闘派」の魔法少女である彼女とて、最初から強かったわけではない

そもそも契約して、最初の一か月を無事に生き残れる魔法少女は少ない

実際問題として、「魔法少女」としての戦いをうまく教えてくれる存在がいるかどうかが「最初の一か月」を生き残れるかどうかの分かれ目だ

その点彼女は幸運だったといえる

インキュベーターから教えてもらった「狩り場」で魔獣相手に苦戦していたところを「巴マミ」に救われた

マミとの修行は、「魔法少女」として生きる佐倉杏子の血となり肉となって、今も彼女を支えてくれている

魔獣の攻撃で負傷した杏子を付きっ切りで看病してくれたマミ

杏子の父親が「全世界修行の旅」に出てしまい、見滝原市の親戚に家族ともども引き取られることになった経緯を話すと、まるで自分の事のよう心配してくれたマミ

マミがいたから杏子はこうして今でも生きている

師匠と弟子とか、そういう関係よりももっと深いつながり「絆」があったと感じていた

だが・・・・・・

師匠であると同時に、マギカ・カルテットの中心人物だった「巴マミ」が彼女達を裏切ったのだ

どう考えてもありえなかった

真を拉致した奴らに性質の悪い魔法を掛けられて、洗脳か何かをされて操られていると考えれば多少は今の状況を理解できるかもしれない

杏子はそう信じたかった

しかし、目の前の「巴マミ」にはそんな様子はなかった

それどころか彼らを怒りを込めて睨みつけていた

 

「なぁマミ・・・ウソだろ?あんたが裏切ったなんて・・・・」

 

杏子が絞り出すようにマミに語りかけた

 

「・・・・嘘じゃないわよ。出来る限り穏便に済ませたかったんだけど・・・・」

 

マミが再び無数のマスケット銃を錬成し空中へ浮かべる

意思のない黒々とした銃口が杏子達に向けられる

杏子は恐怖の感情が自分を覆いつつあることを感じた

マミのマスケットの威力はそれを間近に見ていた杏子がよく知っている

あと少し、ほんの少しマミが魔力を流せば全てのマスケットが撃発し、彼女達を惨めな肉塊へと変えてしまうだろう

 

「追い詰められた人間はツメの甘さに気付くことはない。そう思わないかしら?」

 

「命乞いならまだ間に合うわよ?」

 

織莉子は杏子のような恐怖を感じることはなかった

その感情を占めるのは純粋な怒りだった

 

「残念ね。せっかくお友達になれたのに・・・・・・」

 

マスケットが織莉子に向けて照準が合わされる

 

「無駄よ・・・・・」

 

織莉子が手を凪いだ瞬間、彼女達に向けられたマスケットは全て消え去っていた

 

「胎児の夢の上位互換である現実創造よ。このフィールドに居る限りは貴方は私に攻撃する方法はない」

 

彼女の「胎児の夢」は織莉子の固有魔法である「検索」から抽出した情報を結界内に投影する「幻影魔法」の一種だが、「現実創造」は違う

これは結界内に自分と相手を封入し、外部からの干渉を排した上で内部の情報を組み変える大魔法だ

つまりはこの結界内に囚われた時点で、巴マミに勝機はない

 

「・・・・いいわ勝負に乗るわ。私にはこれがあるから」

 

巴マミが指輪を取り出そうとした瞬間だった

 

「ヴァンパイアファング!!!!!!!!!」

 

ザシュッ!!

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

廃墟に似つかわしくない青々した観葉植物が突如として黒髪の少女へと変わり、袖元から伸びた鉄の鉤爪がマミの手を切りつけた

紅い鮮血が飛び散る中、少女が大理石の指輪を引っ掴んで織莉子の元へと走る

 

「やったよ織莉子!!!」

 

黒髪の少女 ― 呉キリカ ― が織莉子に駆け寄った

 

 

「理由を話してくれるかしら?」

 

織莉子がマミに語りかけた

 

「理由?それは貴方達が理由よ・・・・」

 

「私達が?」

 

「そうよ!私は魔法少女となって以来、ずっと戦い続けたわ・・・・そう一人でずっとね」

 

「でもよ、ほむらも真もアタシも居るじゃねーか!」

 

杏子が叫ぶ

 

「そうね。でも、私と同じ戦歴を持つ魔法少女はいない。対等な友人なんて一人もいないのよ・・・・いなかったのよ!!!」

 

普段は感情をあまり見せない巴マミが慟哭した

 




今回のガリレイドンナ・・・・・
ハード過ぎや

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