鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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叛逆の物語二回目に行ってきました
なぎさちゃん可愛いよなぎさちゃん


邯鄲の夢

「おい!マミ!!急にどうしたんだ!!!!」

 

杏子が叫ぶ

敵の根城の前であることはもう関係ない

徐々に「何か」が自分を犯しつつあることを感じる

織莉子が言っていた、「楽園」からの干渉による「記憶の侵食」

それがとうとう始まったのだ

消えたくない

忘れたくない

真のことも、魔法少女のことも

しかし、彼女の狼狽をマミは顔色一つ変えずその様子を見ていた

 

「なんでだよぅ・・・・・」

 

杏子が呟いた

全ては完璧だったはずだ

マミが真の父親から譲られた「魂の欠片」が貯蔵している魔力でブーストさせた結界で、皆を干渉から守る

だが計画は破綻してしまった

なぜならば、目の前の巴マミが突如、魔力の供給を止めて、彼女達を守っていた結界を解除してしまった為だ

一応、織莉子の検索した情報で「魂の欠片」を使ったブーストを行わなくても、時間の制限はあるが通常の結界で何とか「楽園」からの干渉を防ぐことが可能であることは既に知らされている

しかし、今現在彼女達がいる場所はほぼあすなろ市の中央

魔力は無限ではない

結界を張ったままで、あすなろ市を抜けるには余りにも時間が足りない

出発前に、織莉子の勧めでソウルジェムの浄化に必要な分以上のグリーフシードもあるが、それでジェムの穢れを浄化しても無事にあすなろ市を抜けられるかはわからない

杏子は信じたくはないが、マミはそれまで冷静に考えた上で、ここまで彼らを誘導したと考えるのが自然だ

信じたくはないが、それが意味するのは巴マミの「裏切り」

杏子とマミとの関係は、杏子が「家族を救う為に」魔法少女になって以来だ

優しく、それでいて厳しく素人だった杏子を一人前の「魔法少女」として鍛え上げてくれた

だからこそ信じたかった

 

「何って・・・・貴方達の結界を解除したのよ?」

 

巴マミはそう言うと「いつものように」笑みを浮かべた

その笑みは杏子のよく知るマミの笑みではあるが、しかしその奥底にはドス暗い闇を孕んでいるかのようだ

 

「だから!!!・・・・・」

 

杏子が声を紡ごうとするが、それは言葉へと変わることなく消えていった

でも彼女はなおも口を開こうとする

 

スッ・・・・

 

「止めなさい佐倉さん」

 

織莉子が杏子の間に割って入った

 

「織莉子!お前!これはマミとアタシのッ」

 

「止めなさいと言っているのよ!」

 

杏子が織莉子を睨みつける

しかし、織莉子は退かず、杏子の目の前に立った

普段はあまり感情をあらわにしない織莉子が激情を迸らせ彼女を見つめていた

その感情の名は「憤怒」

 

「・・・・・・見ていなさい」

 

冷静に、それでいて有無も言わさない強い意志を込めて呟いた

その感情に杏子は黙った

 

「キリカ・・・・わかっているわね?」

 

織莉子は傍らのキリカを見た

彼女は結界が解除された事で取り乱すことはなかった

いつもと変わらない「素の彼女」

 

「杏子さん、冷静になって。慌てふためくのは悪手よ」

 

「お・・・おぅ」

 

優しく、杏子を労わるかのような織莉子の囁きに、杏子は少しずつではあるが冷静になりつつあった

 

「頼むわキリカ」

 

「準備は万端さ!」

 

キリカが白い歯を見せながら、ガッツポーズをする

その様子をマミがいらいらとしながら見ていた

恐らくは杏子が何も考えずにマミに飛び掛かって、無駄に魔力を消費すると考えていたのだろう

しかし、現状は織莉子が熱くなりやすい杏子をうまく制御している

今更ながらにマミはこの偵察に織莉子を加えたことを後悔していた

 

「何を話しているのかしら?逃げるにも早くしないと・・・・・」

 

どっちにしろ彼女が優れた統率者であっても、その手の内に「魂の欠片」が無い以上、遅かれ早かれ私達の「仲間」になるしかないのだから・・・

 

「・・・・・道化芝居はお終いよ、巴マミ。」

 

そこには白いウェディングドレスのような魔法少女形態に変わった、「全知」の魔法少女 ― 美国織莉子 ― が立っていた

 

シュオン・・・・シュォン

 

彼女の周りを、彼女の固有武器である「アカシック・レコード」が守るように取り巻いていた

 

「ままならないものね・・・・・・」

 

そう呟くと、黄色いリボンが彼女の衣服の中から飛出し彼女の身体を繭のように覆い包んだ

 

「極力痛みのない方法を取りたかったのだけれど・・・」

 

巴マミも彼女と同じく、狩り人のような魔法少女形態をとる

彼女の白い手にはかつて魔獣に向けられていた白いマスケット銃

その白いマスケットを織莉子に向ける

 

チャッ

 

二人の魔法少女が対峙する

そこには何の異常も見られない

ただ、杏子一人が「その異常」に気が付いた

 

~ 織莉子の奴、何時の間に変身してたんだ? ~

 

杏子が記憶を引き出して思い出そうとするが、どの記憶の中にも織莉子が変身した記憶がない

何時の間にか織莉子が「変身して」立っていたのだ

 

パチンッ!

 

織莉子が自らの白い指を弾いた

その瞬間だった

 

ガシャッン!!!

 

ガラスが砕けるような音が響くと同時に廻りの光景が崩壊した

杏子は「かつて」その光景を見ていた

マギカ・カルテットの本部に初めて来た織莉子が見せた・・・・

 

「胎児の夢か!!!!!」

 

今までの笑みが消え、マミが怒りに歪んだ顔で織莉子を睨みつけた

 

 

 

 

 

 

 

 




二回目だと、やっぱり「マジョマン コ カマンベール」とか、噂の「まどかのパンチラ」に目を奪われがちだが、よく見ると「犬の魔女」の使い魔とか、一回目では気付かないところが発見できて満足でつ

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