鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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「蒼き鋼のアルペジオ」

ローレンスの死闘が・・・・

ハルナのパンモロが拝めたので良しとするか


噓吐き

パラッ

 

巴マミが歩きながら懐から一枚の白紙を取り出し、それを広げた

その白紙の大きさはA4サイズ程で、隅に薄い小さなボタンが設置されている以外は、見た目には何の変哲もない紙にしか思えない

彼女はおもむろに、隅にのボタンを押した

その瞬間、白い紙にカラー刷りの地図が表示される

 

― 電子ペーパー ―

 

これは紙のように薄い液晶ディスプレーで、非常に弾性に富みこうして折り畳んで携帯することも可能だ

彼女はこれを使って、このあすなろ市の地図データを表示しているのだ

此処が敵の勢力圏である以上、地図データなどは何の干渉を受けない見滝原で準備してある

各種スマートフォンを信用しないわけではないが、できる限りの安全策を取ることが肝要だ

だからこそ、常日頃から用心に用心を重ねるはずの彼女のこの行動が腑に落ちないのだが・・・

 

「確か敵の根城だっていう、クマ博物館は市街から離れたとこにあんだろ?」

 

杏子が何処から持ってきたのか、たい焼きを歩きながら食べていた

 

「げっ!クリームかよ」

 

「嫌ならくれよ」

 

「誰がキリカにやるかよ!!!」

 

キリカが杏子のたい焼きと盗ろうとするが、杏子はそれをブロックする

そしていつものはた迷惑な喧嘩へと発展する

いつもはマミあたりが彼女達を注意するが、今日に限っては彼女はそれをしていない

その様子に心の奥で引っかかるが、杏子はそれを指摘するべきではないと考えていた

「今」、何よりも優先させるべきことはできる限り結界内部と敵の情報を得ることだ

 

「ったくやるよ」

 

「ありがとー杏子!織莉子の次くらいに愛してるよ!!」

 

「ったく!飴玉やると言われたらホイホイついて行きそうだな」

 

「飴玉くらいじゃついていかないよ!」

 

「じゃあほかのモンならついてくんかい!」

 

まるでコントのようなやり取りを微笑ましく見る織莉子

しかし、巴マミは二人を羨望の眼差しで見つめていた

 

「二人とも行きましょう・・・・・」

 

「ああ、わかったよマミ」

 

杏子は気持ちを入れ替えると、歩き出したマミの後をついていった

 

~ ・・・・・・・・ ~

 

~ わかっているよ織莉子 ~

 

~ 最高のタイミングでお願いするわキリカ ~

 

~ 水臭いよ織莉子。汚れ仕事はアタシの仕事だからね ~

 

~ ごめんなさいキリカ ~

 

織莉子とキリカ

二人の瞳が巴マミと佐倉杏子を見つめていることを気付かぬままに・・・・

 

 

アンゼリカ・ベアーズへの道中、いや彼女達が大結界「楽園」に取り込まれたあすなろ市に来て以来、敵からの攻撃も何らかの干渉もなかった

それは突入の際に。呉キリカがマタタビを使っておびき寄せた野良猫を使った「替え玉」によることも大きいだろうが、それにしても異常だ

相手が「楽園」の記憶改ざん能力に絶対の自信があっても偵察くらいはするだろう

そう、あまりにも「出来過ぎている」のだ

 

「この廃墟が相手の根城?」

 

杏子がマミと織莉子を見る

 

「地図には異常は無いわ・・・此処が目指していたアンゼリカ・ベアーズよ」

 

錆びて朽ちかけたテディベアを象ったホーロー看板

うち捨てられて長いのか、辛うじて唐草模様のレリーフの入れられた窓や玄関は機能を損なわない程度に残っているが、博物館の壁はかなりの範囲でペンキが剥げ落ちていた

敵の根城にしては余りにも似つかわしくない

 

「おい織莉子!此処の幽霊が犯人だなんて言わないだろうな」

 

「おやぁ~杏子は幽霊が怖いのかな~」

 

「んなわきゃないだろ!!!!!!」

 

キリカが言うとおり、目の前の廃墟は「魔法少女」より、顔が緑色の魔女や白いシーツを被った幽霊といったたぐいのモノが似つかわしい

 

「今現在もここにゆまや真さんが居るとはわからないけど、少なくとも一度は此処に運び込まれている。それは間違いないわ」

 

しかし、織莉子の言葉を証明するような強大な魔力は検出されない

そう、まるでただの廃墟のように・・・・

 

「・・・・・・」

 

マミが自らに掛けていた結界を解除して、瞬時にアンゼリカ・ベアーズの敷地の中へ入った

 

「お、おい!!」

 

杏子が声をあげる

結界の解除は自殺行為に等しい

しかし、周囲の狼狽を余所に、当のマミは涼しい顔をしていた

 

「やっぱりね・・・・・中は結界の影響を受けないわ」

 

「????なんだよそれ・・・」

 

杏子がマミに尋ねる

 

「相手は魔法少女よ。いくらなんでも寝る時まで結界を張っているはずがないわ。仮説だけど、いくつか結界を必要としないセーフポイントが存在しているはず、私はそう考えた。つまりは此処は安全地帯というわけよ」

 

「そうか!マミの言うことなら・・・・!」

 

杏子が早速結界を解こうとするが、織莉子が彼女を静止した

 

「待ちなさい佐倉さん」

 

「何だよ織莉子!!」

 

「今回はあくまで威力偵察よ。それ以上の行動は慎むべきよ・・・・そうでしょ巴マミさん?」

 

織莉子の凛とした声

それにマミは返答することはなかった

 

「?!」

 

杏子の身体が急に軽くなった

最初は何が起こったか、理解できなかった

だが、徐々に何かが入ってくる感覚を理解してようやく認めることができた

巴マミは・・・・

 

「おい!マミ!なにやってんだよ!!!!」

 

「畜生!アイツ・・・・」

 

キリカがマミを睨みつける

 

「ええ。貴方達の結界を解除したわ・・・・・どれくらい持つかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




しかし、今期は個性的なアニメが勢ぞろいだな・・・・

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