鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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暑い、そのくせ大雨・・・

もぅ、つま先までびしょびしょだよぉ~~

すいません・・・・・出来心です


されど「未来」は変わらない・・・・

巨大なダイニングテーブル

そこには灰色の髪の少女とレモン色の髪の少女が座っていた

目の前には豪華な食事が用意されているが、二人はそれに手をつけてはいなかった

 

「貴方の願いは知っているわ・・・・せっかくの大魔法の甲斐なく、植物人間になってしまった両親を目覚めさせること。違うかしら?」

 

― ・・・・・そうだ。その為に私はここにいる ―

 

「交換条件よ。私達の協力者には覚醒魔法を得意にしている魔法少女がいる。彼女の魔法なら、間違いなく両親を覚醒させられる」

 

― 条件は?私が払える対価なら払う ―

 

「私達の楽園の礎になること。無論、苦痛もないわ。私達の計画が成功すれば、貴方も、そして貴方の片割れをも救うことができる」

 

― わかったわ。私の条件も飲むのなら、喜んでこの身体を差し出すわ ―

 

「・・・・条件を聞きましょう」

 

 

ハロウィン前夜

両親が家に押し込んできたギャングに撃たれ、私はもう一人の私である「ニコ」と一緒に魔法少女になった

魔法で完璧に治せた「はず」だった

だが、両親は目覚めなかった

両親の身体に何処にも異常はなかった

それでも・・・・目覚めてはくれなかった

私と「ニコ」は旅をした

それは、両親を目覚めさせることのできる魔法少女を探すためだ

魔法少女の願いは千差万別

世界に一人でもいるはずだ

たった二人っきりの旅

何度も心折れそうになったこともある

でも、ニコはいつも私の傍らにいて励ましてくれた

 

― 大丈夫だよ!パパもママもきっと目覚めてカンナの事を呼んでくれるよ ―

 

魔法少女は世界中に居る

危険な国を二人で歩いたこともある

私達が「日本」を訪れた時だ

「先見」の魔法少女から、グリーフシードと引き換えに得た情報から、ついに私達は彼女に出会った

 

― 救済の魔法少女 ―

 

彼女は眠りと覚醒の魔法を得意にしていた

やっと長い長い旅に終わりが見えた頃、それは起こった

 

 

それは何時もと変わらない「狩り」のはずだった

私もニコも魔法少女だ

魂の結晶である、ソウルジェムから穢れを吸い出さなければ、速やかに「死ぬ」ことになる

だからこそ、訪れたその土地の魔法少女の取り分を犯さない程度に狩りをして、二人の浄化に必要最低限のグリーフシードのみを得ていた

無論、その土地を縄張りとしている魔法少女達と争いとなることもある

でも・・・・ニコと二人なら乗り越えて行けた

その日は違った

 

― 風見台 ―

 

幸い、そこを縄張りにしている「魔法少女」はいないようだ

よくある

何も魔獣のいるところに必ず魔法少女がいるとは限らない

そういう場所は絶好の狩場だ

私達は暫くそこを狩場にしていた

 

― ちょっと!アノ娘あぶない! ―

 

― 放っときなよ!あんな娘! ―

 

ニコは優しすぎる

だから・・・だから!

 

恐らくは魔法少女となったばかりなのだろう

彼女は魔獣の攻撃法すらわからず、魔獣の間合いに入ってしまっていた

もう助けられない

でも、ニコは違った

 

― 今ならまだ間に合う! ―

 

緑髪の少女を庇って、魔獣の放った光の中に消えるニコ

ニコは最後まで笑っていた

心配しないで、と

 

 

私は「救済」の魔法少女と一緒に、故郷に戻った

彼女の力でパパとママは目覚めた

再び家族三人の生活に戻った

でも、傍らにニコはいない・・・

ずっと私を見てくれた、私の守護天使はもう語りかけてくれない

 

 

「願い通りにしたわよ。彼女は海香の魔法で書き換えられた通りに、自分を神那ニコではなく聖カンナと思い込んでいる」

 

「感謝する。両親を目覚めさせた上で、私の条件も飲んでくれて・・・」

 

「灰色の髪の少女」宇佐美真琴の傍らにはオリジナル「聖カンナ」

二人が居るのはカルフォルニアの住み慣れた我が家

彼女達が旅立つ前とほとんど変わっていない

彼女がカンナが魔法少女の「願い」で生み出した「神那ニコ」は、自分を「聖カンナ」と思い込んで、植物状態から目覚めた両親と一緒に生活している

自分が魔法少女であるという記憶はある

「接続の魔法」を使う「聖カンナ」として

楽しそうに母親や父親と朝食を食べる彼女の姿に、カンナの心の奥がチクリと痛んだ

 

「大丈夫よ。計画が成功すれば、貴方もニコとまた一緒になれるわよ・・・・聖カンナ」

 

真琴が傍らの少女に話しかける

 

「・・・・行こうか」

 

「ええ」

 

二人の姿は突如現れた扉の向こうへと消えた

 

 

「再生成」の魔法少女 聖カンナ

 

彼女が宇佐美真琴から両親の覚醒の代わりに出された条件

それは、彼女の作る「楽園」の為にその身を捧げる事

カンナにとって、その条件に悩むことなんてなかった

彼女が拒否すれば、両親を目覚めさせる手段はなかった

でも、この取引のことをを聞けば心優しいニコは決して許さないだろう

だから海香の「イクス・フォーレ」で「死んだ」事にした

 

「私一人が犠牲になるだけで、ニコが幸せになれるのなら・・・・」

 

聖カンナが呟く

彼女は知らない

「かつての世界」でも聖カンナは合成魔法少女である「神那ニコ」に両親も、人としての幸せも、彼女全てを託した

世界線は違えども、自分がそれと同じことをしていることにカンナは気づかなかった

 

「因果な・・・・・」

 

真琴は健気に笑う彼女を見つめるしかできなかった

 

 

 




相変わらず、ワタモテが痛い・・・

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