鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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早速、ヤマト2199の設定資料集が入荷した
まぁバンピーが読んでも理解できんからね



終わり

 

「ハァハァ・・・・・」

 

サキは肩で荒々しく息をする

彼女がその身を抱きしめ、身体の震えや高揚をおさめようとするが、なかなかおさまる気配はなかった

彼女の心の中で渦巻くもの

それは敵を自らの手で倒すことができたことも大きいが、それと同時に不安もある

 

「やった・・のか?」

 

サキが放った電撃鞭からの一撃

それはインド神話において描写されている雷霆神が放つ「インドラの矢」を思わせた

 

ジュゥ・・・・・・・

 

かなりの電撃だったのだろう

怪物の居た温室から、高温の蒸気が吹き出していた

その蒸気のおかげで、未だに辺りは白い闇に閉ざされている

これでは迂闊に動くことはできない

サキとしては、先ほどの電撃鞭以外の攻撃方法は思いつかなかった

電流を使っての高速移動での離脱も考えられるが、それとて「魔法少女」となってばかりのサキに、それをうまく活用できるかどうかも不明だ

とはいえ、先ほどまで植物園を覆っていた結界は消滅していた

恐らく、変貌していた植物園も元の姿へと戻っているだろう

あの「怪物」が壊した場所は戻っていないだろうが・・・

サキが電撃鞭を懐中電灯替わりに構えながら、ゆっくりと歩く

 

ガラッ!

 

「?!」

 

バシュッ!!!!

 

サキが鞭を振った瞬間、その先端から野球ボールほどの電撃弾が発射される

 

バチバチバチ!!!!

 

その玉は壁に当たり、周囲の壁に穴をあける

同時に風が入り込んだ

見ると壁の穴を通して、外部の風景が見える

穴から入ってきた風が周りの白い闇を散らした

白い闇の合間に赤いバンプスが見え隠れする

それが意味するものは一つしかない

 

「そんな・・・・まさか!」

 

無我夢中でサキは電撃鞭を振い、放たれた電撃は確実に目の前の「化け物」に間違いなく当った

その瞬間に周囲に彼女以外の人間の姿は一切確認していない

だが、例え放つ前に確認できなかったとしても、放った瞬間の強烈な閃光で周りを完全に確認できたとは言い難い

此処にサキ以外の犠牲者がいたとしたら?

そして既に「化け物」にとらわれていたら?

あれだけの電撃だ

並みの人間が耐えきれるとは到底思えない

今更ながらにサキは自らの力に恐怖した

 

「大丈夫・・・・誰も居なかった・・・・間違いない」

 

彼女は自ら確認するように呟く

不安ではあるが、しかし確認せねばならない

無視するわけにはいかないのだ

サキは何か、心騒がされるような衝動に突き動かされながらも、静かにそこに近づく

無論、電撃鞭はいつでも使えるように構え、常に周囲を警戒している

確かにあの一撃は強力だった

とはいえ、「化け物」があの一撃で完全に滅せたかどうかはわからない

だからこそ、サキは手に構える電撃鞭以外にも、手足に微弱な電流を流していつでも高速離脱ができるようにしている

魔法少女になったばかりの彼女に頼れるものはそれしかない

自分自身の魔法がなんであるかサキにもわからない以上、出し惜しみすることはあってはならない

 

ガラッ・・・

 

サキが極力音を出さないよう、慎重に瓦礫を掻き分けながら進む

先ほどよりも晴れてきたとはいえ、いまだ蒸気は植物園全体を覆っている

敵は一体だけとは限らない

もしかしたら、姿を隠してこちらを監視している可能性すらある

彼女が「化け物」のいた場所に近づいた時だ

 

「・・・・・?」

 

白い闇の合間に何かが見える

やや紫がかったシルバーブロンド

知り合いにそんな髪をしているのは、彼女以外には一人しか知らない

 

タッタッタッ!!!!

 

内からの衝動にサキが走りよる

もはや、慎重に行動することも、警戒し何時でも戦えるように電撃鞭を構える余裕などない

信じたくない

だからこそ一刻も早く確かめなければならない

 

「ッ・・・・・・・!」

 

サキの目の前

プレアデス聖団の自称妹「若葉みらい」と同じ、お姫様のような豪奢な髪型

ふっくらとした女性的な肢体を包む、白いブラウスとスカート

コンクリートの殺風景な地面に、力なく横たわる「少女」はサキの見知った人物だった

 

「み・・・・美幸・・・?」

 

化け物が倒れた場所にはサキの妹である「浅海美幸」が横たわっていた

その面立ちは黒い煤に汚れ、地面に投げ出された手足はまるでゴム細工のように力はない

 

カラン!

 

サキがその手にしていた電撃鞭を無造作に放り投げる

 

「美幸!美幸!!!!!!!!」

 

美幸から返事はない

サキが彼女を抱き起し、そのブラウスに手を掛けて一気に引き裂く

 

ビリィィィィィィィ!!!!!!

 

彼女の懐から、黒い卵型の物体 ― イーヴル・ナッツ ― が転げ落ちた

しかし、サキはそれよりも美幸の胸の谷間に耳を当てる

弱弱しいが、心臓は確実に鼓動していた

 

「なんで・・・・・なんで美幸が・・・・・!」

 

サキが絶望の声をあげる

 

「酷いお姉さんだね~。永遠に自分を見ていてもらいたかった妹を自らの手に掛けるなんてね~~~」

 

「!」

 

背後からの声にサキが振り向いた

その瞬間

 

「トッコ・デルマーレ!」

 

サキが最後に見たもの

それは金色の髪の道化師の姿だった

 

「貴方のソウルジェムも、この優木紗々が頂いちゃいますよ」

 

優木紗々がサキのソウルジェムを手に微笑んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まどマギ四コマアンソロジー・・・・・

ぶっちゃけ地雷でした

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