「僕が結界を張ります!!!」
鉄仮面の魔法少女こと、宇佐美真が銀のガントレットに覆われた手を横に薙ぐ
ヒュォォォォォォォ!!!!!!!
瞬間、真を中心に仮面のモチーフがあしらわれた結界がホテルのワンフロア全体を覆い包んだ
「ありがとう真さん!」
「織莉子さんは何時でも相手を虚像結界に引きずり込めるよう準備していてください!」
― 虚像結界 ―
織莉子はその「願い」の影響からか、基本彼女自身戦闘向きの能力を持っていない
故にその攻撃方法も特殊なトラップを設置、対象をトラップに誘い込んで滅することが主になる
とはいえ、彼女のトラップ設置には時間がかかる
だからこそ、「攻撃型」の真が結界を張り前衛を務めているのだ
真が目を瞑り意識を集中させる
細い糸と糸が繋がるイメージが脳裏に浮かび、それを強く意識することで結界と自分自身とを接続する
こうすることによって結界内にいる「魔獣」の位置を特定するのだ
また、これは逃げ遅れた一般人が結界内に巻き込まれていないか否かを判断するためでもある
― 何で・・・魔獣の魔力を感じないんだ? ―
魔獣がそこにいるのなら、間違いなく瘴気と魔力を振り撒く
だが、その痕跡すら見えない
まるで魔獣何て何もなかったかのように・・・・
― 探査方法を変えてみるか ―
真は一旦、魔獣の探索を終えると、結界内での一般人の探索を行う
結界内に浮かぶ仮面の一つが真の視覚と繋がる
真の素顔を隠す「鉄仮面」
これは彼自身の正体を隠すという意味もあるが、様々な機能を秘めたデバイスでもある
今、真の仮面にはマルチタスクで映像がリアルタイムで表示される
その映像の中には一般人の姿は一切、映されていない
「織莉子さん一般人はいないようです」
「運がよかった、というべきかしらね・・・・」
二人が魔力を感じたと同時に、このフロアから久臣も蓮助もゆまやメイド達でさえ消えていた
少々、運が良すぎると感じるが、しかし、これは二人にとって非常に都合がよかった
もし此処に彼らが残っていたとしたら、二人はこんなに自由に振る舞うことはできなかっただろう
ガラッ・・・・
「魔獣?!」
真が銀のガントレットを音の聞こえた方向に向ける
「久臣さん・・・・・・ドコニイルノ・・・・・?」
そこには茶色の髪をした妙齢の女性がふらふらと歩いている
女性は夜の闇よりも黒いドレスを着ていた
彼女は焦点の合わない瞳で譫言のように、久臣の名を呼んでいた
真は彼女のことは知らないが、久臣の名を知っていることから、彼女はパーティーの参加者であると判断した
~ すみません織莉子さん!パーティーの参加者が一人取り残されていたようです・・・ ~
~ 一般人? ~
織莉子は疑問を感じた
なぜならば、今日のパーティーはあくまで内輪でのもの
参加者も真の父親とゆま以外は美国家のメイドや執事くらいしかいない
父に「関わり」のある会社の役員さえも呼んでいないのだ
~ ええ。黒いスーツを着た女の人です ~
織莉子の記憶の中に、黒いドレスを好んで着る人物なぞ一人しかいない
それも彼女が父の秘書をしていた時に、プレゼントされたドレスをだ
~ 桑島さん? ~
父の「特別」になりたがるお嬢様、「桑島桂子」
彼女は今回のパーティーに招待されてはいないはずだ
ではなぜ?
織莉子の背中を冷たいものが走る
「真さん!!!!今すぐ離れて!!!!!!!」
織莉子が叫ぶ
しかし、前衛を務める真と後衛の織莉子はあまりにも距離が離れていた
「どうしたんですか織莉子さん?」
真はつい織莉子の方へ顔を向けてしまった
それが致命的なミスへと繋がった
― 魔法少女の敵は魔獣だけではない ―
佐倉杏子に何度も聞かされた言葉だ
その言葉の意味を真は思い知ることになる
ヒュッン!
ヒュッン!
グシュッ!
「ぅぐぅ・・・・・・!!!!」
無数の糸が真を貫き、その身体を拘束する
それは目の前の黒いドレスの女性「桑島桂子」から放たれていた
「みぃ~~~~つけた・・・・」
桂子が歪んだ笑みを浮かべる
NGシーン
「ぅぐぅ・・・・・・!!!!」
無数の糸が真を拘束する
それは目の前の赤いスーツの女性「桑島桂子」から放たれていた
「みぃ~~~~つけた・・・・!」
桂子が歪んだ笑みを浮かべた
「うふふ・・・・・」
真の身体を蜘蛛の糸が貫く!ことはなかった
「生まれたばかりのようにすべすべな肌・・・・・ぐへへ」
「ヒィィィィィィ!!!!!」
真は魔法少女として「再誕」した日から覚悟している
それは自分が死んでも、誰も知らないだろうということを
魔法少女が魔獣の結界の中で死んだら、その死体は結界に取り残される
もし魔獣が滅したら、その中で死んだ魔法少女の死体も消えてしまう
だからこそ真は覚悟していた
でも・・・
「でも、蜘蛛だか何だか分かんないモノに犯されるのはやだーーーーーー!!!!!!」
「おねぇーさんが男では味わえない快感をオ・シ・エ・テ・ア・ゲ・ル」
桑島桂子は久臣に振られ続けて以来、若干レズになりつつあることを織莉子は知らなかった
「らめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
やや艶のある悲鳴をあげる真
スチャ!
織莉子は密かにカメラを構えていた・・・
姫騎士ときたら異種姦でしょ!