鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下します


シンニュウシャ

牧カオルにとって、御崎海香は友人以上の存在、大切な「家族」といってもよかった

カオルが物心ついた時から彼女は常に「異邦人」だった

見知らぬ土地

聞きなれない言葉

彼女は両親と一緒に日本を遠く離れた、ブラジルで過ごし幼少時は現地の日本人学校で学んでいた

しかしそれも一年前に突然終わりをつげた

資源開発会社で働く両親の周りがキナ臭くなってきたのだ

ブラジルの資源を狙う国は日本だけではない

彼らは利益を得るためには手段を選ばず、人間らしい良心など皆無だ

両親は一番守るべき存在である、一人娘のカオルをたった一人で日本に帰国させた

彼女を守るには最良の手段だ

カオルもそれを理解していた

だが、両親がいない異郷での暮らしは彼女に暗い影を落とした

日本語は話せるが、しかしそれだけだ

衣食住に不満はない

まぁ、豆を甘く煮て作る「和菓子」には今も慣れないが

不安な気持ちで初めての登校日を終えたカオル

 

~ あ・・・・図書室で明日の予習しなきゃ ~

 

カオルが図書館へとむかい扉を開いた

 

プシュゥ・・・・

 

圧縮空気が抜ける音が響き、ドアが開く

 

「名作の予感がわっくる・・・わっくる・・・・・・・わっくる神よぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

「へ?」

 

図書館には先客がいた

群青色の艶やかな長髪

それは父親の書斎に置かれた日本人形をカオルに思いだした

しかし、その「日本人形」のような少女は何事かを叫びながら狂乱していた

明らかに異常な状態だ

周りには彼女と係の少女が一人だけだった

それよりも・・・

 

~ あ・・・あれって・・・ツノ?ツノだよね・・・・・ ~

 

少女の髪の上にはなぜだかツノ?らしいものがついていた

 

「ごめんなさいね・・・・・あの娘、執筆に息づまるといつもああなの」

 

カオルが振り向くと眼鏡をかけた図書委員の少女が立っていた

 

「執筆?」

 

彼女が怪訝な顔でカオルを見つめる

 

「・・・・・・あなた、ひょっとして今日転入した帰国子女?」

 

「ええ・・・牧カオルって言います」

 

「それなら知らないわね。あの娘、う~かって名前で小説家しているのよ」

 

「小説家?」

 

「そう。イノセント・マリスってラノベ知らない?」

 

「そういえばブラジルで友人の一人がそんな名前の小説を読んでたっけ・・・」

 

カオルが「ツノ付き少女」の周りをみると、様々なジャンルの本がパソコンの周りに置かれていた

 

「いろんな人がいるんですね・・・・」

 

「そうよ。貴方も結構かわいいしもっと笑ったら、男でも女でもイけちゃうかもよ~~~~」

 

カオルがその少女から距離を取る

 

「冗談冗談。探している本があるのなら探すわよ。こう見えても図書係だからね」

 

「ありがとうございます・・・・ええっと・・・」

 

「瑠樹花実よ。はなって呼んでね。それであの娘は・・・・アレいない?」

 

ゾクッ!!!

 

~ 何・・・このプレッシャ―は! ~

 

間違いなく背後に「何か」が居る

 

ガシッ!!

 

「ひぃ!!!」

 

振り向くと、例の「ツノ付き少女」が立っていた

 

「あなた・・・・帰国子女なんですってね・・・・・・」

 

少女の目は明らかに獲物を目にした獣の瞳をしていた

 

「これぞわっくる神の導きよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

こうして二人は出会った

あまりいい出会い方ではなかったが、同じく帰国子女であると聞いて意気投合した

やがてカオルはブラジルでやっていたサッカーを再びはじめ、サッカー部のエースとなった

海香も経験を増やすという意味で、個人劇団の脚本担当になった

海香はやや癖のある性格はしていたが、サッカーの試合で怪我をした時でも毎日見舞いに来てくれた

だからこそ・・・・

 

「もし・・・・海香が助かるのなら・・・・私は・・・・・・・・」

 

― 悪魔に魂を売ってもいい! ―

 

彼女の決意を知る者は誰もいない

 

 

 

 

NGシーン

 

暗い廃墟

二人の少女が相対していた

制服から二人とも中学生とわかる

一人はしっとりとした艶のある黒髪を持ち

もう一人は明るい金髪をショートカットに纏めていた

二人とも、世間一般からいえば美少女といえる

だが、今その端正な顔は所々、青あざができている

 

「・・・・・花実、いまなら間に合うわ。認めなさい・・・・・」

 

「葵・・・・・それを認めることは私にとって死ぬのと同じことよ・・・」

 

黒髪の少女「三鐘葵」が悲しそうな表情で呟く

 

「友人だと思っていたのに・・・・」

 

「私は今もそう思っているわ」

 

金髪の少女「瑠樹花実」が目を伏せる

 

「だから・・・この一撃で楽にさせてあげる!!!!!」

 

花実が「貫手」の構えをとる

 

「貴方の十全、受け止めてあげるわ」

 

葵が日本拳法の「波動突き」を構える

 

ビュッ!

 

二人は限界まで引き絞られた弓のように跳ぶ

 

「女装少年が至高よぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

葵が叫ぶ

 

「男装少女こそが、天国への扉なり!!!!!」

 

花実が叫ぶ

 

「「だぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁあ!!!!!!!!!!」」

 

 

数日後、あすなろ市中央中学校にて

 

「牧カオルさん、今度の学園祭でウチの生徒会が出し物をすることになって・・・・ちょっと協力してほしいの・・・」

 

傷だらけの花実が海香を探しに来たカオルに微笑む

後ろ手に学ランを持ちながら・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 




女のオタのカップリング争いはマジ「女の戦い」

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