鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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デザート・イーグル
これほど中二病を満足させてくれる銃ってないよね


銃口

ゴールデンウィークも後半

残り少ない大型連休を楽しむ家族がひしめいていた昼間の喧騒は薄れ、琥珀色の光に包まれる河川敷

昼間の喧騒を感じさせるものは何もない

そこで二人の少女が対峙していた

マギカ・カルテットで研修を受けていた「和紗ミチル」と、マギカ・カルテットの「暁美ほむら」だ

 

「いい?お互い、自分の持っている全てを以って戦いなさい」

 

マギカ・カルテットを率いる、リーダーである巴マミが淡々と二人にルールを告げる

その表情は真剣だ

研修最終日、今までマギカ・カルテットで学んできた全てを出し切る為の「最終試験」

それが魔法少女同士の一騎打ち

ありえないことではない

「流れ者」の魔法少女とその場を縄張りにしている魔法少女が戦うこともある

ミチルのいるあすなろ市はここ見滝原ほどではないが大きい都市だ

現在はミチル以外に二人の魔法少女が活動しているとはいえ、「流れ者」が来ることも十分考えられる

いざというときに、同じ魔法少女であることで本来の実力を発揮できなければあとは悲劇的な未来しかない

それ故の模擬戦だ

効果的にダメージを相手に与え、それでいて「やりすぎ」てはいけない

魔法少女の力は危険だ

魔獣ならいざ知らず、好き好んで同じ魔法少女を害したい魔法少女はいない

故に、この最終試験は非常に難しい

そしてリスクも高い

 

彼女達の手には黄色いリボンが巻きつけられていた

 

「相手のリボンを取った方が勝利者となる。ルールは了解した?暁美さん」

 

「・・・わかったわ」

 

暁美ほむら

マギカ・カルテットの一員である「弓使い」

彼女はミチルの研修では、他のメンバーのように、彼女にあまり手の内を見せてはいない

だからこそこの「最終試験」に選ばれたのだ

 

「ミチルさん、いざという時の備えはしっかりとしているから遠慮なく戦ってね」

 

巴マミが微笑む

 

「はい!お姉さん!!」

 

 

「なぁ真。よくあのほむらがOKしたな」

 

二人の背後で佐倉杏子と真が待機していた

無論、何かあった時の備えだ

二人とも魔法少女形態をとっている

真にいたっては巴マミの固有魔法をコピーしている

 

「暁美先輩もミチルさんのことが心配なんですよ」

 

「そうか?アイツの研修中、しょっちゅう睨んでたりしていたぜ?」

 

「そうですか?僕にはいつもと変わらない暁美先輩にしか見えませんでしたけど」

 

「ったく、相変わらず鈍感なヤツだな真は」

 

「僕はいたって普通ですけど・・・・鈍いですか?」

 

「そうだよ!」

 

二人が面白夫婦漫才を繰り広げているのを横目に、運命の時は刻一刻と迫っていた

 

「では・・・・開始!!!!」

 

巴マミが離れると同時にその場にほむらの固有魔法陣が広がり、結界が構築される

 

「久しぶりに見たぜ、ほむらのド○えもん結界・・・・」

 

懐かしのセルアニメ版、ド○えもんのぐにゃりと歪む時計のような意匠が散らばった結界に二人は包まれた

 

 

「研修生」和紗ミチルは結界の有用さをこの研修で学んでいた

曰く、結界は魔獣に誘い込まれた「一般人」を守りつつも、自分の正体を隠すことができる事

曰く、魔力量に左右されるが、魔獣の攻撃を制限することもできる

魔法少女同士の戦いでは先に結界を張ることが定石ともなっている

 

「出遅れた!!!!」

 

ミチルが後悔するよりも早く、彼女はほむらの結界に飲まれてしまった

彼女が黒杖を構える

しかし・・・・

 

「無駄よ・・・・・」

 

ミチルが振り向く

暁美ほむらがたっていて、彼女の額に拳銃を突きつけていた

 

― デザート・イーグル ―

 

50口径という、拳銃としてはあり得ない大口径自動拳銃

これは例え「エネミー」が防弾チョッキを着ていても、その内部にダメージを浸透させるために選ばれた口径だ

何も伊達や酔狂で選ばれたわけではないのだ

しかしその代償は大きかった

拳銃としては重すぎる重量

そして、その反動

特殊なガスオペレーションシステムを持っているため、「撃つこと」は誰でもできる

しかし、正確な射撃は望むべくもない

無論、とてもじゃないが「少女」が扱える代物ではないことも確かだ

だがしかし目の前の少女は軽々と扱っている

 

「ははっ・・・・・負けちゃった」

 

一騎打ちはミチルの敗北に終わった

しかし、ほむらがデザート・イーグルの銃口を下げることはなかった

そして静かにミチルに語りかける

 

「ミチルさん・・・あなたも転生者なの?」

 

「?!」

 

ミチルの顔に驚愕が広がる

 

「答えなさい・・・あなたは転生者?」

 

ほむらがトリガーに力を込めた

 

 

 

NGシーン

 

「なぁ真。よくあのほむらがOKしたな」

 

「そうですか?」

 

「だってよ・・・・」

 

 

ウォォォォォォ・・・・・・

 

杏子達の目の前には無数の魔獣

早急に後方支援が必要な事態だ

 

「マミが居ないって時に!!おいほむ・・・」

 

杏子が悪態を吐いた瞬間だった

無数の矢が魔獣の群れに無数に降り注いだ

 

「佐倉杏子何かしら?」

 

後方を担当していた暁美ほむらが弓を手に立っていた

 

「いや・・・いい・・・・」

 

 

「アイツは基本無愛想、無表情、無言だしな」

 

「でも今、ミチルさんと戦っているほむらさんはとってもイキイキしていますよ?」

 

「何かそれが気になるんだよ・・・・・アイツがあんな顔をしているのを見たことすらないんだぜ?」

 

杏子の疑問は確かだった

学校でも、そして魔獣の討伐でもほむらが感情を表にすることはない

 

~ なんか・・・・「違和感」があるな・・・・・ ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




デザート・イーグルは銃本体も高いけど、弾(50AE)も糞高いです

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