今回はとても展開が早く、あまり面白くないかもしれません、ご了承ください。
では、ゆっくりしていってね!
翌朝。蓮太郎は延珠に連れてかれアパートの裏手の空き地へと向かった。
で、僕は……、霊夢と推理していた。
「……結局、女の子には会えてないし、この世界というか、現代を僕が来た時代に戻す手掛かりもないし……。」
「確証はないけど、一応は考えがあったんじゃないの?」
「まぁね。……飛ばされたあと、後ろを向いたら一瞬だけ空間が避けていた気がしたんだ。一瞬すぎて何も言わなかったんだけど。」
「空間が避けていた……ものすごく既視感があるわね。何だったかしら……。」
「「う~ん……。」」
はて……どこかで覚えてる気がするんだけど思い出せない……。あぁ、寝惚けてるのか何なのか、もどかしいったらありゃしないなぁ……。
と、ここであることに気付く。
「あれ?僕らって手掛かりまともに探したことあったっけ?」
「そういや、ないわね。……今日は探しに行きましょうか。」
「うん、そうしよう。」
そうして、僕らは街中へと歩き出した。
―――――
「へぇ~……人里も結構進歩するのね。」
「まぁ、十数年経ってるみたいだしね。」
結局、僕らは商店街へと来ていた。そして、ぶらりと歩きながら周りを見る。
「あら……。」
宝石店のショーウィンドウの中にある宝石が目に止まったのか、霊夢が近寄る。
「へぇ?案外女の子らしいところあるじゃんか。」
「う、うるさいわね。私だって女よ?まぁ、幻想郷じゃ性別は殆ど関係ないけど。」
「女の子しかいないよね。」
「ほほぅ?言っとくけど他の女の子に手を出したら許さないわよ?」
「へいへい……。」
僕は、あまり真剣に霊夢の一言を聞いてなかったので、半ば聞き流してしまった。……後から思えば、このときしっかり聞いておけば、あぁはならなかったのかもしれない。
そして、霊夢が赤面しているのを気付けなかった僕は、きちんと霊夢を見ておけばよかったかもしれない。歩き疲れていたのかもしれない……。
「――そいつを捕まえろぉ!!」
「なんだ!?」
「行くわよ!!」
「え、あ、うん!」
向こうから聞こえた男の人の声に、霊夢が反射的に走り出し、ほんの少し遅れて僕も走り出した。
――――
「延珠、一人で家に帰れっか?」
「え?」
声の先には、何故か蓮太郎と延珠がいた。そして、突如蓮太郎は走り出し、背格好からして中学生の原付を奪うように乗り、エンジンをかけた。
「蓮太郎!!」
「妖人!!霊夢!!悪い!急いでるんだ!!」
「僕らも行くよ!!」
「わかった!先いってる!!」
蓮太郎はよほど急いでいたのか、そのまま猛スピードで何かを追いかけるように道路を走り出した。
「延珠、いったい何が?」
「わ、妾の同胞が警察に連れ去られて……蓮太郎がそれを追いかけていったのだ…。」
「なる。んじゃ、霊夢。悪いんだけど、延珠と一緒に帰ってくれないかな。」
この先は、きっと霊夢達は胸を痛めてしまうだろう。本能がそれを伝えていた。
「しょうがないわね……。貸し、一つだからね?」
「了解。」
僕は、路地裏へと入り、《霊狐》を足に『部分憑依』、つまり部分的に纏って飛び、屋上伝いに蓮太郎が向かった方向へと飛び始めた。
外周区付近につき、目の前にある大きなモノリスに少し驚きながら、歪曲しかけの電波塔の脇にパトカーが止めてあるのを発見した。音をたてずに着陸すると、中へと入り、柱の陰から様子を伺う。すると、そこには……。赤目の少女が警官に頭部を撃たれていた。それも、三発。
明らかに致死量と思われるほどの血だまりができ、僕は唖然として動けなかった。
警官は、そそくさとその場から逃走した。僕は、駆け寄った。
「妖人……。」
「蓮太郎……。」
震える足で蓮太郎が女の子の近くに近寄り、冷たくなっていく少女を抱き抱えた。その際、蓮太郎が僕を見た。
「これが……これが!人のやることかよ!!何が正義の味方だ!!市民を守るだ!!こんな虐待を座視していたのかよ、俺達は!!」
「……人は、誰かに何かを押し付ける。それは、僕らだって変わらない。人間なんだから。そして、蓮太郎のように優しい人達がいる分、あぁゆう奴等がいる。世界は醜い部分を隠しているんだ。そして、世界で隠されているから、あぁゆう奴等が平然としている。僕は、そんな世界は大嫌いだ……!絶対、許さない……!!」
僕らは憤慨した。その憤慨を打ち砕くように、蓮太郎が抱き抱える少女が激しくむせた。
それに、顔を見合わせた僕らは頷き、急いで病院へと向かった。
――――
病院へと着くなり、少女は手術室へと消えていった。そして、蓮太郎は手術費用を肩代わりするといい、病院を後にした。
「……疲れた……。」
「それに、寒いね……。」
「あぁ……。」
僕と蓮太郎はとぼとぼと帰り道を歩いていた。今は夜中の2時。いくら春頃だとはいえ、夜中はやはり寒い。しばらくして僕らのアパートが見えた。明かりは一つも見えない。きっと寝ているのだろう。まぁ、こんな時間まで起きてたら体に悪いから、絶対すぐ寝かしたろうけど。
「お疲れのようだね、民警くん達。」
底冷えのするような声に、蓮太郎は腰のXD拳銃を抜きながら、僕は、腕に《霊狐》を纏いながら振り向き、声の方へと向けた。すると、蓮太郎と僕の鼻先に拳銃が突きつけられていた。……ゆっくりと、それぞれ得物を下ろした。
「随分悪趣味なぶつじゃねぇかわ蛭子影胤(ひるこ かげたね)。」
「ヒヒ、こんばんは里見くん。桜花(さくらか)くん。」
燕の尻尾のように長い背中のせびれのような部分がある燕尾服に仮面という、オペラ座にいてもいいくらいの怪人は、奇妙な拳銃を二丁腰につけていた。
「こちらの黒いのはマシンピストル『スパンキング・ソドミー』、同じく銀色のは『サイケデリック・ゴスペル』と言ってね。私の愛銃達だ。」
「何しに来たのさ。」
「実は、里見くんに話があってね。……桜花くんには、別の方からのお誘いだ。」
「?」
影胤はパチンと指を鳴らした。すると、僕の目の前に境界が開いた。境界にある目が僕を睨んでるかのようだ。
……この、境界は……!?
僕は、境界から伸びた手に引きずりこまれた。
――Go for the next!!
どうでしたか?
前書きにもかいた通り、展開が早すぎました。反省すべき点です。
次回は、いよいよクライマックス!様々な謎が残る現在を、どう裁けるか!
では、じゃあの!!