東方冒険禄2――なかなかチート主人公――   作:遠山tsun

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遅れてすみません……遠山tsunです!
今回はついに!?それでは、ゆっくりしていってね♪


~驚愕~

「聖天子様……。」

「聖天子様?」

「お前……さすがに聖天子様を知らないのはどうかと思うぞ……?」

「あ、あはは……。」

 

僕、桜花 妖人(さくらか ようと)は、博麗 霊夢(はくれい れいむ)と一緒に僕が今日から勤務となった『天童民間警備会社』の先輩であり、一日居候をさせてくれた里見 蓮太郎(さとみ れんたろう)の作ってくれた朝ご飯を、こちらはずっと居候であり、蓮太郎の『イニシエーター』藍原 延珠(あいはら えんじゅ)を加えた四人で食べて、蓮太郎は勾田高校に、延珠は勾田小学校へ行くため支度をしていた。僕と霊夢は蓮太郎が今日中に手続きをしてくれるとのことで、学校は明日からだ。

 

そんな時、テレビから「ご覧ください!!」と女性レポーターの甲高い声に引き寄せられるように皆の視線がテレビに向き、テレビには白い服に包まれた、とても綺麗な女の人が観衆に向けて笑顔で手を振っていた。

 

なるほど、様、というのは美しさというだけではなく、ほんとにそう呼ぶ立場にあるからだろう。

 

「蓮太郎、あれ。」

「ちっ、ジジィか。」

「ジジィ、ってことは、少しはあなたと縁があるのかしら?蓮太郎。」

「あぁまぁ、ちょっとしたな。」

 

延珠が聖天子様の後ろに立つ白髪白髭のおじさんが立っているのを指差し、蓮太郎が苦虫を噛んだような顔をしたことを、霊夢が少し面白そうに聞く。本当に面白がっているかはわからないけど。

 

「む?そろそろ時間ではないか?蓮太郎よ。」

「あ!やべ!?おいお前ら!!全員外に出ろ!!」

 

こうして僕らは慌ただしく蓮太郎のアパートを飛び出した。蓮太郎達が学校に行ってる間、僕と霊夢は契約金と渡されていた報酬の三分の二(いらないといっても聞かなかったからだから!!奪い取ってないからね!?)を持って、この世界での新居を探すことにした。

 

蓮太郎がアパートの部屋を買ったときに行った不動産のメモをみながら、霊夢と話す。

 

「とりあえずは、落ち着いてきたかな?」

「そうね、でもまずは家が先ね。また居候なんてのはさすがに図々しいからね。」

「霊夢でもそういう考えするんだ!?」

「あぁん?」

「誠に申し訳ございませんでした。」

 

歩く度にピョコピョコ揺れる赤いリボンに少し注目していたら、その後ろからどす黒いオーラと霊夢の般若のような顔、そして女の子とは思えない野太い恐怖極まりない三種の神器に神速の早さで謝罪をする。

 

最近霊夢のどす黒いオーラが出現する機会が増えてる気がするのは、気のせいだろうか?

 

「あ、そういえばさ、あの女の子、結局誰だったんだろう?」

「さぁね、多分この世界にいるはずだろうけど、今のところは放っておいても問題なさそうね。」

「んじゃ、幻想郷とこっちの時間がずれている原因を調べないと……といいたいけど。」

「けど?」

 

赤信号で立ち往生する僕と霊夢。霊夢が顔を上げてこちらを見上げて次の言葉を催促する。

 

「何となくだけど、予想はついているんだ。ただ、まだ予想だけだから、確定したら教えるよ。」

「ふぅ~ん。ま、期待してるわ。」

「ねぇ、霊夢?」

「うん?」

「あんまり興味なさそうだけど、霊夢は帰りたくないの?」

「別にそういう訳ではないけど、ただ面倒なのよ。……もし興味なさそうに本当に見えるなら、こういうことは案外珍しいことでもないから、慣れているからそう見えるだけだと思うわ。」

「へぇ~……。」

 

何気にずっと胸のうちにあったつっかえがとれた気がした。赤信号が青に変わり、立ち往生を食らっていた人達が皆一斉に歩き出す。僕らも歩き出して、少ししたら不動産に着いて、恐る恐る入る。

 

「いらっしゃいませ♪お部屋をお探しですか?」

「あ、は、はい!」

「それではこちらへどうぞ~。」

「はい……。」

「クスクス。」

「笑うなよな……!」

 

いつになっても慣れない接客に緊張する僕+それをクスクス笑う霊夢。

 

むぅ~……。

 

男性店員に案内されて、カウンターにつく僕と霊夢。店員が、大きなファインダーみたいな資料を開けながら僕に聞く。

 

「どのようなお部屋をお探しですか?」

「えっと、出来るだけ安くて、風呂つき、台所つきで、出来れば洗濯機は外のアパートはありますか?」

 

僕は蓮太郎の家を思い出しながら言った。

 

「そ~れ~だ~と~、こんなのはどうですか?」

「……。」

「妖人……あんた……わざと?」

「何もいえねぇ。」

「北○さんパクるんじゃないわよ!!」

「いやそういうつもりでいった訳ではないんだけどね!?……あ、その部屋でいいです。」

「かしこまりました♪料金は―――。」

 

僕が言った通りの部屋を店員さんから紹介された。

 

それもそのはず、店員から紹介された部屋は、蓮太郎のアパートで、しかもその隣の部屋だったからだ。

 

まぁ、サプライズみたいで丁度いいかな、みたいな感じで僕は了承して、金額を渡し、鍵を手渡された。

 

その後、僕と霊夢は来た道を戻り、蓮太郎の部屋を通りすぎ、隣室の部屋の鍵を開けて、小休憩をいれた所で、木更さんから防衛省の玄関で待ち合わせ、という電話が入った。

 

……場所の地図は電話の後、木更さんから送られて来たが、何故に防衛省?

 

僕と霊夢は小首を傾げ合い、地図を頼りに防衛省へと向かった。

 

――――――防衛省玄関――――――

 

僕と霊夢は、勾田高校の制服を着ている蓮太郎とセーラー服を着ている木更さんと防衛省の前で落ち合った。

 

「来たか、妖人、霊夢。」

「うん、何とかね。」

「皆集まったわね、さ、中に入るわよ。」

「え、あ、ちょっと待ってくれ木更さん!」

「?」

 

いきなり中に入る、と言われ戸惑う僕ら。それを代弁するかのように蓮太郎が木更さんを呼ぶ。

 

「今回はどういうことなんだ?」

 

どういうこと、というのは今回ここに呼ばれた理由のことだろう。

 

「知らないわ。ここに来い、としか言われてないわ。」

 

そういって中に入っていく木更さんの後を急ぎ足で追いかけながら、僕と蓮太郎は首を傾げた。

 

「嫌な予感がするわね……。当たらないといいのだけれど。」

 

そう呟いた霊夢の一言がいやに心に残った。

 

――――――

 

中に入ると、どうやら僕らが最後だったらしく、他の皆は縦長の机に均等に置かれた名札の席に座っていた。ただ、座っているのは社長だけらしく、後ろに立っている人と小さな女の子は恐らく護衛用に連れてきた民警の人だろう。

 

「末席だな。」

「仕方ないわ。実績ではうちが一番低いのだから。」

「……。」

 

言葉の通り、『天童民間警備会社』と書かれた札が置かれた席は一番端だ。そのことをぼやきながら、木更さんからの視線に目をそらした蓮太郎。

 

……察し。

 

「おうおう、誰だお前ら?」

 

そんな時、いきなり口元を布で隠した大男が、蓮太郎に向けて話しかけて来た。蓮太郎が僕らを手で制しながら、応答する。

 

「人に名を訪ねるときは、まず自分からだろ。」

 

蓮太郎が臆することなく大男を睨む。

 

「人に名を訪ねるときは、まず自分から?ハハハ!!面白い餓鬼だなっ!!」

「「「「ッ!?」」」」

 

蓮太郎がいきなり頭突きをかまされ、倒れこむと見せかけて低く構えて腰に手を伸ばす蓮太郎。

警戒心がはねあがり、僕は《霊狐》の準備を、霊夢はお払い棒とお札を構える。

 

「やめないか!!将監!!」

「!?でもよ!!」

「やめろといったんだ!!」

「……ちっ。」

 

優男の怒号により、舌打ちをしながらも立ち去る将監。あの優男は将監の社長なのかな?

 

「すまないね、うちのものがとんだ無礼を。」

 

少し離れた席だったので、歩きながら優男の人が、――名札が見えた――三ヶ島さんが詫びてくる。

 

「……部下の指導ぐらいしっかりしとけよ。」

「はは、面目ない。」

 

皮肉を蓮太郎が吐き捨てるように言ったが、三ヶ島さんは易々と受け流す。

三ヶ島さんが自分の席に戻ったのを確認し、蓮太郎が木更さんと話す。

 

「さっきのあいつ、一体なにもんだ?」

「『IP序列』千五百八十四位、伊熊将監よ。」

「千番台か……。」

「強いの?」

「あぁ、結構な。そして百番台からは悪魔に魂を売ったものと言われている。」

「なるほど……ちなみに、蓮太郎は?」

「……十二万とちょい。」

「……。」

「やめろ!!そんな生暖かい目で見るな!!」

 

蓮太郎のことを出来るだけ暖かい目で見る。……頑張れ、蓮太郎!!

 

「あれ?そういや僕と霊夢の―――。」

 

蓮太郎に僕と霊夢の『IP序列』を聞こうとしたとき、縦長の机の先にあるドアから、男の人が現れた。

 

「……む?一つ欠席か……まぁいい。」

 

こんな重要そうな会議に欠席か……どんな大変な用事なのだろうか?

 

男の人が咳払いして。

 

「諸君!!集まってくれて早速だが、この依頼は聞いてから断ることは出来ない!!断る者は速やかに退散してくれ!!」

 

そう叫ぶが、誰一人として微動だにしない。それを確認した男の人が、ドアの上にある大きな液晶パネルに会釈をした。すると、真っ黒な画面に写った人は……。

 

―――GO FOR THE NEXT!!

 

 

 




どうでしたか?
いやぁ、まさか家が隣になるとは、運命かな?
それでは、次回も波乱の会議編です!!
次回をお楽しみに~♪のしのし。

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