東方冒険禄2――なかなかチート主人公――   作:遠山tsun

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~怪物~

WRYYYYYYYYYYYY!!どうも、桜花妖人(さくらかようと)です。

 

僕は今、未来(?)の日本に居る。僕は普通の日本から幻想郷に行き、そこからこちらに来たんだけど、どうやら謎の女の子によると幻想郷と日本の時が離れすぎているとのこと。

 

そしてそんなこんなで幻想郷の巫女、博霊霊夢と一緒に飛ばされてきたんだけど、最初は二人とも離ればなれで薄暗い森の中だった。木が全部かれていて、何事かと立ち往生していると、後ろから巨大なワニの化け物が出てきた。

 

僕はそれを《霊狐》と呼ばれる僕の能力でなんとか切り抜けたんだけど、倒せはしなかった。投げ飛ばすくらいだった。

 

そして、《霊狐》を使ってすり減った体力のなか、森を走り回っていると、人影とともに、霊夢の僕を呼ぶ声が聞こえてきた。

霊夢の所にすぐに駆け寄ろうとした僕だけど、霊夢のこちらに来るという声に足を止めた。

 

そのとき、異変に気付く。あれ?あの人影、少し小さかったような……、と。

すぐに、目の前の草の群れが揺れ、またあの化け物かと身構えた。

 

けど、中からはピョコンと霊夢のトレードマークの赤い大きなリボンが出てきて、その後すぐに霊夢が出てきた。……十歳くらいの身長で。

 

霊夢にも理由はわからないとのことで、とにかく町に出ようという霊夢の意見に同意し、霊夢が空へと浮かび上がった。

 

……もう少し!!あともう一めくり!!そう下から覗こうという悲しい男の性で霊夢の下にあるきだそうとしたが、霊夢の上からの満面の笑みの奥に漂うどす黒いオーラに僕はすぐに元の位置にもどった。

 

霊夢が降りてきて、黒い大きな塔みたいなものが幾つにも、幾重にも並んでいると言って、町の方向に走り出した僕ら。

 

黒い塔の奥に見えた町に歓喜する僕らだったが、突如霊夢が落下し始め、危ないところで僕が助けた。霊夢がいうには、あの黒い塔の影響ではないかと。

 

中に入った僕ら。そこで僕にも異変が起きる。体力の回復が遅いのだ。恐らくこれもあの黒い塔の影響なのだろう。そう確信した僕ら。

 

そのとき、女の子の悲鳴と、化け物の声がした。

町のなかにあんなやつがいたら大変だ、ということで僕らは悲鳴現場に向かった。

―――――

「!!霊夢!!あれって!?」

「ええ、間違いないわ。……あれはさっき森でみた怪物よ!!」

 

走り始めてまもなく、悲鳴現場にたどりついた僕ら。そこにあったのは、木の柵が壊されて煙をあげていて、それを見てキシャァァアと声をあげている大きな蜘蛛の化け物だった。

 

そこに、一人の高校生くらいの人と、いかにも刑事、って人が二人の三人が現れた。

 

「ガストレアモデルスパイダーを確認!!これより交戦に入る!!」

 

青年特有の低いとも高いともつかぬ声が戦闘に入ることを宣言した。

 

ガストレア……というのがあの化け物の名前のようだ。そして、蜘蛛の姿をしているから、モデルスパイダーということか。

 

と、僕が理解した時、さっきの悲鳴を上げた女の子が木の柵の奥から出てきた。

 

「蓮太郎!!」

「延珠!!」

 

青年の方は蓮太郎、霊夢と同じ身長だから恐らく十歳くらいの女の子の方は延珠というのか。

 

その延珠が、蓮太郎の方に両手を広げて走り出した。蓮太郎も延珠の方に両手を広げて走り出す。どうやら二人は離ればなれになっていたようだ。

 

兄妹……には見えないけど……。

 

二人が再会の熱い抱擁をかわす……かと思いきや延珠が蓮太郎の急所目掛けて蹴りを放った。

 

「ぐぉぉぉお!!」

 

蓮太郎がアスファルトに頭を強く打ち付けて急所を押さえ込んで倒れた。

恐らく蓮太郎は彼岸の痛みにうちひしがれていることだろう。おいたわしや。

 

「フィアンセの妾を置いていくとはどういう了見だ?蓮太郎。」

 

なんだ。二人はどういう関係なんだ。フィアンセ?……あぁ、なるほど、あの蓮太郎はロリコンなのか。それなら合点が行く。……同士よ。頑張れ。

 

「お、怒ってるのかよ……。」

「当たり前だ。」

 

蓮太郎は苦しそうに前で仁王立ちして不満顔してる延珠に当たり前のことを聞き、延珠は当たり前の答えをかえす。

それもそうだ。フィアンセを置いていくとは、ロリコ(ゲフンゲフン)紳士の行為ではない!!

 

「キシャァァア!!」

「「!?」」

 

夫婦漫才(?)を繰り広げていた蓮太郎達に蜘蛛のガストレアが突進し始めた。突然のことに二人は回避することができない。

 

ちいっ……!あまり人前じゃ使いたくないが、仕方ない!!

 

「《霊狐》!!部分憑依《脚》!!」

 

霊狐……紫色の狐の獣の力を使い、足だけに霊狐を憑依させる。部分憑依なので体力も使わず、獣の脚が本物の脚を包むように憑依する形になる。

 

霊狐で強化された脚力で一瞬でガストレアの前に躍り出て、顔面に脚をめり込ませ、五メートルほど蹴り飛ばした。想像以上に固かったが、なんとか蹴り飛ばすことが出来た。

 

「キ、キシャ、キシャア…。」

 

ガストレアが痛みに震えている。効果はあったようだ。

 

「「お、お前は(お、お主は…?)…?」」

 

蓮太郎達の声が重なり、僕の事を聞いてくる。でも、今はそれどころじゃない。まずはあの化け物を仕留めなければ!!

 

「話は後!!二人とも武器もって!!」

「「お、おう(あ、あぁ!!)!!」」

 

また二人の声が重なる。蓮太郎は腰から拳銃……あれはスプリングフィールドXDだろうか。前にグークルで調べたことがある。

延珠はスッ……と静かに片足を上げて、交戦体勢に入った。

 

「キシャァァア!!」

 

僕の一撃で怒ったのだろうか。さっきより大きな声をあげてこちらに突進してきた。

 

「二度も同じ手を食らうかよ!!お前、避けろ!!」

 

僕が横に飛ぶと同時に、蓮太郎が銃のトリガーを引いた。

 

すると、パアァン!!と普通の弾じゃ聞こえない音とガンファイアと共に……黒い弾丸!?がガストレア目掛けて飛んでいき、ガストレアのこれまた顔面に当たり、ギィイイイ!!とさっきよりも効いてることが分かる苦しそうな悲鳴が聞こえた。

 

パアァン!!パアァン!!と蓮太郎は――セミオートなのだろう――トリガーを連続で引いて、黒い弾丸を連射して、確実にガストレアを追い詰めていく。

 

弾をうち尽くしたのだろう、空撃ちの音がした。

 

「くそっ!!弾切れか!!」

 

そう苦々しそうに叫ぶ蓮太郎にさっきまでずっと怯んでたガストレアが襲い掛かる。

 

が、それよりも早く延珠が飛び上がり、その延珠に目標を変えたらしいガストレアが延珠に飛び掛かろうと上を向いた。

そのガストレアに上空で華麗に一回転した延珠の回し蹴りがHITする!

 

……人じゃないのにロリのパンツを見るからだ。

ガストレアがバラバラの肉片になるなか、僕は心のなかで憎々しげに呟いた。

 

「蓮太郎はすぐ油断するな!!」

「……悪かったよ。」

 

着地して間も無く延珠が勢いよく振り返りSEをつけるならズビシッという音が似合うポーズで蓮太郎を指差し、指差された蓮太郎は申し訳なさそうに呟いた。

 

「おい、あんた。」

「?」

 

申し訳なさそうに頭をポリポリと掻いていた蓮太郎に、今までどこにいたのか、警官が後ろから声をかけた。

 

「最近ここらへんで少女誘拐事件があってだな……。身長はお前くらいで、体重はお前くらいだったんだが、どう思う?」

「え、冤罪だ。無罪だ、無実を主張する!!」

「詳しい話はあちらで聞こうか!!」

 

そういって、蓮太郎と警官は延珠の周りををくるくると回り始める。

 

「延珠も何か行ってくれ!」

「一言では言い表せない仲だ。」

「居候だ!!」

「いつも夜は寝かしてくれんのだ。」

 

その延珠の言葉を聞いたとたん、警官の手元からカチリと音がした。

 

なんだ、蓮太郎は射殺されるのか?可哀想な蓮太郎……ほろり。

 

「ちっ、おしゃれなブレスレットをつけてやったのによ……。」

「じょ、冗談きついぜ警部……。」

 

二人は回転をやめた。

 

あれは冗談だったのだろうか。大真面に見えたのだが……。

 

「そ、それよりあんたとその子は一体誰だよ?あれは……なんのモデルだ?お前はイニシエーターには見えないが……。」

 

蓮太郎が話を露骨に反らし、こちらに話の矛先を向けてきた。

 

その子、とは避けてからずっと戦闘を見守っていた僕の隣にトタタ……と可愛らしく走って来ていつのまにか隣にいた霊夢のことだ。

 

モデル……というのはあのガストレアのことを指すものなのだろうが、所々分からない言葉が聞こえる。

 

「えっと……僕の名前は桜花妖人で、この子は博麗霊夢っていうんだ。えっと、なんのモデルってどういうこと?それと、イニシエーターって……?」

「!?お前、民警じゃないのか!?なのにあんな……、……。」

 

民警……それが蓮太郎の所属する仕事の名前なのかな?

 

蓮太郎は僕が民警じゃないことに驚いているのか、少し考えてこう言った。

 

「よし、取り敢えず妖人……だったか。その霊夢って子を連れてうちに……『天童民間警備会社』に来い。なんつーかお前達、変なんだよな……。」

「は、はぁ……。わ、わかったよ……。」

「お、おい蓮太郎!!それよりそろそろタイムセールの時間じゃないか!?」

なんか命令みたいな感じで言われて戸惑う僕をよそに、延珠が蓮太郎の裾を引っ張る。

 

「あ?……うぉっ、やべぇ!!急ぐぞ延珠!!」

「あ、待つのだ蓮太郎!!フィアンセの妾を置いていくな!!」

 

延珠に言われて時間を確認し、慌てて走り出す蓮太郎。それに慌てて走り出す延珠。

 

「お、おいあんた!!どこいくんだ!?」

 

戦いに参加していなかったので忘れてた。警官が蓮太郎に叫ぶ。

 

「モヤシが一袋六円なんだよ!!あ、あと妖人!!絶対『天童』に来いよ!?多田島さん!!また仕事くれよな!!」

 

モヤシが一袋六円とはなんとお得な。

 

警官の多田島さんに叫んだあと、僕に釘を差す蓮太郎。そして、二人は夕焼けの景色のなかに消えていった。

 

「あいつ……報酬忘れてないか……?それに、もやし……?まぁ、いっか!!」

 

最初は戸惑っていた多田島さんも、最後はなんだか嬉しそうに見えた。

 

蓮太郎は報酬を受け取り忘れたのか。それに、また仕事くれって……一体どういうことなんだろうか?二人は同じ部署じゃないのだろうか。

 

「とにかくその『天童民間警備会社』とやらに行こうか。霊夢、行くよ~。」

「えぇ、……やっぱり、ここは私たちの知る日本じゃないのね。」

 

とにかく話はそれからだと割りきって、僕は霊夢を呼び、歩き始める。その後すぐに考え事を始めた霊夢。今の霊夢には、何を言っても無駄なので、放っておくことにした。

 

と、その前に……。

 

歩るきをとめて僕は多田島さんに駆け寄る。

 

「あ、あの~……?」

「あん?なんだ坊主?」

「その報酬金って、僕が受け取ってそれを渡すってのはいいんでしょうか?」

「……聞いてたのかよ、チッ……。せっかく金を払わずに済むと思ったのによ……。ま、ええわ。ほれ、これが報酬金だ。横領なんてバカな真似すんじゃねぇぞ?」

「しません!!」

 

そうして、僕は報酬金を受け取り、受け取りついでに『天童』の場所を聞いて、霊夢と共に歩き出した。

 

……ここから、僕と霊夢、そして蓮太郎達との運命の歯車が回り始める……。

―――――




どうでしたか?今回は体調が悪くて前書きが書けなくて……。すみません。

今回はついに主人公と蓮太郎が遭遇しましたね!!これからどうなるのか、見ものですよ!!

さて、それでは次回予告。
天童民間警備会社にたどり着いた妖人と霊夢。そこには、怒っている黒髪の女の子と、怒られている蓮太郎がいた。
そこで、妖人達は、ついに今の日本の現況を知る――!

それでは、また次回~♪
のし。

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