私には何かがわかる。何かに導かれたかのように。私はどうしても行かなきゃいけなかった。
せつな「なんだか気味が悪い場所ね…」
いかにも朽ち果てた廃墟に立ち踏み入ったのは私、東せつなだった。本来ならラブ達と一緒にお出かけしようと思っていたけど、朝方の時点で起きたことなのだから。ひょっとしたらちょっとおかしい話かもしれないけど、こればかりはどうしても気になったから今ここにいるのだ。
せつな「確か、場所はここであっていると思うんだけど。ここでいいのかしら」
私はそのまま廃墟の入口へと進む。ちなみに本来ならここは立ち入り禁止区域ということで既に看板も貼られている。見つかったらかなり危ない。
ギギギ…
せつな「誰も、いないのかしら…?」
鈍いドアの音が建物の中に響き渡る。勿論廃墟なので人が誰もいるはずもない。
せつな「結構中はボロボロね。今にも崩れ落ちそうな耐久度だし」
あちこち見渡していればわかることだしそれを考えるまでもないことだが、この建物が建築してから約60~70年経過している。余程変わり果てた姿をしているし、木材などがおもいっきり腐敗しまくっていた。
せつな「とりあえず先に進むことにしようかしら……」
苦い気持ちで奥の部屋へと進もうとしたその時だった。
???(こっちに来てください)
せつな「…誰?」
???(あなたが入ろうとした部屋に私はいます。あなたが拾ったラビーズが応えています)
せつな「ラビーズ…。もしかしてこの丸いもののこと?」
突然頭の中から幼い少女の声が聞こえてきた。多分私を呼んでいるに違いはないわ。
せつな「そしたら、今朝私を呼んだのはあなただったのね」
???(そうです。私はどうしてもあなたに託したいものがあります。この先の部屋に入ればわかります)
せつな「わかったわ」
少女が説明した通りに、私は奥の部屋にそのまま入り込んだ。もう一度鈍い音を響かせながらも。
???(やっぱり、あなたでしたね)
せつな「どこにいるの?」
???「ここです。私はここにいますよ」
少し振り返るとさっきの声の主らしき少女が目の前に現れた。この娘が……?
せつな「私がさっき手に入れたラビーズっていうの、これが反応していたんだけど」
???「その通りです。改めてお待ちしておりましたよ、キュアパッション」
せつな「どうして私のことを…?」
少女の思わぬ発言にちょこっと驚いてしまう。一体何者なのかしら?
???「自己紹介がまだでしたね。私はリムと言います」
せつな「あなたはもしかして…」
リム「はい、あなた達プリキュアのことをよく知っています。様々な脅威に立ち向かうその勇士も」
どうやらこの娘、プリキュアのことを知っているみたいね。何か手がかりをつかめたら猶更心強い。
リム「ところであなたが持っているそのラビーズですが、どこで手に入れましたか?」
せつな「これは偶然拾ったもので、特にこれに詳しいわけでもないわ」
リム「そのラビーズのことなんですけど、それをある人に渡してほしいんです」
ある人?それは誰のことなんだろう?
せつな「その人がいる場所も教えてくれないかしら?」
リム「はい。その人は黄色の髪をして帽子を被った男の人なんです。彼がいる場所につていですが―――そのことについてはちょっと話が長くなりますがよろしいですか?」
せつな「いいわよ。ちょっと聞きたいし」
私は彼女の言葉に鵜呑みにするように頷いた。もしかしたらこれからのできごとに繋がるかもしれないから。