みゆき「この本、昔読んだことがあるかも…」
私にとって見覚えのある本。それをめくると…。
みゆき「…懐かしい」
思わず涙を流してしまう。それと同時に私の記憶が過ぎり出す。
ココ「その本がどうかしたの?」
みゆき「ごめん、うっかり…。これ、私が小さかった頃におばあちゃんが読み聞かせしてくれたの。まだ自分に自信を持っていなかった頃にいつもおばあちゃんがこの本を取り出して私のために読んだんだ」
涙を拭きつつ悶々と答え、少しずつ落ち着いた。ちょっと照れくさい一面見られちゃったかも…。
ココ「タイトルは『みんなで笑顔』か。とても元気が出そうなお話じゃないか」
みゆき「えへへ。それにしてもここにあったなんて思いもしなかったよ」
ココ「昔持っていたのはどうなったの?」
みゆき「残念ながら、私が小学生になった頃にもう無くなっちゃったの。あの本には私を大きく変えたんだと感じたから」
ココ「どんなお話か読んでみようよ」
久しぶりに読むこの本を、私とココで読むことにした。これから始まるのは、幼い女の子の物語―――
昔、とある田舎で暮らしている家族がいました。絵本を読むのが大好きなリオちゃんと、リオちゃんのお父さんとお母さん。三人で平和に暮らしていました。お父さんとお母さんは農家を営んでいます。そんな両親をいつも励ましてくれるのはリオちゃんです。
リオ「お父さんとお母さんは今日もお仕事?」
心配そうな顔でお母さんに尋ねます。リオちゃんはいつもお母さんと一緒に近くの幼稚園のお迎えを待っている間にお仕事の話をしています。
お母さん「ごめんね、お母さん達今日もお仕事なの。多分帰りのお迎えが遅くなるかもしれないの」
両親がお仕事の時はいつも悲しい思いをしてしまうリオちゃんですが、そんな彼女を優しく接してくれているのが、幼稚園のお友達でした。
リオちゃんを幼稚園に送ったお母さんがすぐにお仕事へ行ってしまいましたが、きっと必死になって働いてくれています。リオちゃんの悲しい顔を見たくないと気遣ってくれているのでしょう。それからしばらくしてリオちゃんのお友達がやってきました。その子の名前はユメちゃんです。
ユメ「リオちゃん、何して遊ぶ?」
リオ「一緒におえかき、しよ」
二人は幼稚園で一緒になると毎日のように遊んでいます。今日は二人が最も大好きなおえかきをします。
ユメ「できた。これ、私のお母さんの似顔絵」
リオ「上手だね。私も書いたよ。お父さんとお母さんの絵」
お互いに見せ合いっこします。それと同時に二人で笑いだしました。
これが、リオちゃんにとっての楽しい一日の始まりとも言えます。辛い時は誰かに励まされつつ、笑顔で幸せで素敵な一日になるでしょう―――
みゆき「って、途中で話が途切れちゃってるね」
ココ「多分、ページが切れたんだと思うよ」
みゆき「それにしても、久しぶりに読んで凄く感動しちゃった」
ココ「そうなんだ。ところでこの話の結末はどうだった?」
みゆき「最後は女の子が成長してお母さんになって、笑顔というのを世界中のみんなに教えたの。笑っている時の顔がとてもいいことだっておばあちゃんが言っていたの」
途中でページが途切れてはいるが、あまりの懐かしさに感動してしまう私。思い返せばたくさんのことを経験したんだと思う。あとはのぞみちゃん達との出会いとか…。
ココ「じゃあそろそろ時間になりそうだから、早く出よう」
みゆき「待って…」
ココ「どうしたの?」
慌ててココを引き戻そうとするが、途端に顔が赤くなってしまう。
みゆき「私、ココにお礼を言いたいの。少しだけ、時間とれるかな…?」
~~そのころ~~
りん「あっという間の一日だったわね」
あかね「せやな。どうやった?うちらの学校は?」
うらら「どこも楽しい場所ばかりでした」
やよい「それはよかったね。今日で交流会終わりだけど、また機会あったら遊びにおいで」
くるみ「みんな、そこにいたのね」
りん「くるみも来たね。ということは―――」
こまち「お待たせ。随分と早かったわね」
なお「まさか一斉に集まるとはね」
かれん「れいか、今日はどうだった?」
れいか「はい、貴重な体験ができました。ありがとうございます」
のぞみ「遅れてごめーん!」
キャンディ「だいぶ集まっているクル」
ポップ「残るはみゆき殿でござるな」
ナッツ「ココもまだナッツ」
シロップ「ったく、遅すぎるロプ」
れいか「確かに、あとはみゆきさんとココさんだけですね」
あかね「それよかなおとれいかは何やっとった?」
なお「私はこまちさんと色々と見て回ったよ。すっごいよかった」
れいか「私はかれんさんの方の生徒会の活動を一日中見学していました」
やよい「あかねちゃん、私達も案内していたよね?」
あかね「ホンマやで。結構疲れたわぁ」
くるみ「一体いつになったら来るのかしら…」
~~そして~~
みゆき「私、この三日間とても楽しかったよ」
次回で第一章終わりです。