アナウンス「生徒対抗リレーの優勝チームは、赤チームです」
うらら「……え?」
のぞみ「うらら!早く立って!もうみんなゴールしてるよ!」
うららちゃんが思わず思考停止してしまう。気がつくと、もう既にみんながゴールしていた。一体何が起きたのかが不思議と思うぐらいに。
みゆき「うららちゃん!もうひと踏ん張りだよ!」
れいか「まずは全力でゴールを目指してください!」
うらら「……はい!」
奥歯を噛みしめながら再び立ち上がるうららちゃん。そして一気にゴールへと走り続けた。
うらら「はぁ…はぁ…」
しかし、彼女の目から少しずつ涙を流してた。
くるみ「やったわねなお」
あかね「必ず勝てると信じてたで」
なお「ありがとう。ってうららちゃん…?」
一方優勝した赤チームが喜びを見せていた。けれどなおちゃん達がうららちゃんの方を見つめる。
りん「残念ですね、優勝できなくて」
こまち「いいのよ、結構楽しかったし。あれ?うららさんが…」
こちらは勝利を逃してしまった青チーム。りんちゃんとこまちさんもうららちゃんの方を向いた。
かれん「ごめんなさいのぞみ。勝てなかったわ」
のぞみ「いいですって別に。まぁそれより、うららが…」
黄色チームも惜しくも優勝を逃してしまうものの、嬉しそうな顔をしていた。でものぞみちゃん達もうららちゃんの方へ振り向いてしまう。
みゆき「うららちゃん…」
うらら「……」
無言で私の方へ歩いてくるうららちゃんに、思わず動揺してしまう。
うらら「……ごめんなさい」
れいか「うららさん…?」
うらら「私が…あそこで……。あそこで転ばなかったら……」
どうやらさっき大きなミスを犯してしまった。そう、問題なのは一直線のところ。
うらら(必ず、勝利を…。ゴールは目の前…!)
なお(マズイ…!このままじゃ抜かれてしまう…!)
ここまでは順調だった。しかし気を取られ過ぎて重大なアクシデントを引き起こしてしまう。
うらら(もう少し…!)
ガクッ…!
うらら「…っ!?」
みゆき「……え?」
うらら「あぁ…!」
この瞬間勝負は決まり、順位はこのようになった。
一位 赤チーム
二位 黄色チーム
三位 青チーム
四位 緑チーム
これが、うららちゃんの敗因であった。
うらら「…うぅ、う……。んぐ……うぅ」
さっきのことを思い出しただけで涙を流してしまう。余程悔しかったんだね…。
みゆき「うららちゃん…」
うらら「ごめんなさい…。私のせいで、こんなことになってしまって…。私、私…!!」
れいか「そ、それは……」
どう答えればいいのかわからないけど、純粋に彼女の気持ちがわかる。勝てなかった自分を責めるのも無理はないし。だけど、
みゆき「うららちゃん、こっち向いて?」
うらら「なんですか―――ふにゅ!?(にぃ)」
みゆき「こんな時は笑顔でいようよ。負けたってそこまで悔しく思う必要なんてないんだよ?」
ここでずっと泣き顔なんて見たくないと思い、私はうららちゃんの顔をにっとさせた。
れいか「みゆきさん?」
みゆき「れいかちゃんもそう感じるでしょ?あはは…」
うらら「みゆきさん…」
みゆき「あれ?もしかして気まずかった…?」
唐突な行動だったので、ちょっと視線が疑われてそうな雰囲気に思ってしまう。すると、
うらら「こんな私を、許してくれますか…?」
みゆき「許す?……(ううん)私ね、全力で走っていたうららちゃんがかっこよくて……。感動しちゃった…(ぐすん)」
うららちゃんの表情で私ももらい泣きをしてしまう。本音をぶちまけるというのはこのことだったのかも。
みゆき「本当だよ?私は絶対に友達を疑ったりなんかしないから。これは勝ち負け関係ないって最初っから信じていたよ」
れいか「言われてみれば私もそうだと断言できます。勝ったからってどうなるわけでも負けたからってどうなるわけでもないんです。みんなが楽しめればそれでいいんですよ」
うらら「……二人とも、私のことをずっと気遣ってくれたんですね……」
みゆき「うん。だから、その心をうららちゃんにももって欲しいなぁって」
うらら「み、みゆきさんっ!(ギュッ)」
するとうららちゃんが私に勢いよく抱きしめてきた。それに、顔も直々と笑顔になってきたみたい。
うらら「ありがとうございます、みゆきさんのおかげでその意味をわかりました…」
みゆき「私も、自分でその意味なんだと導いた。誰でも笑顔になれれば結果オーライっていうことだから」
れいか「もしかしてみゆきさん、それを教えたくて躊躇ってたんですか?」
みゆき「ち、違うよ!ただそう言えば伝わるんじゃないかと思っただけで…!」
一同「「「か、感動的……」」」
これを聞いてたみんなももらい泣きをしていたみたいだった。
のぞみ「うららは最後までかっこよかったよ!」
りん「もしこけなかったら逆転できたんじゃない?」
こまち「まさかうららさんに先を越されるなんて思いもしなかったけどね」
かれん「ずっと特訓していたからきっとそうよ」
くるみ「少し見直しちゃったわ」
あかね「そんなうららに感動してもうたわ…」
なお「私もうららちゃんみたいなことを経験したけど、すごく共感できるよ」
のぞみちゃん達がうららちゃんを取り囲むように褒めた。これが友情ってやつだね。
あかね「てかいつまで死んでんねんやよいは…」
やよい「はっ!?勝負はどうなったの?」
ここでずっと真っ黒こげの死体状態になっていたやよいちゃんが蘇った。これに便乗する言葉はそうそう出てこないよね…。
うらら「みんな、大好きですっ!」
みゆき「私達もだよ、うららちゃん」
うららちゃんの勇敢な意思に熱狂した私達は一斉の胴上げした。
それから表彰式が行われ、優勝した赤チーム全員に明日のお昼に用意される豪華なスイーツを堪能できる権利が与えられた。
そして時が過ぎ、夕方に差し掛かろうとした。
みゆき「のぞみちゃん、小々田先生どこにいるかわかる?」
のぞみ「げ!?」
なお「どうしたの?」
りん「ちょっと待ってね」
するとのぞみちゃんがマズそうな顔し、りんちゃんとヒソヒソと話をする。
のぞみ「りんちゃん、このことがみゆきちゃん達にバレたらどうしよう…(ヒソヒソ)」
りん「わかってるわよ。私のサポートするから、心配しないで(ヒソヒソ)」
キャンディ「何をコソコソしてるクル?」
りん「何でもないわよ、ただのジョーク話をしてただけ」
ん?どこかが怪しい……。
かれん「多分図書室へ向かったと思うわ」
みゆき「そうなんですか。私ちょっとお礼を言わなきゃ」
やよい「あ、みゆきちゃん!」
私は駆け足で図書室へと直行した。あそこにいるはずだよね、あの先生は…!
~~図書室~~
みゆき「あの、小々田先生……(ガラッ)」
私が扉を開けると、そこにはくるみちゃんがなぜかいた。
くるみ「ココ―――いや、小々田先生なら今さっき出てったところよ。もしかしてみゆき…」
みゆき「うん、あの先生にお礼を言いたかったの」
くるみ「なるほど、言いたいことはなんとなくわかるわ。私が後で伝えとくわ、代わりにね」
みゆき「できれば自分からやりたかったけど、って何持ってるの?」
偶然くるみちゃんが持ってる物に目線が入ってしまう。ちょっと気になるかも。
くるみ「こ、これはその…。大した物じゃないわよ。本当に」
みゆき「ならいいけど、(ボソッ)…これがラブレター的な何かってわけじゃないようだね…」
くるみ「何か言った?」
みゆき「いや、なんでもないよ」
手紙のような物を持っているけど、気のせいかな。
くるみ「っていうかそろそろ帰る時間になりそうよ。早く行きましょう」
みゆき「でも…」
くるみ「後から来るから、ね?」
みゆき「うん。待ってるからね」
私はくるみちゃんが伝言してくれることに感謝しつつ、図書室を後にした。
それから私達はそれぞれで帰宅し、無事に交流会の一日目を終えることができた。一応明日は二日目だけれども、今度は私達がのぞみちゃん達の学校へ行く日になってるから色と楽しみになってきた。あとは、問題が起きなきゃいいんだけど…。
~~学校交流会二日目~~
みゆき「今日は二日目だねキャンディ」
キャンディ「まだまだ楽しくなりそうクル」
あかね「昨日は散々やったなぁ」
やよい「ちょっとあかねちゃんっ!私をそういう目で見ないでっ!(かぁ…)」
なお「やよいちゃんの顔が赤くなってる。もの凄く恥ずかしかったんだろうね」
れいか「言い合いはよくありませんよ。これからまだやることがあるので」
いつものメンバーで目的地であるサンクルミエール学園へ移動する。一体どんな場所なんだろう。
L「そろそろ動くかい?」
R「あぁ。今日はやつらをまとめて叩き潰す……!」