プリキュアオールスターズ大戦   作:クワトロン大帝

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第208話 冷凍みかんが恋しいよね

私達は戦いの疲労が溜まっていてやむを得ず街の近くの公園で休憩を取ることにした。疲れた後に吸う空気はとても気持ちいい。

 

みらい「結局大事態にならなくてよかったね」

 

リコ「そうね。とりあえず休憩終えたらあそこの街に寄ってみましょう」

 

ことは「はー!それで賛成」

 

でも気持ち自体は切り替えれる状態ではなかったりする。なんだろう、清々しい気分ではないっていうか…。

 

モフルン「みらい、どうしたモフ?」

 

みらい「っ…ごめん、ついぼーっとしちゃった」

 

リコ「珍しいわね、みらいがそんな顔するなんて」

 

リコとモフルンが心配してくれたようだ。ここは身体を十分に休める必要があるのでしばらくじっとすることにする。

 

みらい(このまま何もなければいいんだけど…。私達にできることといえば他に何が…)

 

ことは「こうしていると眠くなっちゃうかも。そよ風を浴びるとスッキリする」

 

リコ「はーちゃんってばすっかりリラックス気分ね。みらいはリラックスできそう?」

 

みらい「まあね。こんな緑溢れる場所で大きく寝っ転がれるなんてワクワクもんだぁ~」

 

モフルン「モフルンはみらいの横に寝るモフ(ぴとっ)」

 

みらい「くすぐったいよぉ」

 

まずは難しい内容を考えずただ休むよう身体の動きを止める。リコやはーちゃんもそっちの思考になったみたいだし。

 

ことは「この後どうするの?」

 

リコ「街に入ったらさっきの被害について聞き込みする予定よ。きっと少なからず目撃情報もあるだろうし」

 

ことは「その後でお昼にしようよ、お腹ペコペコだよ~」

 

みらい「私も~」

 

リコ「はいはい、わかってるから。とりあえず聞き込みしながらお店を探すわね」

 

みらい&ことは「「ありがと~!」」

 

リコ「まるで私が保護者みたいな立場じゃないの…」

 

私とはーちゃんの上目遣いにまんまと敗北するリコが赤面で頷く。リコはこういうシチュエーションには滅法弱いようだった。

 

リコ「早くしないとおいていくわよ」

 

ことは「待って待ってー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩を終えて先程の街へと入り、そのまま聞き込みを開始した。市民達に対しては特に被害はないとのことだった。そして建物などの崩壊がなかったかを聞いてみると大きな崩壊はなかったらしい。ただこの街の建物の何割かが老朽化しておりいつ崩れてもおかしくない程の耐久性のところもあるとか。余程必死になって警戒していたのだろう。

 

みらい「結局大丈夫だったみたいだね」

 

ことは「すぐに対応できたからかな」

 

私とはーちゃんはベンチに腰かけながら胸を撫で下ろす。そこへリコが少し遅れて戻ってきた。

 

リコ「だいぶ回ったみたいね、喋り疲れたって感じがするわ」

 

ことは「口が動かないよ~」

 

リコ「その割にはまだ元気よね」

 

地味に体力がヘトヘトなはーちゃんは少しずつグダグダになる。そこでリコがあることを提案した。

 

リコ「仕方ないわね、頑張ったら冷凍みかんでもご馳走するわ。それでいでしょ?」

 

ことは「やったー!リコって優しいね」

 

モフルン「モフルンも一緒に食べたいモフ」

 

リコがSっ気で答えるとはーちゃんはすぐに元気を取り戻した。こういう場面に至ってははーちゃんに効果抜群だった。

 

みらい「私も手伝うからもう一踏ん張りといこうよ」

 

リコ「はーちゃんがこういう話に釣られやすいのはお見通しなんだから、すぐ甘えてくるのよね」

 

ことは「冷凍みかん、冷凍みかん。あぁ…それを想像するだけで世界がどれだけ変わるのか―――」

 

 

 

モフルン『世界中が冷凍みかんに包まれていくモフ~。幸せモフ~』

 

ことは『はー!毎日食べられるなんてワクワクもんだよぉ~。もういっそ冷凍みかんの家に住みた~い…』

 

 

 

リコ「って何を想像しているのよ~っ!」

 

冷凍みかんで頭一杯になりつい自分の世界に進出した気分になったはーちゃん。ついでにモフルンも。

 

みらい「あはは…。はーちゃんらしい想像だね」

 

リコ「ふざけているとこの話はなしだからねっ!」

 

ことは「それだけは勘弁して~」

 

よ~し、もうひと踏ん張りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~一時間後~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みらい「ふぅ~。これでおしまいっと」

 

随分と歩き回ったおかげですっかり体力が消耗してしまった。ここでリコが近くの店で小腹を満たす物を買ってくる。

 

ことは「私ヘトヘトだよ…」

 

モフルン「甘い匂いがするモフ」

 

リコ「お待たせ。はい、はーちゃんが一番食べたい物よ」

 

ことは「はー!冷凍みかんだー!」

 

リコが買ってきたのは冷凍みかんだった。どうやらこの街にも売っていたらしい。

 

みらい「やっぱり魔法界のどこでも人気なんだね」

 

リコ「この前雑誌で載っていたわ。場所によりけりってわけではないから当然ね、みらいもどうぞ」

 

みらい「わーい、いっただきま~す(パク)」

 

モフルン「モフルンも食べるモフ」

 

皮を剥いてみんなで一斉に頬張る。食べるだけで想像できるこの冷たさに凝縮された甘味、そして実際に口にしないとわからない食感と味わいが口全体に広がっていく。

 

みらい「これこれ!この味こそ私達の求めた楽園…!」

 

リコ「全身に染みつく冷たさ、まるで冷たい川に身体中つかる気持ちよさ…」

 

ことは「程よい甘さにほんのり酸味のあるエキス。これは禁断の果物や~!」

 

食べた後に出る幸福感はもはや言うまでもないが 、それでもこの快感はとても幸せだ。

 

みらい「いやいや癖になりますな〜」

 

モフルン「安心するモフ」

 

リコ「ナシマホウ界には夏しか売ってないのよね。年がら年中売っている魔法界が一番だわ」

 

ことは「もう埋もれたい気分かも」

 

リコ「さりげなく怖い発言しないで~!」

 

どうやら一番嬉しそうだったのははーちゃんらしい。その後はすっかり大人しくなったはーちゃんは真面目に活動をして頼りになったとか。今日はもう疲れたからこの街で休める旅館を探すことにした。だがはーちゃんは未だに冷凍みかんのことから頭に離れる気配がなかった。


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