静かな海には沢山の魚達が泳いでいる。その海中で、激しい戦いが繰り広げるとは知らずに…。
ゴポッ……
ミラクル「はぁーっ!(ガシッ、ブン!)」
マジカル「てやぁ!(ドガッ!)」
ゴォォォォ…!!
巨大なサメが暴れるように尻尾で攻撃をしようとする。相手が油断している隙に二人で挟み撃ちにした。しかし先程の渦潮の影響で海中での動きがなかなか鈍くなっていく、むしろ相手の方が有利に思えてきた。サファイアの姿であってもこの状況を打開するのはかなりの戦術をしなければならない。そこで私とマジカルが潮の動きに倣うように先回りして行動する。フェリーチェは地上で待機し、サメが上がってきたところを一気に拘束する作戦を試みた。これらの戦術が通用すればとりあえずは御の字のはず…。
グルグルグルグル…
ミラクル(あのサメ、一体どこから出てきたの…?とても自然だとは思えないんだけど…)
ゴゴゴゴ…!
マジカル「危ない!」
ミラクル「ッ!?」
ドカァ!
ミラクル「あ、危なかった…」
マジカル「ボーっとしてる場合じゃないわよ、とにかく早く止めるわよ―――?」
ブシャァァァ!!
するとサメは目にも見えない速度で尋常じゃない速さで加速した。そして大きな口を開いてそのまま私達を飲み込んでいった。……正直屈辱だった。
ミラクル「…うぅ」
マジカル「ミラクル、大丈夫?」
ミラクル「ここは…?」
マジカル「どうやら私達、サメに食べられたみたいよ」
目を覚ますとここはサメの体内だった。最悪なことにモフルンはフェリーチェと一緒だが必要なリンクルストーンを持ち込んでいないためこの空間は殆ど真っ暗、肉眼で見通すのもやっとのことだ。
ミラクル「きゃ…!何このベトベト…」
マジカル「さて、ここからどうやって出るか問題ね」
ミラクル「この感じだとここって胃袋の中だよね?」
マジカル「だとすれば長居はできないわ。いずれは胃液で溶かされるだろうから早急に脱出するにこしたことないはずだから」
マジカルが眉を寄せながら考え込む。私も色々と方法を模索するもののあまりいいアイディアが浮かばない。というのも、
ミラクル「サメの身体の構造ってどうなっているのかな…?」
マジカル「まずそこから気にするの!?」
ミラクル「いやぁ~実はずっとそう思っていてね~」
マジカル(どういう思考をしているのかしら…)
他の生物に食べられた時の気持ちというのがあまり実感わかない。そういうのは漫画やアニメの出来事でしかないので想像程度で留めている。そこで私はどこから出ればいいか深く推理する。
ミラクル「確かSF映画だと身体をこじ開けていた印象があったんだけど…」
マジカル「そうした場合は海水が身体に浸水するわね。上の方からやった方がいいかもね」
ミラクル「下からだと胃液が広がって海水魚達に影響を及ぼすし、口からだとまた返り討ちされる可能性もあるし……も~どうしたらいいの~!!(ジタバタ)」
マジカル「冷静になりなさいよ、一応打開策はあるわ。一緒に掻い潜りましょう」
結局頭を抱え込んでしまう。私の考え方が単純な故に後々の誤算が生じてしまう、だからこそマジカルが私の足りない部分を補ってくれた。一度決めたんだから一気に乗り越えなきゃね!
ミラクル「はぁーっ!(ドゴッ!)」
マジカル「たぁーっ!(バキッ!)」
早速二人で胃の上側に穴をあけるために懸命に攻撃を開始する。だが皮膚が尋常じゃなく固く、全くビクともしない。
マジカル「分厚いわ、一体どれだけ頑丈なの…?」
腰を抜かす程の固さに戦く私達。人食いザメである以上ジョーズのような渋とさがあるのだろう。
ミラクル「うぅ~ダメか~…」
マジカル(…!?!?)
ミラクル「…?」
マジカル(今倒れたことでミラクルの…ミラクルの……)
マジカルが私のことをやたら凝視しているみたい。突然ジロジロ見られてもどう言えばいいかわからなくなる。
マジカル(水に被ったミラクル……凄くエロい……っ!!(シュッシュッポッポ~!!)」
ミラクル「ねぇマジカル、どうしたの?顔が真っ赤だけど…もしもし~?」
マジカル「なんで普通の時は小さいけどプリキュアの時は私より胸が大きいのよ~!!(ダバダバ)」
ミラクル「……ゑゑ??」
マジカル「私より品性なくせに大人になったら一気に追いつくという仕組みなの!?」
赤面で自暴自棄になっているマジカル。それに逆さまになってヘッドスピンを連発している、ちょっと不気味だったりするかも…。
ミラクル「別に自分の身体のこと意識してないと思うけどな~」
マジカル「そのたゆんたゆんが気になるのよ~!もしかして将来は私の方が小さいという方向なのでは…(ぞわぞわ)」
ミラクル「ひゃあ!?急にどうしたの?」
マジカル「わ~た~し~も~~~!こんな感じのスタイルになりたいのよ~~~っ!!」
私の胸を揉みしだいて徐々に涙交じりになりつつあるマジカルがちょっと可哀想に思えてくる。まぁともかく、
ミラクル「そういう話はまた後でね、気持ちはわかったから」
マジカル「うぅ~…。そうよね、今は目の前のことから解決しないと」
立ち直りだけは人一倍早いので誰よりも頼りになる。もう一回チャレンジあるのみ。
ミラクル「とりゃあ!はっ!せやぁ!(ガッ、ズガ、ゴッ!)」
ひたすらパンチとキックを繰り返し脆い部分を探る。この時の瞬発力を温存しないとこの先最善を尽くせない。例えそれが持久戦となれば尚更油断できないし、力を抜いたら差が大きく広がる。
マジカル「これなら行けるわ―――っ!?」
ミラクル「どうしたの?」
マジカル「もう消化が始まっているわ、早くしないと私達も胃液で溶けてしまうわ!」
すると天井からサメの胃液が漏れ始めた。どうやら消化が始まってしまったみたいだ。このままでは私達はサメの胃液によって溶かされてしまう羽目になる。
ミラクル「時間がないね、一気に決めよう!」
マジカル「ええ!」
時間がない中、タイミングを計って一斉に動き出す。
グォオオオ!!
弾みでもの凄い勢いで海から飛び出した。その直後、サメの上部を思いっきり貫通した。このまま上空に舞い上がり、フィニッシュする。
スッ……
ミラクル&マジカル「「プリキュア・サファイアスマーティッシュ!(ズドォォッ!!)」」
ザバァァァン!
サメは直撃し壮大に水面に叩きつけられた。その直後、
プシュゥゥゥ…
フェリーチェ「あとは私に任せてください、はぁ!(ギュイイイン!)」
コォォォ…!
地上にいたフェリーチェがサメの動きを封じ込めた。これで懲りたらしばらく抵抗はできないはず。
なんとかサメ身体から出られた私達はモフルンとフェリーチェにその時のことを説明した。
フェリーチェ「本当に心配しました…」
ミラクル「これで一件落着かな?」
かなり無謀極まりない行為だが助かったならそれでよし、なかなかの出来事だった。
???「俺の僕をよくここまで追い詰めたな、褒めてやる」
マジカル「誰!?」
フェリーチェ「上です!」
ミラクル「あっ…!あの人…」
すると突如謎の人物が私達の前に現れた。あの白と黒の姿、それに赤い髪の青年。あの時夢に出てきた人物とよく似ている。
???「俺の名はファントム。プリキュアハンター、ファントムだ…」
ミラクル「ファン……トム……」