みらい「どうだった?」
リコ「いいって」
しばらくしてリコが胸を撫で下ろすように戻ってきた。どうやら校長先生に許可を貰えた様子だった。
ことは「随分長かったみたいだね」
リコ「べ、別に大したことなかったし…。ただ、あることを言われてね」
リコが気まずそうな顔で答える。事情があるみたいだけど、なんだろう?
みらい「校長先生が言ったこと、詳しく聞かせてくれないかな」
ことは「どうしても校長先生の言葉が気になる」
リコ「…わかったわ、ちゃんと説明するから」
リコは椅子に座り、私達にどんなことを話したのかを説明し始める。
リコ「水晶さん、校長先生につなげてほしいんだけど…」
水晶「こんな時間になぜ?」
リコ「どうしても話したい内容があって」
水晶「わかったわ、今つなげるね」
私は無我夢中で何を話せばいいのかわからなかった。それでも一度決めたことだから、しっかり伝えなきゃ。
リコ「もしもし、校長先生」
校長『うむ、リコ君か。何か相談でもあるのじゃな?』
リコ「実はどうしてもお願いしたいことがあるんです…」
流石に校長先生相手では言葉が詰まる。どうにか伝えられるように頑張ってみた。
リコ「この前の件なんですが、やっぱり私達にもやらせてください!」
校長『む?一体どうしたのじゃ』
リコ「今日また、ナシマホウ界でまた同じ事件が起きたんです」
校長『そうじゃったのか。じゃが君達の気持ちはどうも賛成できん』
どうも納得のいかない感じで答える校長先生に言葉が止まる。先日経験した事件に排斥している人々を見てきた校長先生だからこそ引き止める理由がある、勝手に行動する行為に遺憾に感じている。
校長『それにもし君達までもが巻き添えになった時はどうもならん、流石のわしも君達の行いに賛同するわけにはいかない』
リコ「お願いです、私はこれ以上被害者を増やしたくないと思います。最後の希望は私達だけなんです」
校長『正体もわからぬ相手じゃ、万が一危険に晒されるのは…』
浮かない反応でそう答える校長先生だが、一概にもそれは起こりかねないわけではない。
リコ「どんな脅威に立ち上がれるのは、私達プリキュアだけなんです。みらいやはーちゃんもそれを望んでいるはずなんです」
校長『…少し考えさせてくれぬか。だからこのまま待ってくれ』
リコ「校長先生…」
すると校長先生は一旦会話を中断し、そのまま黙り込んだ。通話はそのままの状態で、まだ切ってはいないらしい。
リコ(お願い、どうか許しを得られますように…)
それからしばらくして、校長先生は再び会話へ戻ってきた。
校長『わかった、そこまで言うなら仕方あるまい。ただしどうしても守ってほしい約束があるのじゃ』
リコ「守ってほしい約束ですか?」
校長『もしも本当に危ないのならすぐに魔法界に向かうのじゃぞ。その時はみんなで逃げれるようになれるはずじゃ』
リコ「ですがそれですと―――」
校長『今は君達の生命が大事じゃ…!それを失うわけにはいかん…』
校長先生の態度が徐々に熱くなっていく。今まで聞いたことのない勢いの声も上げている。
リコ「……」
校長『リコ君、後でみらい君達にも意見を聞きたい。急ぎはしない、真剣に相談してほしい』
リコ「あの、私からもお願いを聞いていいですか…?」
私はそんな校長先生に対して自らも本気の答えを出そうとしていた。