リコ「それじゃあケーキも焼けたし、デコレーションに入りましょ」
ことは「はー!待ってましたー!」
空気が落ついたところでケーキ作りを再開。私はスポンジケーキにクリームを塗る担当、はーちゃんは切ったフルーツを添える担当となっている。
ことは「どんなデコレーションにしようかな?」
はーちゃんが首を傾げながら悩んでいる。普段はすぐに閃くのに随分と時間がかかっている。
リコ「大丈夫?」
ことは「ううん、もう決まったよ。今回は見るだけで喜ぶような感じにしちゃうよ!」
リコ「楽しみだわ」
作業はテキパキとこなし、最後の仕上げと入った。とここで、
ことは「ここであれを使いま~す!」
リコ「あれって―――ふぁ!?」
はーちゃんが冷蔵庫から大きな果物を取り出した。取り出したものに対して驚きまくってしまう。
リコ「なんて大きいメロンなの…?」
ことは「えへへ、この前おじさまが近所の人にもらったけど余ったから自由に食べていいよって言ってたんだ」
リコ「…なんて贅沢な」
ことは「だから…こうしてっと、はー!我ながら綺麗に切れたー!」
冷蔵庫から取り出したメロンを使う分だけカットするはーちゃん。とっても迫力のあるものが出たわね…。
ことは「リコも切る?」
リコ「やってみるわ、よいしょ。身が柔らかくて切れやすいわね」
ことは「あとは盛り合わせるだけだね」
これでみらいも喜ぶはずだし、大成功する予感間違いなしね。
リコ「さてと、みらい戻ってくるまで休んでるわ。はーちゃんはどうする?」
ことは「後片づけしなきゃだから、大丈夫。早く三人で食べたいな~」
リコ「そうね、それじゃまた後でね」
私は自分の部屋に戻り、今日の課題の続きを済ませることも兼ねて少しベットに横たわった。それに段々眠気が徐々に伝わっていき、自然と眠りについた。
~~一時間後~~
リコ「ふぁ~…あれ?いつのまにこんな時間…」
目を覚ましたのは部屋に入って一時間後のことだった。私は居間に移動し、みらいが戻ってきたかどうかを確認する。
ことは「リコ、ちょっといい?」
リコ「はーちゃん?」
するとはーちゃんがかなり焦った様子で尋ねてきた。
リコ「みらい帰って来たの?」
ことは「ううん、まだなの。だからちょっと心配になってきて…。お願い、一緒に探しに行こうよ」
いつもとは違う感じの焦りが滲み出てくるようでかなりパニックになりがちのはーちゃん。それを聞かれると見過ごせないのでここは一緒に行動することにした。しかしもう時刻はそろそろ日の入りする頃の時間だ、もしみらいの身に何かあれば余計に心配になっていく。
リコ「もしかしたらまだ学校にいる可能性もあるんじゃないかしら…」
ことは「まずは行ってみよう、間に合うと思うから」
駆け足で学校へ移動し、みらいとモフルンが無事かどうかを祈る。しばらくしてあっという間に学校に辿り着いた。まだ校門に残っている先生達に頭を下げながら急いで中へ入った。
リコ「すみません、忘れ物しました!」
ことは「私もです!」
まずは廊下から回ろうとすると、横から何か不気味な空気を察知する。
ことは「リコ、あっちから何か臭う…」
一目散に気づいたはーちゃんは辺りを見回していく。私にそれを教え、グラウンド方面の奥の木の茂みへ向かう。
リコ「何かしら…とても途方もない空気は」
ことは「よくわからないものがあそこにある…」
リコ「暗くてよく見えないわ、ライトっと…(カチ)」
日陰で暗いので私がライトを使ってそれを確認する。そこに移ったのは……、
リコ「…嘘、でしょ……」
ガサササ…
ことは「なんで…?」
みらい『いやぁあああっ!!』
リコ「今の声、みらいよね…?」
ことは「急ごう、そんなに遠くはない」
ライトを照らしたものを見て足の震えが急激に始まり、今にも痙攣しそうな勢いになる。その直後、向こうからみらいの悲鳴が響き渡ったのを知り、すぐに校内に入った。
リコ「みらいー!」
ことは「あ、いた!みらい~!」
モフルン「リコ、はーちゃん。みらいが大変モフ…」
モフルンが私達の声に気づき、こっちの方へやってきた。その直後、恐怖のあまりに足の力が無くなっていたみらいが怯えていた。
ことは「みらい、大丈夫?」
みらい「ま…まゆみが……」
リコ「確か、勝木さんも……」
みらい「二人が……死んで―――(ガクッ)」
ことは「みらい!みらい!」
リコ「気を失ったのよ、あまりのショックに…」
とりあえずこの現状のことに関してはみらいが目を覚ましてから話すようにする。今はみらいが恐怖状態なのがとても心配ね…。
校長「…またよからぬことが起きたそうじゃな…」