校長「それで、君達が接触した相手についてや起きた出来事があるそうじゃが」
みらい「そうなんです。話すと長くなりますけど」
魔法学校に戻り、校長先生に今日の出来事を報告する。ちなみに別で行動していたジュンとケイはまだ戻ってきていないらしい。
リコ「私が簡単にまとめたものをノートに書いたんですけど、どうです?」
校長「ふむ、君達が経験したことに関しては大方偽りではなさそうじゃ」
リコはさっきまで起きたことを校長先生に説明するためにノートで大まかに書き込んでいた。こういう対処方までしてくれるのは嬉しいことだと思う。
ことは「あの敵、何者なのかな…?」
校長「闇の魔法使いや終わりなき混沌でもない別の脅威、一体どこまで襲いかかるというんじゃ…。ともかくこれ以上被害を与えないように生徒達を疎開させたいところじゃ」
みらい「あともう一つ注目してほしい部分もあります」
校長「認知上の世界っと言ったな。それに関しては念入りに考えねばならない、ワシ自身にもわからないことじゃ。危険に晒さないようにしたいところじゃ」
ことは「私達はこれからどうすればいいのかな…?」
リコ「仕方ないわ、しばらくは後回しにするだけよ」
根本的なことにはあまり私達ではどうにもならない。そこで校長先生はこの出来事について調べるつもりではある。ただし直接経験していない故に私達の説明だけを頼りにせざるを得ない。
校長「君達には苦労もあったじゃろう、だから今日はもう休むといい。これ以上頭を使うと疲労に繋がるからリラックスするんじゃぞ」
モフルン「二人のことも心配モフ」
ことは「大丈夫だよ、戻ってきたら元気に出迎えしようよ」
あの時オルーバが言った言葉は今後にどう影響するのか、私達に待ち構える未来を思うと心が傷つきそうになる。とりあえず今日の活動はおしまいにするとしよう…。
~~二時間後~~
リコ「どうしたのよみらい、全然食欲ないじゃない」
みらい「ご、ごめん…。疲れてたから」
夕食の時間になり、食堂に移動して食事をとることにした。でも疲れが溜まっていてなかなか食欲が沸いてこない。ましてや今日は私の大好物があるのにとても勿体ない。
ジュン「はぁ~、無駄に動いたから疲れちゃったなぁ」
ケイ「結局何も解決できなかった…」
ことは「おかえり~、二人も早くご飯食べた方がいいよ」
しばらくしてジュンとケイが戻ってきて一緒の席に座った。こんなに熱心だったけど二人も冴えない表情をしていてなんだか落胆した様子だった。
ケイ「みらい珍しくあまり食べてないけど、どうしたの?」
リコ「大好物あるのにも関わらずこの様子なのよ」
モフルン「お腹が空いてないモフ?」
みらい「……ううん、ちゃんと食べるから心配しないで?」
ことは「食べないと栄養取れないよ」
みんなも私のことを心配してくれている。余程食欲がないことを気にしているんだね。
ジュン「残すならアタイが―――」
リコ「欲張り」
ジュン「ってまだ何も言ってないだろ!?」
みらい「ぷっ…、ぷはははっ」
ケイ「意外とうけてるね…」
ことは「みらい元気になった~!」
みらい「ありがとね。でも今日は疲れてるし早めに休みたいの、明日にはまた元気になるから」
リズ「みんなで一緒にご飯だなんて楽しそうね」
リコ「あ、お姉ちゃん」
ことは「こんばんわリズ先生」
元気を与えてくれてホッとしたところでリズ先生がやってきた。どうやらリズ先生も食事に入るところだった。
みらい「結局、何も解決できませんでした」
リズ「あなた達は十分やれたわ、あとは大人達に任せた方がいいから」
リコ「…もしこんなことにならなかったら、みんな元気で過ごせたのかしら…」
ことは「リコ…?」
突然リコが悲しそうな顔をしながら呟いた。リズ先生はリコの後ろ側に寄り添って頭をそっと撫でてあげる。
リコ「お姉ちゃん…」
リズ「もしかして連休の予定とかを思い出したのかしら?」
リコ「あっ…どうしてそれを」
リコが考えていたことを見抜くリズ先生。流石リコのお姉さん、姉妹の気持ちがわかるね。
ことは「はーちゃんも、同じこと思っていたんだ」
みらい「本当はそうしたかったことが、今ではもう実現できないことになったからね」
モフルン「危険な目に合わなかったらそうなってないってことモフ」
リズ「リコ、悲しいのは誰だって一緒よ。他のみんなもね」
予想もしなかった出来事を割り切るしかないのはやぶさかではないが、友達を失った私達にとっては一番辛い一日でもあったのだから。だからこそ、これからどう進むのかが、それぞれの決意によって決まる。
リズ「ご飯食べたらもうゆっくり休みなさい、それとナシマホウ界でも迷うことなく突き進むのよ」
リコ「お姉ちゃん…うぅ…」
この後私達はゆっくり休み、残りの日数は普通に過ごした。それからナシマホウ界に戻り、普段通りの生活を送ることにした。これ以上犠牲を増やすわけにはいかないので、これからどうするのかをじっくり考えないとね…。
~~校長室~~
校長「さて、三人が言っていた認知上の世界とやらを知らべていきたいのじゃが…」
水晶「何か気になることでも?」
校長「うむ。我々のいる現実とは少し違うような気がするのじゃ。それでも解明できるかどうかはわからぬ、そもそもこういうのはあまり考えたことがない。手がかりがあれば助かるのだが…」
みらい「失礼します(コンコン)」
校長「今行く(ガチャ)、みらい君か」
みらい「あの…これからのことですけど、校長先生はどうするんですか?」
校長「とりあえず入りなさい。話はそれからじゃ」
就寝時間間近の時間を利用して、私は校長先生のところへ行った。ノックして校長先生がドアを開けるとそのまま中に入る。それから椅子に腰かけて校長先生が用意してくれた紅茶を啜る。
みらい「ありがとうございます」
校長「折角の機械じゃ、少しワシからも聞きたいことがあってな」
みらい「校長先生も何かあるんですか?」
水晶「かなり事情があるのよ」
難しい表情で話を進める校長先生。その直後に書き込んでいる紙を私に見せる。
校長「これを見てほしい。今日君達が接触した相手についてまとめたのじゃが、何か指摘する部分はあるか?」
みらい「えっと…、だいたい正解です。細かいことはリコが教えたので大丈夫ですよ」
校長「ネオフュージョンという存在が世界の脅威となるのは想像つく、詳しいことがもう少しわかれば助かるのじゃが」
みらい「私にもさっぱりです、せめて手掛かりがもっと掴めれば…」
ネオフュージョン、確かにその脅威が訪れたら世界は苦しむ。直接接触できればいいけど、またあの敵が来ない限りは全くのわからず仕舞いとなる。
校長「ということは、みらい君も同じこと思ってるんじゃろ?」
みらい「は、はい…。もしものことがあったら私達が食い止めますよ、どうなるかは定かではないですけど」
校長「そうか、このことはしばらくおあずけにしよう。君達は普通の生活を送ればいい、また何かあればその時は頼むぞ。あと、今日のことが二度とないようになりたいところじゃ」
みらい「そうですね、また何かあったらまた来ますね」
校長「もう今日は遅い、早く寝るんじゃぞ」
みらい「はい、お休みなさい」
オルーバ「君達が僕を雇ったんだね」
R「威勢だけは本物のようだ。これからお前に協力してほしいことがある、そのための契約だ」
オルーバ「期待には応えるよ」
R(どうせこいつもいずれ使い捨てになるだろうがな…)