プリキュアオールスターズ大戦   作:クワトロン大帝

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第193話 絶望の悪夢:ニンチ

欠片「…プリキュア、まとめて消し去ってやる」

 

オルーバ(さて、どんな戦いを見せてくれるのかな?)

 

 

 

ガサガサ…

 

 

 

静かに響く草の音、緊張と戦慄が身体中に駆け巡る。そして、こちらから先に仕掛けた。

 

 

 

欠片「…愚かな、ならば潔く死ね」

 

ミラクル「やぁあっ!(ドッ!)」

 

欠片「くらうがいい…(ズガッ!)」

 

ミラクル「くっ…!」

 

 

 

僅かに相手の方が反応が早い、そのおかげで見事に攻撃を阻止される。私は思わず反動で仰け反り、体制が崩れる。

 

 

 

マジカル「今のは油断しただけよ、次は大丈夫」

 

欠片「今度はお前達だ」

 

フェリーチェ「行きますよ、はぁ!(ダン、ガン!)」

 

マジカル「てやぁあ!(ドガァン!)」

 

ミラクル「へこたれない、せやぁ!(ゴッ!)」

 

 

 

ゴゴゴ…

 

 

 

三人で一斉に仕掛けると、再び不気味な音が響き渡る。ましてやどんどん音が近くでも聞こえてくる。この予感は、まさか…っ!

 

 

 

欠片「次はこれをお見舞いしてやる(ゴゴゴ…、ブォ!)」

 

マジカル「危ないっ!」

 

フェリーチェ「リンクル・ピンクトルマリン!(ピキィン!)」

 

ミラクル「う、間一髪だった…」

 

フェリーチェ「私達も負けていられません。食い止めましょう!」

 

欠片「まさか一瞬で防ぐとはな…。一人ずつなぶり殺しにするか」

 

 

 

思わぬ事態に対応するように、フェリーチェがギリギリで攻撃を相殺する。ただし周りに広がる爆風により多少被弾してしまった。ダメージはそこまでないものの、もう一度あの攻撃が出されて直撃したら一溜まりもない程の威力を持っている。

 

 

 

ミラクル「はぁああ!(ドゴッ!)」

 

マジカル「てやぁ!(ガン!)」

 

欠片「この世界のプリキュアも大したことないな、まるで期待外れのようだ…(ブシャァ!)」

 

ミラクル&マジカル「「ぐぅ…っ!!」」

 

フェリーチェ「ミラクル、マジカル!」

 

モフルン「大ピンチモフ!」

 

オルーバ「へぇ、魔法の力が宿していない割には結構頼もしいね」

 

 

 

再び特攻するが、またしても迎撃される。あの敵は私達が戦った相手とは違う、今までの戦法だと確実に通用しないのが痛手だったりする。

 

 

 

ミラクル(どうしよう…。どうも上手くいかない、それに闇の魔法すら感じない…)

 

 

 

予想外の恐怖感が身体から少しずつ染みついていく。そんな事態に偏らず、どうにか次の策を模索する。

 

 

 

欠片「ならば我の力を開放してやるとしよう…。ふん!(バァァ…!!)」

 

マジカル「どんどん力が増大してるわ…」

 

オルーバ「君達は勝てるかな?この敵に」

 

フェリーチェ「私が止めます!」

 

 

 

自らの力を開放しようとする相手に、フェリーチェが対抗しようとする。一瞬の隙を見逃さずに一気に仕掛ける。

 

 

 

フェリーチェ「フラワーエコーワンド!キュアーアップ!(キュアーアップ!キュアーアップ…!キュアーアップ…―――)プリキュア・エメラルドリンカネーション!(パァァァ…!!)」

 

 

 

フェリーチェが必殺技を放ち、威力を最大限までに引き出す。ここまでは順調に思われる…。

 

 

 

欠片「おぉ……ふんっ…!(ブァァァッ!!)」

 

フェリーチェ「お願い、振り切って……!」

 

 

 

相手も蓄えたエネルギーを集中し、瞬く間に放出した。フェリーチェの方が僅か数秒の差で有利になっている。なんとか振り切れるはず―――だが…、

 

 

 

欠片「単調な攻撃だ……(ブァァァッ!!)」

 

フェリーチェ「あぁああああっ!!」

 

ミラクル「フェリーチェ!」

 

マジカル「負けた…?」

 

 

 

その直後に相手の攻撃が徐々に威力を増加し、フェリーチェに致命的なダメージを与えてしまう。

 

 

 

欠片「どうやら迷いがあるようだな」

 

フェリーチェ「迷い…?どういうことですか」

 

オルーバ「君達が抱えていることさ」

 

マジカル「どうしてそれを知っているの、何が言いたいの」

 

オルーバ「なんでも、君達の友達が殺されたんだってね」

 

 

 

今度は私達に問いかけるように会話を始めた欠片とオルーバ。私達の顔を見て察知したのかもしれない。

 

 

 

オルーバ「それは君達にとっては認知上の世界にしか過ぎないよ。所謂現実的ではない場所ってところかな」

 

フェリーチェ「認知上の世界、つまりそれは…」

 

欠片「そうさ、お前達でいう魔法界とナシマホウ界の住民は全員個人個人の認知上の世界が存在する」

 

ミラクル「つまりエミリーが殺されたのは…」

 

マジカル「私達の認知上の世界ってこと…?」

 

オルーバ「正解、でも死んだのは事実。認知上の世界の彼女が死んでも他の人間達の認知上の世界では生存している可能性だってあり得る。けど彼女という存在が認知していない場合はどうなると思う?」

 

 

 

意味深な発言をするオルーバの言葉に少し耳を傾ける私達。ここまでの流れを大まかにまとめるとこうなる。

 

 

 

1 エミリーが殺されたというのは事実

 

2 だけどそれは認知上の世界だという

 

3 あくまでそれは私達の認知している世界の話

 

4 もし周りの人々が彼女の存在を認知していなかったら…

 

 

 

という結果になった。でもいつから認知上の世界だと認識されたのかが不明ということになる。

 

 

 

オルーバ「おそらく死んだということも知らず、何も触れない場合は現実(リアル)での意味の死になる」

 

フェリーチェ「そんなことはさせません」

 

マジカル「でもいつ認知上の世界になったのかが気になるけど…」

 

欠片「答えはただ一つ、既にお前達人間への絶望を送ったのだ」

 

フェリーチェ「目的な何ですか」

 

 

 

ただ一つだけ疑問に感じたことをマジカルが真剣な顔で問い出す。

 

 

 

オルーバ「当然、マザーラーパーパの力を持つ君を確実に始末するためだよ。それに―――」

 

欠片「我らがネオフュージョンの力へと吸収し、完全復活させるためだ。そうすればプリキュアのいる世界を全て破滅させることが可能だ。この目的を完遂するにはキュアフェリーチェの力を奪い取るというわけだ」

 

ミラクル「絶対にやらせない、フェリーチェは私達にとってかけがえのない仲間…大切な友達よ!」

 

オルーバ「ここでできなくてもいつかは彼女を狙う、僕は面白そうだったから彼に協力している。時が過ぎれば本気になって襲い掛かるだろうさ」

 

マジカル「その時は返り討ちにするわ」

 

欠片「ふん、だがお前達が現実に辿り着くのは時間の問題だ。せいぜい認知上の世界で彷徨っているがいい」

 

フェリーチェ「どんなことがあってもあなた達を許しません!」

 

ミラクル「マジカル!」

 

マジカル「えぇ!」

 

 

 

強い思いを抱き、再び攻撃を再開する。それに相手の目的を達成させないためには、必死で戦うしか道がない。

 

 

 

ミラクル&マジカル「「リンクルステッキ!永遠の輝きよ、私達の手に!フル、フル、リンクル!」」

 

 

 

リンクルステッキにダイヤがセットされ、力を徐々に漲らせる。巨大なエネルギーが一気に具現化し、最大限までに引き出す。

 

 

 

ミラクル&マジカル「「プリキュア・ダイヤモンド…エターナル!(バシュ!)」」

 

欠片「お前達の本気、試してやる…(ゴゴゴ…)」

 

 

 

この攻撃に迎え撃つ相手も相当の気迫を見せている。この重圧感は侮れない様子のようだった。

 

 

 

ドゴゴゴ……!

 

 

 

どちらかの攻撃だけが打ち破る瀬戸際の中、プレッシャーが益々漂う。ところが…、

 

 

 

オルーバ「そこまでだ(バァァッ!)」

 

フェリーチェ「きゃあっ!?」

 

欠片「っ…!」

 

ミラクル「攻撃が、かき消された…?」

 

マジカル「…なんてことを」

 

 

 

退屈そうな顔をしたオルーバが互いの技を打ち消した。何の真似なの…?

 

 

 

オルーバ「今ここでフィニッシュするのは早すぎる。プリキュアの三人にはこの真実を解いてもらわないとね」

 

マジカル「どういうことよ…」

 

フェリーチェ「どうすればいいんですか」

 

オルーバ「決着は後のお楽しみさ。今日のところは引き上げるよ、現実へ戻る方法をわかったらまた相手するよ」

 

欠片「命拾いしたなプリキュア。いずれはお前達を葬る(ビュワ)」

 

 

 

オルーバ達は不快な笑みを浮かべながらその場から去っていった。あの一連の言葉はどうも理解できそうにない。

 

 

 

ミラクル「……」

 

マジカル「考えてもしょうがないものね。ひとまず戻りましょう」

 

フェリーチェ「謎が多いですね…」

 

 

 

このことは念入りに考えることにし、今日の活動は終了した。きっと校長先生も黙ってはいられないだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校長「うむ、彼女達が戻ってきたか」


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