第191話 始まりの魔法
???「…お前はどちらを選ぶ?」
どっちを優先すれば…。
???「これが世界を救った魔法使いの成れの果てだ…」
私の答えは、どっち―――
チュンチュン…
んっ…朝だ…。
モフルン「起きるモフ、もう朝モフ」
このモフモフとした感触、きっと私を起こしてくれたんだ…。もう起床の時間だ。
男性「ここの屋台人気だなぁ」
老人「今日もイチゴメロンパン食べようかのう」
女性店員「お待たせしました、ただいま焼きたてをご用意致しました」
リコ「相変わらずの行列ね」
みらい「早く食べたいな~」
モフルン「焼きたてが一番モフ」
私、朝日奈みらい。毎日が素敵でとっても嬉しいんだ。学校帰りのイチゴメロンパンは格別でとにかく美味しい。ものすっごーく、ワクワクもんだぁ!
リコ「でもあまり甘いものを摂取するのはよくないわよ。栄養バランスをしっかり考えないと」
私の一番の友達の一人のリコが参考書を読みながら忠告してきた。好きなものを沢山取り過ぎると肥満の原因となるけれど、リコの故郷である魔法界でもそれが常識として捉えているらしい。
みらい「わかってるよ~、買い過ぎたりしてないし他に買いたいものだってあるのに」
リコ「嘘つきなさい、顔見ただけで欲がわかるもの」
ことは「はーちゃんは毎日甘いものでも飽きないよ?」
リコ「もう二人とも栄養というのを意識しないんだから…(ハァ)」
私に便乗するようにはーちゃんも答える。何よりも一番嬉しそうなのははーちゃんだったりする。
みらい「早く食べたいよ~」
ことは「待ちきれないよ」
リコ「順番よ、我慢しなさい」
みらい&ことは「「はーい…」」
今でもよだれが垂れ落ちる寸前までに陥っている状況、イチゴメロンパンへの欲望だけが注ぎ込まれていた。リコもどうやら
リコ「そういえば今日は魔法界に行く日のはずよ。もう週末だし、みんなでお泊りでもしましょ」
ことは「はー!他のみんなともお話できるしはーちゃんとっても嬉しいよ!」
今週末を利用してリコの故郷である魔法界に行く予定を立てている。私も丁度週末が暇だったからいいタイミングでワクワクしている。
みらい「校長先生ともまた会いたいなぁ」
モフルン「モフルンも楽しみモフ」
リコ「それに向こうでやりたいことがあるの。それも兼ねてのだから」
立ち話をしている内にようやくイチゴメロンパンを購入できる状態になったのでまずはイチゴメロンパンを食べることにした。どうやらリコがやりたいことはお姉さんのリズ先生と資料などを整理するためらしい。
みらい「ん~っ、やっぱりこの味!この甘さが一番だよ~♡」
ことは「いつ食べても美味しいね、イチゴメロンパン」
モフルン「甘い匂いが香ばしいモフ」
リコ(ただでさえお小遣いがピンチだっていうのに…)
みらい「ほら、リコも食べて」
リコ「ふがっ!?(モグモグ)ってちょっとみらい!それくらい自分で食べれるわよ!」
みらい「だって難しい顔してたから…元気じゃないリコ、嫌なの…」
リコ「わかったからそれ以上そんな上目遣いで私を諂うのはやめなさ~い!」
私のお色気(?)作戦でどうにかリコを元気にさせる。でもやりすぎたかな…?
ことは「照れてる?」
リコ「はーちゃんも揶揄わないの!」
みらい「じゃあ続きは夜で―――」
リコ「きゃあ~っ!?」
モフルン「今日も笑顔で嬉しいモフ」
というわけで一度家に戻ってからそのまま魔法界へと直行することに。相変わらずな様子のリコがちょっぴりかわいいから結果オーライだねっ。
~~魔法学校~~
みらい「こんにちわ~」
リコ「校長先生、こんにちわ」
ことは「はー!」
校長「三人ともよく来たか。相変わらず元気そうで何よりじゃ」
まずは校長先生に挨拶をするために校長室に移動する。校長先生は今生徒達の成績表を確認しながらコーヒーを飲んでいる。
リコ「して今日の予定なんですが…」
校長「あぁ、そうじゃったな。少々多いが資料をまとめてほしいんじゃ」
みらい「リズ先生も一緒ですよね?」
校長「うむ。君達も手伝ってくれるか?」
ことは「人数多い方が早く終わるし、作業が捗るよ」
リコ「じゃあお姉ちゃんに伝えてくるわね」
私達より先にリコはリズ先生がいる図書室へと移動した。資料まとめは図書室で行うとのことらしい。
モフルン「大変そうモフ」
みらい「大丈夫だよ、すぐに終わらせるから」
ことは「それを済ませたら自由行動、ワクワクもんだし!」
その他の細かいことは校長先生から聞き、すぐに図書室へ向かった。するとリコとリズ先生以外に数人いた。
リコ「みらい、はーちゃん。ちょっとジュン達にもお願いしておいたの」
ケイ「私達丁度やることなかったの」
ジュン「大勢いればチョチョイのチョイさ」
エミリー「この資料を分ければいいんですか?」
リズ「えぇそうよ。あなた達にはそれをお願いしようかしら」
みらい「おー!助かるよー!(ジョバジョバ)」
リコ「涙を滝のように流さないの!」
モフルン「頑張れモフー」
ジュンにケイ、そしてエミリーも共にやってくれるみたい。作業はスタコラサッサっと済ませ、たった十分過ぎぐらいで終了した。
リズ「みんなありがとう、これで全部よ」
ことは「それほどでも…」
エミリー「モフちゃんも手伝ってくれてありがとね」
モフルン「我ながらいい働きぶりをしたモフ」
リコ「まぁ殆んど遊んでたけれど…」
ジュン「んでこれからどうするんだ?週末ここにいるのか?」
みらい「そのつもりだよ。夜は寝泊りするから」
作業を終えたあと、みんなで椅子に腰かける。調子に乗り過ぎたのか、私は少しだけ腰を痛めてしまった。
ケイ「無理に動くから…。はい、湿布張るから背中出して」
みらい「ぎっくり腰になってれば年寄り同然だった…(ふっ)」
リコ「そういえば週末に商店街でお祭りがやるそうよ。よかったら全員で行く?」
ことは「いいねいいね、是非とも!」
リコがテーブルに置いてあったチラシを手に取ってその広告を見せた。魔法界には色々と街がある、だから私が住んでいるナシマホウ界と同じぐらいの規模なの。
リズ「今日は無理せずにゆっくりと休んだ方がいいわ。お休みの日を利用して色々と予定を立てておくといいじゃないかしら」
みらい「じゃあそうしますね」
身体も疲れてきたところで今日の活動はここで終わりにする。私達は部屋でゆっくり休み、明日を迎えるのを待つように眠った。
エミリー「……こっそりジョギングしてるけど、心配してないかしら…」
トン、トン…
エミリー「誰…?」
シーン……
エミリー「気のせい、よね……。っ?」
ジュン「エミリー、こんな朝からどこに行ったんだよ…」
ケイ「きっとジョギングなんじゃない?」
ジュン「アタイは不安なんだがな…」
ケイ「何これ…?」
ジュン「どうしたケイ」
ケイ「血痕が滴っているんだけど、怖い…」
ジュン「見てみるか…?」
ケイ「う…ん(ゴクッ)。……っ!?」
ジュン「何かあった―――っ!?」
ポタ、ポタ…
ケイ「いやぁああああああああああああっ!!」
この日から、私達の運命が大きく左右することになる。それを知らずに朝を迎えようとしていた……。