つぼみ「…どうですか?」
ブルー「とても美味しいよ。心の底から温まる感じがする」
つぼみ「よかったぁ~…(ホッ)」
ブルー「君が喜ぶ顔を見ると幸せなんだなって思えてくるんだ」
つぼみ「嬉しいことがあれば誰だって幸せになりますよ。私にとってブルーさんがどれだけの人々を見てきたのかがよくわからないけど、喜んでいる姿を見ている側としては微笑ましいじゃないですか」
じっくり味わって凄く嬉しい表情をするブルーさんに自然と感心しちゃいます。でも…、
つぼみ「泣いてるんですか…?」
ブルー「……昔を思い出したんだ」
どうやらブルーさんの目からほろりと涙が流れていました。昔のこと、私も一度だけ聞いたことがあります。でもなぜ今頃…。
つぼみ「大切な人のことですね…」
ブルー「うん。彼女も僕のために美味しいご飯を作ってくれたんだ。離れ離れになるまでずっとなんだ。君が作ったカレーを食べたらつい…」
つぼみ(ブルーさんって、意外と苦しかったのかな…?)
彼の苦い顔を見ていると胸が閉まるような状態になってしまいます。けど、私はこのままなのは嫌です。
ブルー「つぼみ、一つ僕の話を聞いてくれないかい?」
つぼみ「はい」
ブルー「まだ話していなかったことがあってね。実はこの前君に話したことの続きだけど、彼女は今憎しみに己惚れている。彼女が戻ってきてくれるようにめぐみ達が必死で頑張っているんだよ。それはどういう意味なのかっていうと、プリキュアが愛を照すからさ」
つぼみ「ブルーさんの大切な人をめぐみ達が取り戻すために…。足りない物を埋める大事なことなんですね?」
ブルー「本来地球の神である僕自身が解決したいことだけど、到底僕一人ではどうにもならない。だからこそプリキュアが力を合わせてくれる。君もプリキュアとして何を得たい?」
つぼみ「私の得たいもの…考えたことありませんね」
ブルー「無理難題を押し付けちゃったね。別に強制したりしないさ。だた今の君の心境が気になってね」
つぼみ「え、そうだったんですか?」
一瞬だけブルーさんが私の目をじっと見つめてきました。私の顔に何かついているんでしょうか?
ブルー「ただ君が正直なところは僕でもわかる。それに君には素晴らしい仲間がいるじゃないか、得たい物はみんな一緒なんだと思うよ」
つぼみ「本当、ですね…?」
ブルー「僕の言うことに嘘はないよ。いつでも正直だからね」
つぼみ「私はいつでも信じていますからね、ブルーさんはいいお方ですから」
気づくとほんわかなムードになりつつありました。ぶっちゃけ話が逸れた気がしますが。
つぼみ「あ、すみません。ちょっと話が」
ブルー「いいよ、僕が言い出したことだから」
つぼみ「それでブルーさんの大切な人の名前、聞いてなかったですね」
ブルー「ミラージュ、それが彼女の名前さ。僕に勇気をくれた存在だよ」
素敵な名前でちょっと心が落ち着きますね。けどそこまでして彼女を連れ戻したいなんて…。
ブルー「いつかミラージュが戻ってきた時はまたたくさん話をしたい。勿論つぼみ、君も彼女に何か聞くといいよ」
つぼみ「そうですね。いつかきっと戻ってくるといいですね」
ブルー「そのためにめぐみ達が頑張っている、君達も大切なものがたくさんあるのなら全力を尽くしてほしい」
さっきまでの悲しみが嘘のように無くなったブルーさん。決意を振り絞っていれば苦労などありませんね。
つぼみ「あの…ブルーさん…」
ブルー「つぼみも何か言いたいのかい?」
つぼみ「えっと、その……」
ここで私は彼に伝えたいことを口にしようとします。でも少しだけ戸惑いがありますが、仕切り直します。
つぼみ「ブルーさん、私…ずっとあなたを見てきました。最初はかっこよさに一目惚れしましたが、段々会話をしていく内に幸せをもらい受けた感じがしました。迷いを一切見せずにみんなをまとめる姿が大好きです…」
ブルー「…つぼみ」
つぼみ「無理難題ですが、これからも私の傍にいてくれますか…?」
自分の正直な気持ちをここで告げ、心境を聞き出します。ブルーさんが出した答えは…、
ブルー「僕でよければそれでいいよ。僕はいつだってみんなの味方さ」
つぼみ「ブルーさん…」
答えを出したブルーさんは頷きながら微笑みました。それからしばらく彼を話をし、気がつけばもう遅い時間になってしまいます。
つぼみ「もう帰るんですね」
ブルー「今日はありがとう。それとカレー、とても美味しかったよ」
つぼみ「次みんなで会う時はまたブルーさんにも来てほしいです」
ブルー「今度はそうするよ。みんなが笑う姿を見ているだけで嬉しくなるし」
つぼみ「はい。あ、ブルーさん。最後に一ついいですか?」
ブルー「どうしたの?」
もうすぐ帰るブルーさんに私は耳元に顔を向けようとします。そして、
つぼみ「大好きです(チュ)」
さりげなくキスをしました。
ブルー「……じゃあ、またね」
つぼみ「はいっ…」
今日のことは私にとって凄く思い出に残る一日でした。またどこかで彼に会えるように、私も頑張ります…。
~~別の日~~
めぐみ「ねぇみんな、放課後空いてる?」
ひめ「どうしたの?急に」
ゆうこ「別にいいけど」
激しい戦いから数日後、私達は問題なく毎日を過ごしていた。そこで私は放課後を利用してみんなを呼び掛けている。
ひめ「誠司も呼んだ方がいいの?」
めぐみ「誠司はもう既にいるから、屋上に」
ゆうこ「屋上に行くんだね」
ひめ「でもなんでそこまで距離置く必要が…」
めぐみ「とにかく、ね?」
ひめとゆうゆうが少し納得しない顔をしながらそのまま屋上へと向かう。そこには一人風を浴びている誠司の姿が。
誠司「来たか」
めぐみ「うん。言い出しっぺは誠司なんだよね?」
誠司「そうだ。実は俺らから話したいことがある。めぐみに」
めぐみ「…え?」
ひめ「あれれ、いつの間に気がついたんだ」
ゆうこ「知らないふり作戦、成功ね」
どういうことなのか、私の方が嵌められたような感じがする。一体何事?
誠司「大森からいいぞ」
ゆうこ「めぐみちゃん、この前のことだけど。あの時めぐみちゃんが謝ったでしょ?本当は私から謝るべきだったの」
めぐみ「まだ解決してないの?」
ゆうこ「うん。実は私、めぐみちゃんに黙って相良君と親しんでいたの」
予想を遥かに超えるゆうゆうの発言に一瞬ビックリする。
めぐみ「元々親しんでいるんじゃない?」
ゆうこ「違うの。相良君と肉体関係―――」
ひめ「ストーップ!それ以上はNGでしょ!」
ゆうこ「えっとね、本当はめぐみちゃんが神様と仲がいいからって相良君がとても落ち込んでいたの」
誠司「これだけは直接言いたくなかった…」
めぐみ「え?そうだったんだ」
案外スッとした発言にすんなり理解する私。誠司ってそういうことを悩んでいるんだ。
誠司「だぁーもうっ!とにかくそういうことだ!」
ゆうこ「それでめぐみちゃんが相良君を意識するまでの間私が代わりに親しんだってこと」
めぐみ「単純なんだね」
誠司「これでわかったろ、恋人ごっこはもう終わりだ」
ゆうこ「じゃあ相良君、ちょっと来て」
誠司「なんだよ」
バチィン…!!
めぐみ&ひめ「「ゆうゆう(ゆうこ)~ッ!?」」
波乱の展開勃発、この話はいつ終わるのやら…。
次回で第三章完結です。