アンラブリー「友情ごっこしている場合?だったら一緒に向こうに行ってからやってね、えい(ブォオオッ!)」
プリンセス「邪魔しないでっ!(ボン!)必死で気持ちを伝えてる側の身も知らないくせに、えらそうにほざいて何様よっ!」
ハニー「プリンセス…」
アンラブリー「もういいよ、アンタ達なんか滅茶苦茶になればいいから」
私とハニーの会話を妨害しようとするアンラブリーをギリギリのタイミングで止めるプリンセス。だけどすぐさま第二波が攻めてくる。
アンラブリー「私達のために礎になってちょうだい?(ビュィィン!)」
ラブリー「させない!はぁあああっ!(ドガァ!)」
プリンセス「偽者なんかに負ける私達じゃない!(バキッ!)」
ハニー「本人に非ずな力など不快なんだから!(ゴン!)」
アンラブリー「果たしてそうかなぁ?」
ラブリー「え…?」
アンラブリーが上の方を指刺すと、そこにダークプリキュアが舞い戻ってきた。いや、それだけじゃない…。
Dプリキュア「こいつを出し抜いて他は無事か。どうやら精神力が強いやつらだったか」
ハニー「ダークプリキュア―――っ!?」
プリンセス「どったの?」
ラブリー「…うそ、でしょ…」
ハニー「彼女に何をしたの!?」
彼女の横で気力を完全に失っているフォーチュンの姿が確認された。フォーチュンの瞳にはもはや何も映っていない。
Dプリキュア「こいつの影がきっちり仕打ちをした。もうこいつはただの置物同然だ」
ハニー「フォーチュンの影、これで私達と同じ四人…」
アンラブリー「そう、私達は憎しみによって生まれたプリキュア。名づけて…、」
アンラブリー&ヘルプリンセス&バッドハニー&デスフォーチュン「「「ディープダークプリキュア」」」
今までファントムが私達の見ていないところで動いてたのは彼女らを生み出すこと(アンラブリーは分裂かつ蘇生)だった。姿を現していないから何もないと思ったがそうではなかった。
Dプリキュア「この四人は完全にお前らを凌駕するだろう。大人しく諦めろ」
プリンセス「こんなやつらに負けるわけがないでしょ!」
ハニー「フォーチュン、早く私達のところに―――」
フォーチュン「いやぁ…!」
プリンセス「…フォーチュン?」
ラブリー「怯えてる…?」
アンラブリー「ちょっとやり過ぎじゃないのぉ?恐怖状態だし」
Dプリキュア「あいつにとっての大切なものを消しただけだ。私に文句言われても困る」
ハニーがフォーチュンに手を刺し伸ばすと、なぜかフォーチュンが身体全体を震えながら頭を抱えた。まさかフォーチュンに仕打ちしたって言ったのは…、
Dプリキュア「キュアフォーチュンの影があいつ自身の大切なものを抹消した。よってこいつに戦う意思などもはやどこにもない」
ハニー「大切なものって言ったら、お姉さんの…」
フォーチュン「お姉さん?何それ…」
ラブリー「フォーチュン…」
フォーチュン「私には姉という存在はない…。私は常に孤独で、臆病なの…」
プリンセス「嘘だよそんなの!フォーチュンは一人じゃない、ずっと仲間がいたから笑顔でいられる明るい性格のはず!」
フォーチュン「やめてぇ!仲間なんていない、暗いところで静かに死ぬのを待つだけなの……」
必死で説得しようとしても言葉が届かない。じゃあどうしたらいいの…?
ラブリー「フォーチュンの大切なもの、その全部を返して!」
アンラブリー「私達に勝ってから返してあげてもいいんだけどね?」
プリンセス「汚い手使おうだなんて許さないからね!」
ハニー「人を道具のように使わないで!」
フォーチュン「……」
三人がかりでアンラブリーを押さえつけようとするが、逆に囲まれてしまった。今の状況だとこちらが三人に対してあっちは五人いるのだから。
Dプリキュア「私はそろそろあいつらも始末する。せいぜい遊んでいるのだな(バッ)」
ラブリー(つぼみ達のところへ行ったんだ、早く助けてあげないと。でも今は…)
プリンセス「ラブリー!私達でどうにかしないと!」
ラブリー「ねぇプリンセス」
プリンセス「…え?」
ラブリー「ちょっとだけフォーチュンと話してくるね。すぐ終わるから、その間に時間稼ぎしてほしいの」
プリンセス「無茶よそんなの!」
無謀なのは自分でもよくわかることだ。だがここで放っておくのはもの凄く遺憾だ。私は二人に足止めをお願いし、フォーチュンの元へ静かに進んでいく。
ハニー(めぐみちゃん、そこまでして…)
プリンセス「こうなったら私達だけでも止めてやらぁ~!!」
アンラブリー「とうとう壊れたの~?可哀想なお姫様、きゃはははっ!」
ヘルプリンセス「すぐに楽にしてあげてもよくてよ?」
バッドハニー「……炭になれ、ご飯なんか…」
デスフォーチュン「次はあなた達の番」
あっちも苦労するだろうが、私がするべきことに集中するのみ。
ラブリー「フォーチュン」
フォーチュン「…こないで」
ラブリー「大丈夫、怖くないから。フォーチュンに愛を教えようと思うの」
フォーチュン「その話をしないでぇ…!どうせ碌なことなんかありもしないのに、平気でそれを口にするなんて…」
ラブリー「だって、いおなちゃんの大切なものってお姉さんでしょ?」
フォーチュン「一人なの、私は。何も頼れない役立たずで咎められるだけの人でなし、生きてる意味もないのよ…」
ラブリー「お姉さんがもしこの場を見ていたら何て言うのかな?」
フォーチュン「お願いだからその話はもうやめてよ!家族すら恵まれてない私にいつまで諭すつもりなのよ!あなたは私の何!?」
ラブリー「それはね、醜い。そして私も…」
バシィ……!
フォーチュン「……」
ラブリー「……」
私が言いたかったこは、ここで表現された。
ラブリー「何自分だけ拒絶しているの!あなたはどんなことでも諦めないでやり遂げる性格でしょ!」
プリンセス「ラブ、リー…?」
ハニー「叫んでいる?」
フォーチュン「…私が?」
ラブリー「とぼけないで!心が無くなったからもう無理って話じゃ通用しないんだから!まだ心の奥底に本当の意思が残っているんでしょ!ありのままの自分でいたいならそんな大それたことを振り払うべきじゃない!希望を捨てないで前に進むのが氷川いおな、キュアフォーチュンでしょ!」
フォーチュン「…めぐ……み?」
ラブリー「この程度で怖気づくようじゃプリキュアの意味なんてない!どんなことでも屈しないのなら、もっと堂々と前に進みなさいよ!!」
フォーチュン(もっと前に進む…何だろう、この感情。私の中に大切な何かを思い出してくれるような温かい温もり―――)
いおな(ここって、お姉ちゃんが外国に行く前の日に行った場所。不思議ね、この風を浴びながら最高の景色を見るのが…)
スッ…
いおな(お姉ちゃん…?)
ヒュゥゥゥ…
いおな(ありがとう、笑顔で見ていてくれて。そして全部思い出した、私の大切な存在はすぐそこにあるから…)
フォーチュン「お…姉ちゃん…。はっ!」
ラブリー「フォーチュン…」
この時、彼女がかけがえのないものを思い出した瞬間を目の当たりにしたのだった。