フォーチュン「はぁー!(ドガッ!)」
Dプリキュア「何度やっても無駄だ、お前では私には勝てない…!(ガン、ガン!)」
フォーチュン「うっ…。これでもダメなの…?」
休むことなくダークプリキュアに攻撃を繰り返していくが、全然命中しない。それどころか私の体力が意味なく消耗してしまう恐れが生じている。
Dプリキュア「どうやらお前では到底追いつけないな」
フォーチュン「まだよ!プリキュア・くるりんミラーチェンジ、あんみつこまち!」
Dプリキュア「姿を変えたところで何になる、ふん…!(バッ…!)」
フォーチュン「プリキュア・桜吹雪の舞!(ビュゥゥッ!)」
一瞬姿を変化し、再び技で押し付ける。でも呆気なく相殺された。それと同時に私とダークプリキュアは身体の痺れが下から伝わってきて少し体勢が崩れてしまう。
Dプリキュア「そこまでして意味があるのか…?」
フォーチュン「あるに決まっているわ。私はどうしてもあなたに聞きたいことがあるの」
Dプリキュア「言っただろう、お前達に話すことなどないと」
フォーチュン「いえ、あなたがそうだとしても私にはその心が感じるのよ」
Dプリキュア「あいつと同じ雰囲気だけはあるか…。いささか痛烈だ」
フォーチュン「過去に苦しいことでもあったの?」
Dプリキュア「うるさい…!気安く私の気持ちに同情するな…!」
私の言葉に拒絶するように頭を抱えるダークプリキュア。なぜだかわからないが、私は彼女の苦しさがよくわかる。きっとゆりさんも彼女と…。
フォーチュン「さぁ、何でもいいから話して?相談なら引き受けるから」
Dプリキュア「そこまでしつこいなら、お前の大切なものを壊してやる…。還付無きにな…」
フォーチュン「…え?」
Dプリキュア「そろそろ出番だ(パチン)」
彼女の合図で黒い靄が現れ、そこから人の形へと変化する。そのシルエットはよく知っているものだった。
フォーチュン「…あれはっ!」
Dプリキュア「やつの手土産だ。それもお前と同じ姿、名は…」
フォーチュンの影「……デスフォーチュン、愛と幸せに溢れたプリキュアに非ず。そして、あなたに関わるものを全部ぶち壊す存在…」
フォーチュン「デスフォーチュン……」
Dプリキュア「どうだ?恐ろしかろう。あのアンラブリーと同じタイプということだ」
やはりあの時のファントムが出した影の存在は他にもあった。このままいけば残りの二人の分も…。
フォーチュン(何…?突然身体中が怯えるように震える…。今までにない恐怖感が全身に伝わる…)
自分にもわからない恐怖感が漂い、更に緊張感が増す。それどころか、逆に相手が余裕の表情を見せていた。さっきまでのことを一切なかったかのようにするぐらいのことだ。
Dプリキュア「今からお前の大事なものを全部消える、こいつの手によってな。せいぜい頑張ることだな」
フォーチュン「待って!そんなこと言われても…」
デスフォーチュン「戦いに世迷言はいらないの。あなたに関わる全てを消してあげる。まずは、姉という存在をね―――」
フォーチュン「…っ!?」
この時、私の中の何かが脳内に浮かんできた。
フォーチュン(ここは…、私の…)
自らの精神世界に入った私は、ある光景を目にする。
いおな「お姉ちゃん、こっち来て。ここならいい眺めにだと思うから」
まりあ「こらこら、あまり先走らないの。言われなくても行くから」
これはお姉ちゃんが外国に行く前日の出来事。清々しい顔で私のところへ来る様子が見える。しかし、ここからが問題だった。
いおな「この位置なら大丈夫だから―――お姉ちゃん…?」
まりあ「……」
いおな「どうしたの?ねぇ、お姉ちゃん…!」
その時の私が何度も呼んでも返事がない。むしろ、表情が固まって時が止まったかのような状態になってしまった。本当はこんなことなかったのに…。
ゴゴゴ……
いおな「何…?お姉ちゃんっ!行かないで!お姉ちゃんっ!!」
フォーチュン(嫌、酷すぎる…。あれ…?この出来事が脳から消えていく、やめて…お願い…!)
そのまま闇へと落ちていくお姉ちゃんに絶望してしまう私。お姉ちゃんこそが私にとっての大切なものの一つ。
いおな「また私は一人になるの…?嫌、やめて…っ!!」
フォーチュン「やめてぇええええええっ!!」
Dプリキュア「反撃する暇も無くなったか、哀れなやつだ」
フォーチュン「……」