ひめ「ちーっす、調子はどうなの?」
めぐみ「わざわざ来てくれてありがとう…。まだ熱は下がりそうにないんだ…」
急な高熱でしばらく学校を休まざるをえなくなった私の見舞いにひめがやってきた。勿論しっかりマスクをして私の部屋に入っている。
めぐみ「ところでもう時期試験でしょ?やっぱり私は受けられないよね」
ひめ「当たり前よ、めぐみだけは後日なんだから」
めぐみ「そうでしょうね…残念」
やはり無謀なことをやらない方がよかったのだろうか。熱が出た理由は多分この前夜まで誠司と一緒にランニングをやったからだと思う。あの時は体力作りをしたいという私の理由だったけど、それがあだとなったのかな…?
ひめ「でもさ、めぐみが試験終わったら例の件をやろうね」
めぐみ「例の件?あぁ、あれね」
ひめ「そう。みんなでお泊り会~!」
私達が試験終えたらやる恒例の行事。今度はつぼみ達も誘いたいと思っている。
めぐみ「その時に私、みんなに料理振る舞いたいの。勿論ゆうゆうと一緒にね」
ひめ「ゆうこ一人だけいいとこ見せるわけにはねぇ。めぐみもお手伝いすればきっとゆうこも喜ぶよ」
めぐみ「やっぱりゆうゆうは料理が得意だし、それに―――……」
ひめ「…めぐみ?」
一瞬言葉が止まる。大親友の一人であるゆうゆうのいいところを言おうとしたけど、なぜかこの後の言葉が出なくなる。
めぐみ「それに…友達思いな部分もいい…よね」
ひめ「めぐみ」
めぐみ「どうしたの?」
ひめ「やっぱりめぐみもそう思ったよね、実は私もなの」
私の言葉の後に便乗するようにひめが気不味い顔で論しだす。どうやら考えていることは共通のようだった。
めぐみ「……ゆうゆうってさ、最近誠司と仲がいいよね」
ひめ「ぶっちゃけ、細かいところ私は何もしらないよ。二人に何があったのかすらね」
めぐみ「悪いようには言いたくないけど…、なんかちょっと馴れ馴れしいかも…」
友達には絶対言わない発言、今の私に感じるのはこの言葉だった。そして心も少し悲しい。
めぐみ「仲良くするのは悪いことじゃないよ?でもあまりにも見せつけているような感じで…」
ひめ「一体どうなったかが気になるし、何も好きでこういうことをやっているわけじゃないでしょ?」
めぐみ「そこはそうだけどさ。私はただなぜそこまでやるのかが気になるの」
ひめ「じゃあめぐみ、もし神様が他の女性と仲良くなっていたらどうする?」
今度はブルーを例として話すひめ。認めたくない例えだけど、もしものことが起きた時を考えれば有り得なくないと思う。
ひめ「めぐみはどっちが大事なの?神様なのか誠司なのか」
めぐみ「それを言われるとなぁ…。正直私には選べないよ。だってどっちも大切な存在だから」
ひめ「どちらか一つって決められたら?」
めぐみ「ごめん、選べない…」
ひめ「もうじれったいわね、私なら神様を選ぶわ。だってその名の通りだし」
めぐみ「そ、そうなんだね…」
ひめ「微妙に男気の足りない誠司より数百倍マシでしょ?私だったら断然神様が大事よ」
自分にとっての大事なものを選択するというのがとても答えられそうにないのは事実。私は色々なことが全部大切なんだと認識しているのだから。
めぐみ「私、みんなが集合した時にゆうゆうと話がしたい」
ひめ「なるほど、めぐみの気持ちを伝えたいってことね」
私自身の潔さをもっと上手に使いたい、ましてや中途半端で終わること自体そのものがとても遺憾だ。
めぐみ「人ってよくわからないね」
ひめ「同じ動物としては知能あるからね。でもそれ故の素養っていうものだってあるんだから」
めぐみ「ここまで真剣に話すのってなかなかないかもね。結構頭使うじゃない?」
ひめ「正論だねそれ。難しいことも頭に入れなきゃならないから余計面倒じゃん」
だからこその人だ。長い人生悩まされる部分は多い。けど自分達の長所を活かせば案外楽ではないかと感じる。存外複雑な理由も多いかったりもするからどうしても戸惑ってしまうという。
めぐみ「だから……。ゆうゆうの本当の気持ちを聞きたい、なぜそこまで誠司と一緒にいたいのかを」
ひめ「時期に訪れるよ、その時がね」
この後、私とひめは夜になるまでひたすら自分の思ったことを話し合った。どのようにハッキリしたのかをじっくりと考え込んだのだった。
~~数週間後~~
めぐみ「やっと終わった~!」
ひめ「結局めぐみだけは追試扱いだったね」
ゆうこ「でもめぐみちゃんが元気になってよかったね」
いおな「成績や単位は多分上がるんじゃないかしら。これでもう一安心ね」
私の追試試験が終わり、心も大分解消された気分で一杯だった。なお、ひめ達が受けた試験から数日後のことだから相当ブランクが空いたと言える。
誠司「よかったなめぐみ。無事に終わって」
めぐみ「みんなにはかなりお騒がせしちゃったみたいだね、本当にごめんね」
いおな「いいのよ、そんなに頭下げなくても」
達成感と共に誠司が私を労ってくれた。しかし随分と待たせたことも気になってつい頭を下げてしまう。
ひめ「じゃあめぐみ、そろそろ言ってあげなよ」
ゆうこ「何のこと?」
ひめのタイミングで、私は三人にあることを教え始める。
めぐみ「ごほん。実はね、今週の休みの日にみんなでお泊り会したいって思うの」
いおな「いいじゃない、私は喜んでいいわよ」
めぐみ「でもね、今回はつぼみ達も誘う予定なんだ」
誠司「お、それはいい提案じゃないか」
ゆうこ「人数多い方が盛り上がるよね」
予想以上の反応を見せてくれたみたいでホッとする私。ずっと決めていたことがこうして実現できるのは凄く微笑ましい。
ひめ「流石に人数多そうだから私の家でやろうよ」
誠司「ひめの家なら広いし部屋も沢山あるから問題ないかもな」
めぐみ「誠司、一つ聞きたいけどさ」
誠司「どうした?」
めぐみ「もしかして、誠司も来る…の?」
誠司「なぜ俺から離れるんだ…。俺だけ一人っきりパターンかこれは」
いおな「聞かれたらそうね。私達だけ楽しんでも味気ないわね。折角だから相良君も誘えばどうかしら」
ここで重大な事実を思い出し、うっかり誠司から距離を取ってしまう。だがいおなちゃんが提案してくれたおかげで距離を戻した。
ゆうこ「ここはいてくれなきゃ楽しくならないよ。ね、相良君?」
誠司「ビックリさせるなよマジで…」
ちょっぴり誠司が可哀想に思えてきた。更に本人は結構訝しむ顔をしていた。
めぐみ「とにかく、まずはつぼみ達にも声をかけるところから開始ね」
いおな「了解、上手く誘ってみるわね」
ゆうこ「私も手伝うよ、一人じゃ大変でしょ?」
誠司「俺も声かけるさ。無茶したら大変だからな」
いおな「無茶なんかしないわよ~。ていうか無理難題なんか押しつけないし」
こうして私達はつぼみ達にお泊り会に誘うところから始まった。手分けして探しては見つけて、すんなりと了解を得ることに成功。しかしゆりさんを探していたいおなちゃんは見つけたものの、別の用件があるという理由で来ることはできないと聞いたので集まった人数はつぼみとえりか、そしていつきの三人という結果となった。合計八人での楽しい夜を過ごすこととなっていてもたってもいられない気分で沢山だった。そして気がつけばもうその時が迎えたのだった。
~~数日後~~
めぐみ「みんな揃ってる?」
誠司「随分と多くなったな」
ゆうこ「大人数でやるなんて初めてね」
いおな「ちょっと不思議かも」
時刻はもう時期夜になるところ。ここで人数確認をするために一人一人に確認を取っている。
つぼみ「わざわざ誘ってくれてありがとうございます。とても嬉しいです」
えりか「今日は楽しいパーティーにしよ~!」
いつき「最初から盛り上がってるねぇ。でも今日は楽しい夜になりそうだね」
ひめ「お~い!そろそろ入っていいよ!」
めぐみ「ところで今日はブルーいないよね?」
ここでひめが準備を済ませて私達を家に上がらせる。それと同時に私はひめにブルーがいるかどうかを尋ねる。
ひめ「神様は相変わらず留守。だから今日は結構はっちゃけることできるよ!」
つぼみ「今日も、いないんですね…」
ひめ「あ…。そうじゃないよ?帰りが遅いだけで」
いおな「そうそう、寝る前には帰ってくるから」
つぼみ「よかったぁ…(ホッ)」
あ、ヤバイ。つぼみの前で不快なことを喋るのは厳禁だった。次は気をつけないと。だけど安心させたのか胸を撫で下ろしていた。
ひめ「へいらっしゃ~い」
誠司「魚屋かよ(ププッ)」
ひめ「なんで笑うのよ~!」
ゆうこ「ほらほら、これを舐めて落ち着こうね(ヒョイ)」
ひめ「(モグモグ)うまし~!」
めぐみ「ゆうゆうのキャンディがいい薬になってるねこれ…(あはは)」
みんながそれぞれで済ませることをして席に座った。まずは夕食を食べるところからだ。
めぐみ「今日は私とゆうゆうでご飯作るね」
ゆうこ「できるまで自由にしてていいからね」
えりか「もうお腹ペコペコっしゅ~」
いつき(ところでシプレ達は留守しても大丈夫だったのかな…?)
つぼみ(私達だけで楽しんできていいとのことですから、ついお言葉に甘えてしまいましたよ)
さて、まずはご飯食べてそれからがお泊り会の醍醐味が始まる。これからが楽しみになってきちゃった♪