プリキュアオールスターズ大戦   作:クワトロン大帝

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第170話 亡き者との契り

めぐみ「ゆうゆう、美味しかったよ」

 

ひめ「ごちそうさ~ん」

 

ゆうこ「もう外は暗いから気をつけてね」

 

いおな「私はあっちだからめぐみ達もちゃんと帰るのよ」

 

誠司「大丈夫だって、夜道は慣れてるし」

 

めぐみ「じゃね~」

 

いおな「また明日」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いおな(今日も花吹雪が散ってる…)

 

夜空に星がいくつも散りばめている景色を見ながら舞い上がる花吹雪を気にする。今日の一日はとても疲れの溜まる日だった。私はめぐみ達の頑張る姿をいつも見守っていた。でも自分としては自分自身が頑張らなきゃいけないと自覚することもある。ただそれを蔑ろにするとは思わない、自分の思う通りにやっていけばいい。

 

いおな「あれって…」

 

私は電柱の灯りの方を振り向くと、見覚えのある人の姿を見た。あの凛々しい人はもうわかる、

 

いおな「ゆりさん、しばらくですね」

 

そう、ゆりさんだった。ゆりさんは今ここに来たかのような様子みたいだった。

 

ゆり「いおなもしばらくのようね。それに、あなたの知り合いもここにいるわよ」

 

いおな「知り合い―――ってぐらさんじゃない、どうしてここに?」

 

ぐらさん「いおなを迎えに行こうとしたら偶然会ったんだぜ、結構大人っぽい人だぜ」

 

まさかぐらさんとゆりさんが一緒だったのはとても意外ね、案外悪くもなさそうだし。

 

ゆり「その子を見てると、なんだか懐かしく感じたの」

 

いおな「懐かしく、ですか?」

 

ゆり「私にもかつて…パートナーがいたの…」

 

一瞬言葉を失ってしまう。そしてこの言葉にちょっと口が動かなくなった。

 

いおな「そのパートナーは…?」

 

ゆり「…もういないわ、それも大分前の話」

 

いおな「辛くない、ですか…?」

 

ゆり「最初はかなり辛かった。私もどうすればいいか迷ったこともあったし、でもいつまでも過去にとらわれたままじゃいけないと思い再び立ち上がれた」

 

複雑かつ迷いの見える話だと感じる。ゆりさんが語る過去には何が浮かび上がるのか、もう少しこの話を聞くことにする。

 

いおな「ゆりさんにも譲れない心はあるんですね…」

 

ゆり「失って悔しいという気持ちはあったし、悲しいという気持ちもあった」

 

いおな「今はどうしてるんですか?」

 

ゆり「私が再び立ち上がれた時からずっと彼のことを思い出している。これからも見守ってほしいってね」

 

いおな「その子、元気で頑張ってるんでしょうかね」

 

ゆり「きっと向こうで元気でいるはず。孤独な私の心を癒してくれるから」

 

ゆりさんが思う気持ち、伝えたい気持ちがわかる気がする。こう見えて本当はずっと傍にいてほしいと信じていたけれど、突然の別れを受け入れざるを得ない事態になっても一人で立ち上がれるという強い信念を抱き続けるから、私にとっての彼女は偉大な存在なのかもしれない。

 

いおな「実は私も辛いと思ったことがあるんですよ」

 

ゆり「聞かせてほしいわ」

 

いおな「私にはお姉ちゃんがいます。今では勉強するために外国に暮らしているんですけどね。将来は資格も取って十分な社会を築き上げたいと意識をしてます」

 

ゆり「いおなの辛かったことというのは…」

 

いおな「前までお姉ちゃんがいなくなったことです。色々と悲しい現実を受け入れて以来、厳しく接していた時期もありました。でもそれはかなり複雑な内容みたいなので…」

 

ゆり「いいの、細かいことは言及しないから。人には触れたくない事情があるものよ」

 

私の気を遣うようにゆりさんがそう答えた。おそらくゆりさんにも触れたくないこともあったのではないのかしら。

 

ゆり「もう時間も遅いし、ここら辺で帰りましょうか」

 

いおな「ええ。また明日でも会えますよね?」

 

ゆり「いおなも学校があるでしょ?終わった後でもいいから次は違う場所で集まりましょうよ」

 

いおな「はい、そうしますね」

 

ぐらさん「草臥れたぜ~、そろそろ帰ろうぜ~」

 

いおな「言われなくてももう行くわよ?」

 

もう本気で時間もヤバくなったのでここで引き上げることにした。また気になる話は明日するということで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~深夜~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いおな(これでいいかしら、手紙の内容は…)

 

日付が変わる数分前、私は寝る前に明日お姉ちゃんい出す手紙を必死で書き終えた。結構大雑把に仕上げた部分があったため、それを何割か修正を施していた。

 

 

 

~~お姉ちゃんへ~~

 

今でもお元気ですか?私は毎日元気よく過ごしています。つい最近新しい友達ができて更に楽しい毎日を送っているよ。でも時々辛いことを思い出したらいつもお姉ちゃんが送った絵はがきを見て気分をスッキリさせているし、何よりも私を支えてくれる友達がいるから。お姉ちゃんも体調管理には気をつけてね?向こうの国の薬も効き目はあるけど過度な摂取が必要になる場合があるの。だから家で毎日使っていた薬の方が効き目が出るわ。それから時々家にも連絡してくれたらありがたいし、お姉ちゃんが辛いと思ったことがあればしっかり私に言ってね?最後になるけど、お姉ちゃんと同じくらいの人と会ったの。今度戻ってきたら紹介するね。その時まで元気でいてください、そして変わらない毎日を送ってください。これからもお姉ちゃんのことを遠くから見守ります。

 

PS 次戻ったら今度こそお姉ちゃんに勝つからね!

 

 

 

疲れが溜まり、そのまま眠りについたのだった。ゆりさんのことをいつか紹介できればと夢の中で何度も願い続ける私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~同時刻、めぐみの家~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めぐみ(試験、いい点数とれるかな…)

 

誠司「お前、大分テンパってんな」

 

めぐみ「あ、誠司」

 

私がベランダで腰かけていると、隣の部屋から誠司が平然と顔を出した。私の家と誠司の家はマンションの隣同市なのでこうやっていつも顔を合わせることとなる。

 

めぐみ「別にそういうわけじゃないよ?自分と向き合ってただけ」

 

誠司「とりあえず低い点数だけは避けなきゃな」

 

めぐみ「もしかして誠司も気にしているんだぁ~」

 

誠司「誰がそんなこと…バカも休み休み言え」

 

めぐみ「じゃあ私が低い点数取ったらどうするの?」

 

誠司「それは自分でどうにかしろよ、何でも俺に頼るんじゃない」

 

口ではそう表現するが、実際は結構心配していたらしい。

 

めぐみ「ソワソワしそうなんですけど~」

 

誠司「とりあえず気合いと根性でどうにかなれよ」

 

めぐみ「あのね誠司。試験が終わったらさ、みんなでひめの家に泊まりに行かない?」

 

誠司「みんなっていうのはいつものメンバーだろ?」

 

めぐみ「いや、つぼみ達も連れてくの」

 

ここで一つ、誠司にいい提案を持ち掛ける。納得する様子の誠司だが、ちょっと緊張気味でもあった。

 

誠司「もはや女子会じゃないか…」

 

めぐみ「遠慮しないの。きっと楽しいよ」

 

誠司「考えておく、とりあえずもう俺は寝るわ。お前も夜更かしするなよ」

 

めぐみ「わかったよ、おやすみ」

 

先のことは後から考えることにした。今は待ち受けることに集中することに専念する。私のできることをやりとげなきゃね。


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