プリキュアオールスターズ大戦   作:クワトロン大帝

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第158話 男は皆正直だ

爽やかな休日はとても心地のいい気分だ。今日は私とひめが空手の自主トレをしている誠司に手作りケーキを届けに出かけていた。

 

めぐみ「誠司、喜んでくれるといいね」

 

ひめ「にっひっひ♪デコレーションはバッチリね♪」

 

めぐみ「それに、ひめ一人じゃ味付けは任せれなかったけどね」

 

ひめ「ちょっとそれどういう意味よ~!」

 

めぐみ「冗談冗談」

 

ひめ「でもそのおかげで少し作りすぎちゃったね」

 

ひめがケーキが崩れないように慎重に運びながらそう思う。本来なら人数分の分量だったけれど、結構余裕できてしまったみたいだ。

 

めぐみ「いけそうだけど、流石に食べきれないと思うな」

 

ひめ「あ~あ。リボンは神様と一緒に留守してるし、ここは誠司に頑張ってもらわなきゃね」

 

めぐみ「確かに。でもお腹壊す可能性あるよ?」

 

ひめ「なんとかなるなる~」

 

めぐみ「不安かも…」

 

まぁ無理はさせるつもりなんてないし、ここは無難にゆうゆうといおなちゃんにも分けてあげたいところではある。

 

めぐみ「どうにか分けてる方法はないかな…」

 

ひめ「思い当たる節あんの?」

 

めぐみ「いや、待てよ。もしかしたら…」

 

ここで私があることに気がつくと、

 

 

 

いつき「あれ?二人とも何してるの?」

 

 

 

健気な顔で尋ねるいつきの姿が見えた。

 

ひめ「チョリス!」

 

いつき「難しい顔だけど、どうしたの?」

 

めぐみ「あのね、実はケーキを食べてほしいの」

 

ひめ「いつきにも分けてあげようかな~って」

 

いつき「一体何のこと?」

 

めぐみ「あ、端折っちゃった。要するに―――」

 

 

 

~~事情を説明中~~

 

 

 

いつき「なるほど。だから困っていたんだね」

 

ひめ「勿の論」

 

訳ありなことを無理やり押しつけてしまったけど、わかってもらえてよかったぁ…。

 

いつき「それだったらつぼみ達にも分けてあげたらどう?僕一人だと少しきつそうだし」

 

めぐみ「いいね!そうしようよ」

 

ひめ「ときにいつき。その荷物は何だべ」

 

ひめがいつきの持っている鞄に指をさしながら尋ねる。あれってスポーツとかやってそうな量の荷物っぽいけど。

 

いつき「今日はあることをしようと思ってね」

 

めぐみ「あること?」

 

いつき「この近くに道場あるかな?」

 

ひめ「あるよ、私達も今からそこに行くところ」

 

いつき「じゃあ案内してもらえる?」

 

めぐみ(どうして道場なんかに…。もしかして、いつきって……)

 

謎が多いけど、とりあえず誠司のいる道場へと向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~数分後~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひめ「ついたよ、まぁ大したところじゃないけどさ」

 

いつき「いいよ、できればいいからさ」

 

めぐみ「こんなところで何をするの?」

 

いつき「ちょっとね」

 

黙々と中へ入り、そのまま誠司のいる部屋へ移動した。

 

めぐみ「お~い、誠司!」

 

ひめ「生きてるか~」

 

誠司「突拍子のないこと言うなよ、ちゃんとやってるから」

 

いつき「彼は?」

 

めぐみ「私達の親友の誠司、まだ言ってなかったね」

 

ひめ「空手が得意なんだよ」

 

私達の呼びかけに反応した誠司が一度こちらへ来た。やっぱり自主トレの真っただ中だった。

 

誠司「二人とも、そこにいるのは誰だ」

 

めぐみ「実はね、新しい友達ができたの。そのうちの一人なんだけど」

 

誠司「そのうちの一人ってことは他にもいるのか?」

 

ひめ「そゆこと」

 

いつき「僕は明堂院いつき、よろしく」

 

誠司「ってか俺より背が高いな…」

 

めぐみ「誠司もあれぐらいの背になりたいんじゃないの~?」

 

誠司「う、うるせぇな…。俺だってこんなもんは」

 

いつきの身長に少しヤキモチを焼く誠司。やはりこういうことになると男の子って負けず嫌いになるんだね。

 

いつき「早速だけど、ちょっと着替えてくるよ。すぐ戻るから」

 

誠司「お前、習い事してんのか?」

 

いつき「後でわかるよ」

 

めぐみ&ひめ「「ふむふむ」」

 

期待を持ちつつ、少しの間待つことにした。

 

誠司「まさかあんなに立派なやつと友達になるとはな。以外に俺とも話が合いそうだし」

 

めぐみ「まぁそうかもね」

副音声(誠司ってデリカシーないよね)

 

ひめ「同感でしょこりゃ」

副音声(確かに、コイツ絶対わかってないな…)

 

立ち話をしつつも、いつきが戻ってきた。

 

いつき「お待たせ、少し歪な見た目だけど勘弁して」

 

誠司「一応聞くが、習ってるのか」

 

いつき「そうだよ。試しに手合わせするかい?」

 

誠司「いいぜ、お前の実力を見せてくれよ」

 

いつき「僕だって君に手加減するつもりはないよ」

 

めぐみ「おぉ~!これは熱い戦いになるね!」

 

ひめ「いけいけ~!どっちも頑張れ~!」

 

誠司といつきがそれぞれの位置につき、一礼をする。ちなみに審判はひめが担当するらしい。

 

ひめ「勝負は三本、先に二本取った者が勝者とします。準備はいい?」

 

誠司「いつでもオッケーだ」

 

いつき「僕に負けても文句はなしだよ」

 

ひめ「それでは、始めっ!」

 

ひめの合図と共に、お互いが出方を窺い始める。両者共に真剣な目をしている。

 

めぐみ(誠司は結構腕を磨いてる。それに対していつきはどうやって来る…?)

 

数秒の沈黙が続く中、誠司が一番最初に動き出した。待ってたって何も起こらないと感じたのか、でもちょっと迂闊な気がする。

 

誠司「…えい!」

 

いつき「はぁ!」

 

誠司「しまった…!?」

 

いつき「ふっ!」

 

誠司の動きがことごとく読まれている。しかもいつきは全く衰えを見せることなく誠司の動きを躱した。

 

いつき「単調な行動だね」

 

誠司「まだだ…!」

 

いつき「せいや!」

 

誠司「うわぁ!」

 

ひめ「勝負あり、いつきに一本」

 

止めは誠司を足払いし、そのまま一気に仕上げた。ここまでやれるとは誰もが想像もできなかったことである。

 

めぐみ「す、凄い」

 

ひめ「あんな技見たことないよ」

 

誠司「くそ…!もう一回やらせてくれ!」

 

いつき「動きが読まれて悔しいの?」

 

誠司「今のはちょっと油断しただけだ。次こそは」

 

先程のいつきの行動で誠司の足が震え上がってきた。私もしっかり見たが、あそこまでに卓越した力量は本物のようだ。

 

ひめ「じゃあ第二試合、始め!」

 

誠司「おりゃあ!」

 

いつき「よっと」

 

誠司「そこか…!」

 

いつき「何!?真っ向勝負ということか…!」

 

今度はいつきが移動したところをそのまま正面から突っ込む戦法をとった。素早く動けば迷うことなく勝負できるのだ。

 

誠司「もらった―――おわぁ!?」

 

いつき「わぁ!?」

 

めぐみ「嘘でしょ!?」

 

ひめ「大丈夫~!?」

 

ところが、勢いがありすぎたか誠司が足を滑らせてしまいいつきと共に転倒してしまった。さっきの震えが治まらなかったか、予想もしないアクシデントに出くわしてしまう。

 

めぐみ「誠司、しっかりして…!」

 

誠司「俺は平気だ、それよりお前は?」

 

いつき「僕も平気だよ。それより、離れてくれないかな?苦しいんだけど」

 

誠司「悪い、今どけるよ―――っておわぁ!?」

 

ひめ「何を驚いて―――わぁ!!」

 

いつき「…僕は、何て言えばいいんだろう…?」

 

めぐみ「せ…」

 

ひめ「い…じ…」

 

誠司「あの…もしもし…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めぐみ&ひめ「「誠司のバカァ~~ッ!!(バシィ!!)」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響き渡ったこの騒動は、しばらく近所の間で噂になったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぼみ「いつきまだですかね」

 

えりか「待ち合わせ場所ここのはずなんだけどさ。どうしたべ」

 

今日はいつきと約束したはずなんですが、どうやらまだ到着してないみたいです。

 

つぼみ「この氷川なんとかという場所に来るようにと聞いたんですけど」

 

えりか「とりあえず中入ろうよ。っていつきの靴ある。ってことはもう入ってんじゃん」

 

つぼみ「行きましょうか―――って何ですかこの悲鳴は!?」

 

えりか「突入するわよ、面倒なこと確実だけど」

 

つぼみ「はぁ~…」

 

何が起きたのか、一応この道場に入ることにしました。どうか不運でありませんように……。


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