プリキュアオールスターズ大戦   作:クワトロン大帝

176 / 237
第154.5話 息吹くゆりの花②

ゆうこ「いおなちゃん…?」

 

いおな「ううん、大丈夫よ」

 

一瞬だけ見えた光景。おそらく私にしかわからないことなのかと悟った。

 

???「気が動転してるみたいだけど、平気?」

 

いおな「はい。特に心配ありませんよ」

 

何気に苦笑いで返事をしてしまう私だったが、へこたれることなく話を続ける。

 

いおな「ところでこの花はなんです?」

 

???「これは外国でしかあまり見れない花よ。ここではマイナーな種類でよく図書館とかで調べたことがあるの」

 

ゆうこ「よく見ると横一列に並んでますね」

 

???「えぇ。多分マニアとかしか知らないレベルでもあるんじゃないかしら」

 

いおな「なんていうか、かなりの種類の花が集まってとてもいい感じですよね」

 

それぞれが違う種類の花を眺めながら関心する。するとさりげなくゆうこが私の髪に何かを差し込んだ。

 

ゆうこ「鏡見て」

 

いおな「今何を―――なるほど、そういうことね。っははは」

 

どうやらヘアアクセサリーのように仕立て上げたみたいだ。ゆうこはこういう冗談が好きなのよね、本当に。

 

???「かわいいわ」

 

いおな「…ちょっと恥ずかしいわよゆうこ…」

 

ゆうこ「そう?私は似合ってると思うんだけどな~。この姿をお姉さんに見てもらったらどうかな?」

 

いおな「だから恥ずかしいわよ、そういうの~!」

 

???「そんなことないわよ。誰だって嬉しくなることぐらいあるんじゃないかしら」

 

いおな「本当なんですか?」

 

???「私もあなた達と同じぐらいの頃だけど、よく花を自分に身につけたことあるの。そうすると自分の中の心がとても穏やかになってスッキリしちゃうの」

 

いおな「そうだったんですね…」

 

正直凄くビックリしちゃった。案外この年頃になっても好む場合があるのね。

 

ゆうこ「いおなちゃん、折角止めた花がズレちゃってるわよ?」

 

いおな「ごめん、つい暴れたから」

 

???「私にやらせて」

 

いおな「え…?」

 

ここで彼女が私の頭についてた花の位置を戻し始めた。ぶれることなくしっかりヘアピンも使って固定してくれた。

 

???「これでもう大丈夫のはずね」

 

いおな「あ、ありがとうございます」

 

ゆうこ「よかったね、直してもらって」

 

いおな「なかなか照れちゃうけど、もう少しこのままでいたいな」

 

なぜだか心が安らぐような気持ちだった。今までにない程のことでもあるし、こんなの初めて感じたかもしれない。

 

???「ごめんなさい、私そろそろ行かないといけないの」

 

いおな「そうなんですか。あの、色々話を聞けて本当によかったです。ありがとうございます」

 

ゆうこ「あのですね、私こう見えてご飯屋さんを営業しています。よかったら立ち寄ってみてくださいね」

 

ゆうこが笑みで大森ごはんのチラシを手渡した。それを読んで少し笑ったみたい。

 

???「とても面白そうなお店ね。今度私の知り合いと一緒に来るわね」

 

いおな「えっとまだ名前を言ってなかったみたいですね。私、氷川いおなって言います」

 

ゆうこ「私は大森ゆうこです」

 

???「覚えておくわ。私はゆり、月影ゆりって言うの。またどこかで会いましょう」

 

いおな「ゆりさん、か…」

 

ゆうこ「いい名前だね」

 

今日のことは、私とゆうこにとって特別な一日だったのかもしれない。ゆりさん、また会えるといいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~数日後~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆうこ「みんな、この後なんだけどさ」

 

めぐみ「どうしたのゆうゆう?」

 

いおな「まさかまた配達のお手伝い?」

 

ひめ「あれってチョー筋肉痛になる原因なんだよね~…」

 

ゆうこ「違うよ。今日はみんなで集まろうと思ってね」

 

天真爛漫の笑みで私達に提案するゆうゆう。でもやけに嬉しそうな顔をしてるっぽいよね?

 

めぐみ「集まるったって、いつものことだよ?」

 

ひめ「そんなのパーって集まればいいじゃん」

 

ゆうこ「ところで相良君は?」

 

めぐみ「夕飯の買い出しの手伝いがあるから今日は来れないんだって」

 

いおな「それよりひめ、この前から何か作ってるって聞いたけど」

 

ひめ「およよ!?あれはまだ、完成してないっつーか…。アイデンティティっつーか…」

 

いおな「随分とバレバレな反応ね…」

 

いおなちゃんに尋ねられて思わず思考が混乱するひめ、なのだが今回のひめは一味―――いや二味違った。

 

ひめ「そっれっは!出来上がってからのお楽しみ~!」

 

ゆうこ「相変わらず頑張りやね、ひめちゃんは」

 

ひめ「でそでそ?めぐみも一緒に見てるからバッチグー!(えっへん)」

 

めぐみ「じゃあそろそ行こうか」

 

ガヤガヤと賑わいながら、一度自宅に戻って着替えてから再び集合することにした。

 

 

 

それから数十分後のこと

 

 

 

めぐみ「お邪魔しまーすってブルーいないね」

 

ひめ「最近神様が一人で出かけることが多くてさ。あとリボンも一緒にいないし」

 

ゆうこ「まぁまぁ、ここはおやつでも食べましょう?」

 

いおな「私、紅茶入れてくるね」

 

いざ集合したものの、今日もブルーがいない。きっと何か大変な目でも…?

 

ひめ「めぐみ、どうして冷や汗かいてるの?」

 

めぐみ「気のせいだよ?多分、ね?」

 

ゆうこ「ストレスとかない?気になるなら夜あったかい物飲んだ方がいいと思うよ?」

 

めぐみ「本当に問題から。ありがとう二人とも」

 

多分そう思ってるのは私だけかもね。うん、心配なし…。

 

めぐみ(でも、ちょっと気になるな…。最近姿すら見ないし)

 

それから外が暗くなるまで私達は楽しくお喋りをしていた。ブルーが戻ってきたのはその数十分後のことだった。とにかく、どうして姿を見せないかを聞かないと…!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。