つぼみ「1、2、3、4、5、6、7、8―――」
えりか「こんな朝早くからジョギングなんて、冴えてないよね」
まさにその状況です。私は先週から自分のモヤモヤが取れなくて、解消するすべはないかと必死で考えていました。なぜジョギングをしているんですって?それは勿論気持ちをスッキリしたいからに決まってますよ、はい―――なんてこと、えりかには言えませんよね。トホホ…。
つぼみ「私、どうすれば迷いを断ち切ることができるんですか?」
えりか「そんなの自分の問題でしょうが。わたしゃ何もわかんないからパスパス」
つぼみ「酷いですぅ~!!先週のイチゴ大福、私の分まで食べたじゃないですか~!!」
えりか「話を脱線させて誤魔化すな(ゴッ)」
つぼみ「もぉ~。最近のえりかは冷たすぎます…(ボソ)」
いいですよ、私一人でも解決しますから。でも、また目合わせたら耐えれるかが問題ですし…。
えりか「それより、学校終わったら先日仕上げた衣類達をお披露目しようと思ってるけど。つぼみにも手伝ってほしいな~」
つぼみ「ついに出来上がったんですね!(ワクワク)」
えりか「見てからのお楽しみっしゅ!」
嬉しそうにガッツポーズをするえりかに共感しちゃいます。これはもう誰もがイチコロのはずですね!
つぼみ「そろそろ学校に行く準備を―――」
えりか「…もう時間ないけど?」
つぼみ「えぇええ~~!?それを先に言ってくださいよぉ~!!」
えりか「わたしゃもう知らん…」
~~午後四時~~
つぼみ「よし、今度こそ恥をかけないようにしないと!」
えりか「まぁまずは身内らにお披露目するってことで」
学校から帰ってすぐに支度を終えて出発。えりかが全部予定を組み込んでいるみたいなので手間が省けるようです。
えりか「んじゃさ、つぼみはある程度の手入れ頼むね」
つぼみ「シワが出たらいけませんよね」
とりあえず準備は整いましたので早速参りましょう!
最初はクラスメイト達にお披露目。ちなみになぜえりかが服を見せているのかというと、近々ファッションショーが開催されるのでコーディネイトするための素材集めをしていました。先週私と一緒に衣類を買い納めえりかが自分でオーダーメイド。それから細かな装飾を慎重に仕上げたようです。
どうやらみんなの評価はいいようでした。次はえりかが個人的に立ち寄りたい場所へ突入。そこは大勢の客が来るファッションブランドのお店です。ファッションショーはこのお店が取り扱っているメーカーさんが主催するとのことでした。気合を注入しているえりかをコッソリ応援する私、凄まじい集中力ですね…!なにはともあれファッションに詳しい店員さんにどうすればいいのかをキッチリ聞くえりか。実際行われるファッションショーに相応しい組み合わせを頭に叩き込んでいるようです。
~~二時間後~~
あとは色々と見て回って無事にお披露目終了です。私も服をしまうために必死になって綺麗に畳んだ甲斐がありました…。
つぼみ「そろそろ帰りましょうよ…」
えりか「つぼみお疲れさん!よく頑張ったわね」
つぼみ「はい、足がもうパンパンですよ」
えりか「ありがとね。それに我ながらいい仕上がりをしたもんよ!」
沈着冷静な私を絵が笑顔で労うえりか。私の足のむくみをその場で解してそのまま私に褒美のシュークリームを差し出しました。
えりか「今日私に付き合ってくれたお礼よ、本当にありがとう」
つぼみ「え、えりかぁ~!(ギュ)」
えりか「だから苦しいんだっての!つーかこれでモヤモヤはなくなった?」
つぼみ「はっ!そうでした。まぁ多少は消えたっていうか…」
えりかが私の頬っぺたをこねくり回すように尋ねます。気持ちはスッキリするはずなんですが…。
つぼみ「じゃあこれでお開きします?」
えりか「そうしよっか」
???「君達、こんな遅くまでいると怪しい男に声かけられるよ?」
えりか「ってアンタ誰?」
つぼみ「っ!!」
後ろから声をかけてきたのは優しそうな男の人の声。振り向くと私が以前見た人にとてもそっくりでした。
???「君、顔が赤いよ?」
つぼみ「あ、あなたは……(もじ)」
えりか「まさか、つぼみが一目惚れした人って…」
つぼみ「…この人だと思うんです…」
動揺する私に彼が近づきます。近すぎて心臓が破裂しちゃいそう……!!
???「早く帰った方がいいよ。今日はもう寒くなると思うし」
えりか「だってさ。早く帰るよ」
つぼみ「あ、あの…。あなたのお名前を、聞かせても……いいですか?」
えりか「なんかくどいっしゅ!?」
つぼみ「わ、私は…花咲つぼみいいます…」
???「僕はブルー。覚えていたらまた会おう」
これが、私が彼に対する好意の始まりでした…。