めぐみ「ごめんね、わざわざ来てもらって」
誠司「いいよ、俺も丁度暇だったし」
誠司を連れて空き部屋へと入ることに。私の気持ちがどうしてもあやふやになりそうだし、ここははっきり伝えておかないと…!
めぐみ「あのさ…、その…」
ダメだ…。上手く言葉が出てこないよ…。それより、さっきから滲みだすこの心は何…?まるで身の毛がよだつような身震いをしている感じだ。
誠司「とりあえず、あったかい物でも飲むか…?」
めぐみ「あ、ありがとう…」
誠司「今入れてくるからちょっと待ってくれよ」
心配な顔をして私の顔を見つめた誠司がさりげなく気を使ってくれたようだ。うん、ここはあったかい物を飲んで気持ちを楽にしなくちゃね。とにかく、きちんと言いたいことをしっかり言わないと色々とムズムズしちゃうし…。
めぐみ(とはいえ、本当に私なんかが素直になれるのかな…?)
こんなに本気な気持ちなったのは稀でもない。むしろ自然とそうなったのではないかと自分でも疑う。
助けてもらったこと
これが妙に引っかかる。さっき必死になって私を助けようとした誠司が羨ましくて、とても賢くて、そして…
嬉しかった
私の中の何かがそう伝えているに違いはない。でも考えるだけでも精一杯になっちゃう。
誠司「冷めない内に飲んでおけよ。ほら、めぐみの好きなココアだ」
めぐみ「ありがとう、よくわかったね」
私の好きなココアをわかってくれただけでもありがたい。息を吹きかけ飲みやすくしてから少しずつ啜る。今日のココアはとてもまろやかで、ほんのり苦い。
めぐみ「…美味しい」
誠司「お前、昔っからあったかい物飲んで喜んでたろ?俺はそういうところもいいと思うんだ」
めぐみ「そういう誠司だって、昔よく喜んだ後に舌をやけどしたんじゃない?」
誠司「う、うるせぇな…。今はそこまででも―――あちっ!」
めぐみ「もう、そうやって喋りながら飲むからだよ?」
誠司「今のはたまたまだ。決して猫舌じゃないからな…」
なんだか少しだけ心が落ち着けたような感じがする。これなら誠司に伝えたいことを楽に言える気がしなくもない。
めぐみ「ふぁ~。温まるねぇ~」
誠司「かもな。後でひめにも入れてあげなきゃな」
そうだね、ひめは一人で作業を頑張ってるから大変だよね。よくひめは疲れてる時にチョコを食べると頭が冴えわたるって言ってたね。
めぐみ「ねぇ誠司」
誠司「ん?どうした?」
めぐみ「実は誠司にお礼が言いたくて…」
誠司「何のだ?」
ここで気持ちの整理がついたところで本題へと入る。今度こそちゃんと言うんだから…!
めぐみ「さっき戦いの時に誠司が必死で振り払おうとした時だけど」
誠司「あぁ、それか。正直抵抗するだけでも精一杯だったんだ」
めぐみ「あの時、誠司に助けてもらって……凄く嬉しかったの」
誠司「めぐみ…」
一瞬誠司の表情が固まった。多分全力で私を助けようとしたことが自分にとって一番の目標だったのだろうか。
誠司「それはあれだよ。いつもめぐみ達ばかりに助けてもらってるからさ。今度は俺が助けてあげないとって思ったことだ」
めぐみ「ううん。そうじゃないの」
誠司「どういうことだ?」
めぐみ「さっきのは、本気で怖かったの。私があのまま滅茶苦茶にされそうになって、自分を見失うところだったってことを。そこに誠司が本気になって助けようとした。それは、紛れもなく私を守ろうとした証拠だと思う」
誠司「そうなのか?あれぐらいは普通なんじゃないか?」
めぐみ「いや、私にとっては凄い嬉しいの」
こうやって表現したけど、実際こんなに喜ばしいことはなかった。
誠司「俺さ、いつかはめぐみの傍にいてめぐみを守れる男になるのが目標なんだ。もしお前がプリキュアになってなくてもその気持ちは変わらないかもしれない」
めぐみ「そうなんだ…」
誠司「でもお前ばかりに守られてちゃ俺の立場がないよな。だからその分まで俺がキッチリ追いついてやりたいんだ」
どうやら誠司も自分なりの筋があったみたいだ。何気に考えていることは素直だったかもしれない。
めぐみ「大丈夫、誠司ならできるよ」
誠司「一度決めたことは最後まで責任持ってやり遂げるよ。どんな時でも、お前の隣にいてやる」
めぐみ「……っ!」
最初よりとてつもなく胸の鼓動が早まってしまう。何だろう、この感情…。ドキドキがまらない……。
誠司「顔が赤くなってるぞ?もしかして風邪か?」
めぐみ「いや、違うから…!これはそういうことじゃなくて―――ぴぎぃ!?」
誠司「うん、熱はないみたいだな」
私のおでこに誠司の手がゆっくり刺し伸ばし、スッと触れた。その瞬間私の身体は大きく飛び跳ねてしまった。
めぐみ「い、今にゃにを!?」
誠司「顔が赤いから熱あるんじゃないかと」
めぐみ「こういうことは同性同士でやることで、こんなの不健全だよっ!?」
誠司「何を言ってるんだ…?」
めぐみ「……誠司のバカ(ボソ)」
誠司「さりげなくバカにされたような気が…」
めぐみ「なんでもないから」
あまりの衝撃的な行動にあたふたになって俯いてしまう。しかし今の感情からすると全く持ってヘッチャラだ。
めぐみ「じゃあ誠司、これからも私の傍にいてくれる…?」
誠司「当たり前だ、そうなじゃないと守れるやつがいないじゃないか」
めぐみ「誠司…」
誠司「めぐみ…」
お互いに目を見つめ合い、ゆっくりと目を閉じる。そしてそのままお互いを思い始めた。
めぐみ(目を閉じても誠司が見える。ある時は私が守り、ある時は誠司が守る。これは運命が導いてくれた答え…)
それぞれの意思を見出し、再び目を開ける。すると、
めぐみ「せ、誠司?」
誠司「すまんめぐみ。お、俺は…」
めぐみ「どうしたの―――きゃあ!?」
誠司が悲しそうな目で私をベットへと押し倒した。一体誠司に何が起きてるっていうの!?
誠司「少しの間我慢してくれよ…。すぐに終わるから」
めぐみ「ちょっと待って。私、何かやったの!?」
感情が高ぶるように私の服を脱がす誠司。何を思ったのか、なぜこうなったのかよくわからない。
誠司「悪い、こうするしかないんだ。誰にもめぐみを奪わせはしない…」
めぐみ「ちょ、誠司…!あぁ…、そこは…!」
そのまま私の敏感な部分を激しく触り始める。触れられると余計に気持ちよくなってしまう…。こんなのひめが聞いてたら…!
ひめ「はて?今何か物音が聞こえたような…。まぁいいか」
めぐみ「あ…。せ…じ……!」
誠司「めぐみ、めぐみ…」
めぐみ「やぁ…!あぁ……!」
徐々に誠司の虜になってしまいそうな私を更にいじり出し、このままペースを速めた。
誠司「めぐみ、そろそろ…」
めぐみ「わ、私も…(もが)」
大声を出さないように誠司が私の口にハンカチを銜えさせる。それにお互いの心がもう限界寸前に近づこうとしている。
誠司「めぐみ、俺は…。俺は…!」
めぐみ「~~~~~~~~っ!!」
誠司「…はっ!俺は一体何を…」
めぐみ「誠司、気がついたの?」
誠司「何で俺がベットに」
ようやく我を取り戻した誠司が目を覚ました。私は誠司のおでこに冷たいタオルを置いて目が覚めるのをずっと待っていた。
めぐみ「もう、本当に心配したんだからっ(プイ)」
誠司「そうだ!俺さっき何を思ってたっけ?」
めぐみ「って覚えてないんか~い!」
誠司「確かめぐみと一緒に目を閉じて、そこから全然思い出せないんだ」
どうやら本人すらよくわからない状況だったようだ。なんだか期待してた時よりちょっとげんなりしちゃう感じだ。
めぐみ「だ~か~ら!瞑想した時に見えたことだよ。私も誠司も一緒だったはず」
誠司「そうだったのか。俺、すっかり自分を見失ったようになったんだ。さっきのめぐみの表情を見て…」
めぐみ「全く、了見が狭いんだから…。だけど、誠司はずっと誠司のまま。ありのままの自分でいてほしいな」
誠司「めぐみ…」
なぜだかモヤモヤすることがなかった。これが私にとっての一番の存在だと確信したから。
誠司「じゃあそろそろひめの様子を見に行くとするかな」
めぐみ「だよね、ひめも心配だし」
そして躊躇うことなく、ひめのところへ行くことにした。
誠司「あいつのことだから、すぐめぐみにくっついてくると思うけどな~」
めぐみ「誠司」
誠司「おう、何だ?」
めぐみ「ううん、何でもないよ」
誠司「そっか」
私とって誠司は幼馴染であり、よき友達。そして…、私の大切な人……。