透き通る入道雲の空の下、自然も豊かな空気を彩っている。今日はこの花畑に来るのに打ってつけだ。
いおな「この花、お姉ちゃん喜ぶかしら」
ゆうこ「かもね。いおなちゃんのお姉さん、こういう種類の花が好きだって」
私、氷川いおなは外国にいるお姉ちゃんに送る花束をゆうこと一緒に見ていた。私が好きなものはコスモス、それにハイビスカスだってある。ほかにも色々あるけど数えきれないぐらい。
ゆうこ「めぐみちゃん達も誘えばよかったね」
いおな「仕方ないわ。それぞれお予定があるもの。今日は二人っきりで楽しみましょ」
ゆうこ「みんなにもお土産も買っておくね」
並んでいる花を写真で撮るゆうこ。当然、ここにはたくさんの人達で一杯だし、観光目的で来る人達も少なくもない。写真を撮ってツイッターなどに投稿するケースだってあるらしい。
いおな「ぐらさん、神様と一緒に出かけてるのね」
ゆうこ「何か用事があるらしくてね」
いおな「最近忙しくなったわね、色々と」
ゆうこ「ん?誰か寂しそうに花を眺めているみたいだよ」
ゆうこが指を刺すと、一人の女性らしき人物が寂しそうに花を眺めていた。なんだか凛々しい雰囲気だと思うけど、あの人は一体…?
ひゅううう…
静かな風の音と共に感じるしなやかな空間。その意味を物語るものだと感じる。
いおな「……」
ゆうこ「どうしたのいおなちゃん?」
私は自然とその人の方へ近づいていく。何か初めてではない感覚が冴えるみたいで。
いおな「あの、その花は好きですか?」
???「ええ。これだけじゃないけど、色んな花があってとても気分がスッキリするの。癒すような気持で」
ゆうこ「ここは街のみんながよく訪れるは所なんですよ。あなたはここに来たことはありますか?」
???「いや、初めて来たわ。こんなところにも花畑があったなんて思いもしなかったから」
どうやらあの人はここに来ことがなかったみたいだ。凄く新鮮な反応していたからなんか意外だった。
いおな「もしよかったら―――!?」
すると私の目の前が花吹雪に囲まれてそのまま視界が真っ白になってしまった。
いおな(一体何が起きてるの…?ってここは…?)
私が見ているのは夢のような世界。いやむしろ夢なんかじゃない。あの人の夢の世界みたいだ。
いおな(微かにわかる。どうやらあの人、過去に大切な存在を失っていたのね…)
そこには無情にも大切な存在が思い浮かぶ空間だったのかもしれない。私は少し共感できたのだと思った。
いおな(大切な、存在……)