僅かに聞こえる小鳥達の囀り。それは到底いい方向ではなかった。それはむしろ逃げ惑う意味なのかもしれない。この空気を受け入れる者は絶対いるとは限らず、すぐに引き下がってしまう程のことだった。この地でただひたすら戦い合う者達がいるのも、珍しくもなかった。
ファントム「ダークプリキュア?どこのプリキュアだか知らないが、お前を潰し甲斐があるようだ。ここで俺に狩られろ」
Dプリキュア「私は何者でもない。お前に倒される筋合いなどない。そこをどいてもらう」
ファントム「この俺を無視するとでもいうのか。随分と余裕な様子じゃないか。それとも、俺に恐怖しているのか?」
Dプリキュア「誰がお前なんかに。どうやら一度剣を混じいた方がいいかもな。覚悟はできているか」
どこからか恐怖心を漂わせるような威圧感。とある人物が認識しているイレギュラーな人物、この二人こそがその証拠だった。この世界の悪なるプリキュア、ダークプリキュア。そしてプリキュアハンターであるファントム。彼らはとある人物にとって何かを意識しているという。
X「ふふっ。見つけたわ、ダークプリキュアとファントム。この二人が揃うことで何かが共鳴する、私にも知らないエナジーを感じて闘争本能が湧き上がる。一体これは…?」
そう、この二人が戦うことで何かがシンクロするのだった。後に起きることへの伏線として。彼女の脳裏がそう確信したのだろう。やがて、この二人が共に行動することになるのを知らずに―――
~~同時刻、希望ヶ花市~~
つぼみ「結局、あの娘の言うことが気になります」
えりか「無理もないわよ、必然的にあーなるから」
先程の戦いから気になってたことがあり、それは彼女が言うイレギュラーな人物ということ。私にはどうもピンと来ないようです。
えりか「ともかく、あまり深追いする場合ではないかもね」
つぼみ「もしかして、ココロの種を狙ってきたりなんかしませんよね…?」
シプレ&コフレ「「その時は全力で守るです」」
えりか「えぇ~、コフレなんかにできんのぉ?」
つぼみ「気持ちはありがいたいですが、私達でどうにかなります。ね、えりか?」
えりか「当然、その時はスパっと解決するね」
不安と不満という心を背負いながら頑なに考える私。勿論心が動揺しているわけではありません。ただ後戻りするような真似はしたくないということです。
えりか「でもさ、さっきの変な怪物めっちゃ面倒だったじゃん」
つぼみ「でしょうね。あの者達は他にも何かを知っているはずですし」
無論、これからのことも気になるところでした。敵も侮れない程だったのでそこは気を引き締めないといけません。
つぼみ「とりあえず、そろそろ帰りましょうか。えりかにはやるべきことがあるんでしょ?」
えりか「うん、今は今後のファッション作りのためのコーディネイトを済ませなきゃね。まぁいつき達にも手伝わせようと思ってるし」
えりかの熱血っぷりにはとても関心しています。出来上がったらいつきやゆりさん、それに―――
つぼみ「あ……」
えりか「どったのさ?」
一瞬ボーっとしてしまいました。人混みの中に青髪の男性が歩く姿を見ました。私の中の何かが表に出たようです。
つぼみ「か、かっこいい……(ドキドキ)」
えりか「コッペ様いるのにもしかして…(ニヤニヤ)」
つぼみ「きゃあ!?え、えりか!」
えりか「まぁつぼみが好きな方を選べばそれでもいいけどさ」
今の気持ちは凄く尋常じゃありません。見ただけで魅了してしまう程の面影、これはおそらく……、
つぼみ「……」
えりか「こんなつぼみ、初めて見たかも…」
私は今日、一目惚れをしてしまいました……。
~~一時間後~~
えりか「こんちわ~ってコッペ様しかいないじゃん」
いつき「僕もいるよ」
えりか「い~ちゅ~きぃ~!(ギュ)」
いつき「そんなに抱き付かないでよぉ。それより、今日はどれくらい買い物したんだい?」
えりか「たくさんよ、しかも気合を入れて!」
いつき「おぉ~!凄いなぁ!つぼみと一緒に選んだんだね!」
えりか「つぼみがいなかったらいい考えが思いつかなかったっつーか、アイデンティティっつーか」
いつき「とりあえず完成が楽しみだね。僕も少し手伝うけどね。ってそれよりつぼみは?」
えりか「それが―――」
いつき「え!?そ、そんなことが…」
えりか「今はそっとしてあげた方がいいと思うの」
いつき「確かに、悩みがあれば誰だってあんな風になるよね」
えりか「多分だけどさ、恐らく今まで経験したことのない気持ちなんだと…私は感じるけれど」
いつき「つぼみ…」
えりか(とうとう恋心が芽生えたってことか…)
~~つぼみの部屋~~
つぼみ(こんな気持ち…どうやったら。っていうかまだ何も喋っていないのに…。それなのに……胸の鼓動が……)