マナ「どうしてここに来たんですか?」
ミユキ「この前友達と喧嘩したんだって?」
マナ「あっ…」
忽然と放たれた言葉で一瞬固まってしまう。今の自分にはどうもできない状況ではあるものの、ここはきっちり解決したいところでもある。
エル「亜久里ちゃんから聞いたの。数日前からって」
マナ「あ、あたし…。あの時は酷いことを言ってしまった。どうやって謝ればいいのかよくわからなくて」
俯きながら喋るあたしにエルちゃんがあたしの手を握ってきた。さりげなく感じる温もりに思わず顔を上げる。
マナ「エルちゃん…?」
エル「私ね、事情はよくわからないけど亜久里ちゃんが言ってたの。マナが本当に望んでいるのは何かって。それって自分自身がやり遂げたいことなんじゃないかな?」
マナ「そうだと意識していたけど、どうしても譲れない気持ちがいっぱいなの。ただ自分の自己満足だけで動くなんてただのわがまま者だし、ましてやそんな事情で他人が受け入れるかと言われたらそうはいかないわけだし。あたしはただみんなと一緒に踊りたいだけなの」
まるで自分に対する贔屓を他人に押しつける感じの傲慢な考え方が表にあらわしなかった分は気持ちを制御できたけど、まだまだ心の整理がうまく整っていなかった。でも、あたしとしてそんなのあまりにもモヤモヤする。
マナ(確か、こんなこともあったかも…)
~~二週間前~~
亜久里「マナ、またたるんでいるんですの?レディたるものみっともないですわ」
マナ「ごみんごみん」
真琴「事実上マナがリーダーみたいなものよ。そのリーダーが責任とらなきゃどうするのよ?」
マナ「あのさ、あたしってリーダーに向いてると思う?」
真琴「いきなりどうしたの?」
亜久里「らしくない発言はNGですよ」
マナ「でもあたしだってみんなをまとめるくらいのことだってやれるよ。ただ、緊急でいなくなった時のことを考えるとどうしようって悩んでいてさ」
亜久里「いいこと?女子は一人前の女性になるために日々努力するものなんですよ。マナはわたくし達にはできないことをやれますから、そこが注目するべきポイントです」
真琴「特に六花とありすの前では不安な顔を見せないこと。それにいつもポジティブにいればみんなで乗り越えることができるわ」
マナ「そんなもんかなぁ…?」
真琴「こういう話を聞いて自分の考えを曲げない部分が悪い癖かしら。ちょっとは自信を持ちなさい?」
亜久里「六花とありすの前ではいつも笑顔です。投げ出したりなんかしたらわたくしが許しませんわ」
マナ(笑顔を保つことか…)
~~そして現在~~
マナ「そうか、亜久里ちゃんが言ってたのはこういうことだったんだ……」
記憶を過ぎらせると様々なことを思い出させた。
マナ(こんなに心配してくれたなんて…)
ミユキ「わかった?本当の気持ちが」
マナ「あ、あたし…もう一度考え直します。それからまたここに戻ります」
エル「ちょっと待って―――ううん、その時になったら戻ってきて、ね?」
マナ「ありがとう、そしてごめんね」
あたしは大事なことを思い出すためにケジメをつけることにした。六花、ありす、まこぴー、亜久里ちゃん、そしてラブ達にも。あたしの本当の気持ちを―――思いをぶつけるために……。