プリキュアオールスターズ大戦   作:クワトロン大帝

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タイトルや一部の内容を追加しての再投稿です。


第130話 心の善意と縋る気持ち①

ピーチ「ベリーがあのままじゃ全然拉致が明かないよ…。でも、やるしかないよね!」

 

パッション「仕留めれば問題ないはずよ、行くわよ」

 

 

 

私とパッションが上からキックをお見舞いし、相手を怯ませる。少なくとも結構なタイムラグを作ることができた。

 

 

 

ソード「これなら大丈夫ね、プリキュア・スパークルソード!(シュババババァ!!)」

 

エース「全方位に当てるようにしますわ、エースミラージュ!(ピカァ!)」

 

ハート「そのまま動かないで、ハートダイナマイト!(バァン!!)」

 

 

 

続いても同時攻撃で一気に相手の劣勢を生じさせる。タイミングもバッチリだし、あとは何とかなるかも。

 

 

 

欠片「…ここで倒れるお前ではないはずだ、やれ」

 

ダイヤモンド「まだ相手は動けるわ!」

 

パッション「私に任せて!歌え、幸せのラプソディ!パッションハープ!(キュイィ!)」

 

 

 

眩い赤い光が放出され、その源がパッションへ宿る。

 

 

 

パッション「プリキュア・ハピネスハリケーン!!(ブォオオオ!!)」

 

 

 

真紅の風が、相手の全身を覆うように巻き上げる。これがパッションが行える並外れた行動力だ。

 

 

 

欠片「……おのれ、まだやれるだろう?」

 

パッション「誰かに頼るあなたじゃ絶対無理よ。そうやって心を支配しようとしているとやがて自分自身を滅ぼしてしまう」

 

パイン「それに、憎しみを増して苦しめるだけしかできない考えなんてあるわけないじゃない」

 

ピーチ「さっき、あなたの仲間も同じような考えだった。だから間違った道を選んではどうにもならないよ?」

 

欠片「…せめて、インフィニティの力さえあれば…!」

 

ピーチ「シフォンは誰にも渡さない…!」

 

 

 

こんなどんよりした空気の中、ひたすら対抗しようとする相手にこれ以上聞きつけてもきりがない。どうにか、考えを改めたいけれど…。

 

 

 

ハート「あとはあたし達に任せて、幸せだけじゃ表現できないなら愛というものを教えさせるから」

 

パッション「愛…?そうか、それね」

 

ピーチ「パッション、どうしたの?」

 

パッション「ここはハート達に任せましょう、きっといい答えを導いてくれるはずだから」

 

パイン「え、えぇ」

 

 

 

私達の脳みそでは補えない部分を代りに埋めるってわけなのだろうか?今は信じるしかない。

 

 

 

ハート「人を見下しそうな思惑を持った根源なんてあるわけがない」

 

ダイヤモンド「仲間を不必要だと感じる限り、それは大きな間違いよ」

 

ロゼッタ「苦しい思いをしたマナちゃんの気持ちにもなってあげてください…」

 

ソード「ここまで言えばもう察しがつくでしょ?」

 

エース「あなた方の腐った根性を叩き直してあげますわ!」

 

欠片「…ほざくな、お前らのような小童に何がわかる?」

 

 

 

厳しく真剣になっているハート達が羨ましい。これは私達とはまた違った考え方なのかもしれないね。

 

 

 

ロゼッタ「いえ、私達だってまだまだ未熟さはあります。ですが、人々の笑顔を滅茶苦茶にするのはよくないことです。人の善意と―――」

 

ソード「夢と―――」

 

エース「希望と―――」

 

ダイヤモンド「可能性があれば―――」

 

 

 

ハート「それは愛と幸せになるんだから!」

 

 

 

欠片「…黙れ、我にはそのような言葉は必要ないのだ。崇高で美しい世界が全てだ」

 

 

 

対抗するような場面になったが、ここでもうケリをつけることになる。

 

 

 

ハート「みんな、行くわよ!」

 

 

 

ハートの指示と共に天空より君臨する神々しい翼が舞い降りる。その絃を引くと背中から大きな天使の羽が生まれる。大いなる聖域へ飛び立ち、愛溢れる聖なる一撃が放たれる…!

 

 

 

ハート一同「「「プリキュア・ロイヤルラブリーストレートフラッシュ!!(コォォォォ…!!)」」」

 

 

 

この光により、タコの形をした魔物は一瞬で浄化された。手下を失い、戦意消失してしまう。

 

 

 

欠片「…バカな、こんなことが有り得ない…」

 

ハート「それは他の手を使って利用したからそうなった。ここまでやりながらも自分を信じないアンタの負けよ…」

 

エース「どこまで己を見極めない外道ですの、あなたは…」

 

欠片「…ふん、それをお前らが理解できるはずがない。我はやりたいようにやるだけだからな…」

 

 

 

X『プリキュアを倒せなかったみたいね』

 

 

 

欠片「…申し訳ない。ミスを犯してしまいました」

 

ピーチ「また何かと喋っている…?」

 

 

 

さっきと同じような光景をもう一度見ることとなる。誰と話してるかがとても気になる。

 

 

 

X『でも、あなたは十分働いてくれた。帰還してちょうだい』

 

 

 

欠片「…了解です。プリキュア、いずれまたお前らと戦うことなる。今度は我が力を利用して幹部達が襲い掛かってくるだろう。さらばだ…(ビュワ)」

 

ピーチ「あ、消えた…」

 

ダイヤモンド「幹部ってことは、あの時のRとかいう男みたいなやつらってわけよね?」

 

パイン「私達もそれみたいな女の人と会ったの」

 

パッション「それより、早く起きて。もうタコはいないわよ」

 

 

 

敵もいなくなったことだし、ひとまずは一件落着。うん、一安心だね。

 

 

 

ベリー「……もう、いないわよね?」

 

パイン「大丈夫、怖がることはないわ」

 

ピーチ「ヒヤヒヤさせないでよね、本当に…(ホッ)」

 

ベリー「別に死んだわけでもあるまいし」

 

 

 

起きたベリーに私は手を刺しのばした。そして手を掴んで立ち上がった。これは今日の夜眠れなさそうかもねぇ…。

 

 

 

ハート「やっと終わった―――うぅ……(バタッ)」

 

エース「っ!?」

 

ソード「マナ…?」

 

ロゼッタ「……息してません」

 

 

 

ダイヤモンド「マナぁああああああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~某所の病院~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医者「残念ながら彼女は精神的なダメージを負っており、現在意識不明です…」

 

六花「…そ、そんな……(ガクッ)」

 

ありす「あの、我が四葉財閥の医療班を要請しましたけど。マナちゃんは無事でいられますか…?」

 

医者「はい、少なくとも脳の神経に異常が発生しており心臓などの害に影響されるかと…」

 

真琴「集中医療室へ向かわせることは?」

 

医者「検討しています。今はゆっくり見守ってあげてください(ピシャ)」

 

 

 

亜久里「まさか、このような事態になろうとは…」

 

せつな「私がもっとしっかり守ってあげれば、こんなことにはならなかったのに…」

 

ラブ「せつな…」

 

美希「せつなのせいじゃないわ。悔やむことなんてない、今は祈りましょう」

 

亜久里「わたくしもせつなに同情しますわ。大切な物を救えなかったことに、深く心の傷を埋めたいって気持ちに」

 

せつな「亜久里ちゃん……」

 

ありす「まずはマナちゃんの無事を祈ってあげましょう。細かいことはそこからです」

 

真琴「回復したところで、これじゃダンスパフォーマーに出れそうにないわね…」

 

ラブ「じゃあみんなが練習した努力はどうなるの…?」

 

ありす「規則として、人数の足りないチームに補欠は入らないルールと聞きました。マナちゃんが回復しないと私達のチームの出場は辞退になってしまいます…」

 

六花「そんなの、私は嫌よ…(ダッ)」

 

真琴「り、六花っ…!」

 

祈里「そっとしてあげて。追いかけては逆効果だし」

 

亜久里「そのゆえ、一番ショックを受けてるのは六花ですわ」

 

 

 

一同「「「……」」」

 

 

 

ありす「この状況ですし、ああなってしまうのも無理はありません…」

 

せつな「こんな時、どうすればいいのかしら」

 

亜久里「六花の前では、控えておきましょう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~屋上~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラケル「一人でどうしたいケル?」

 

六花「放っといて…」

 

ラケル「泣いてたってどうにもならないケル…」

 

六花「放っといてって言ってるでしょ…!!」

 

 

 

美希「病院は静かにするのが基本でしょ?(ガラッ)」

 

 

 

六花「美希…?」

 

美希「ここは本来、立ち入り禁止のはずなんだけど?」

 

六花「ご、ごめんなさい…」

 

美希「なぁんて、嘘よ。だってここは自由に出入りできるから」

 

六花「ビックリさせないでよ~!(プンプン)」

 

美希「そんな顔してると折角の可愛さが台無しよ?」

 

六花「わかってるわよ…。私、どうしたらいいか全然」

 

 

 

ヒュゥゥゥ…

 

 

 

美希「風が気持いいわね」

 

六花「…うん」

 

アイちゃん「キュピ?(ひょこ)」

 

六花「アイちゃん?どうしてここに」

 

ラケル「多分、六花が心配で来てくれたと思うケル。マナの無事を祈るために」

 

六花「あっ…。あのね美希、ちょっと私の話聞いてほしいの」

 

美希「実はあたしも同じ考えだったのよ。六花から先にどうぞ」

 

六花「ありがとう。私達がダンスをやろうと思ったきっかけなんだけどさ、偶然テレビで見たダンスが凄くて。それからやり始めたの。最初はただ成り行きに進んでたけど、次第にどうすればいいのかをハッキリしてさ」

 

美希「目標とかはある?」

 

六花「特に拘った目標なんてあまりないけどね。ことの始まりは私だけどそれを支えてくれたのはマナだったの。私の憧れてる白馬の王子様みたいな感じで」

 

タルト「案外ロマンティックなシチュエーションを求めているんやなぁ」

 

美希「タルト、いつの間にいたのよ」

 

タルト「だってずっとあの中にいても暇なだけやん。ちょっとばかり外の空気を吸いたくてな」

 

美希「シフォンと遊んでればいいじゃない、今はそれどころじゃないわ」

 

六花「まぁまぁ。細かいことはそこまでにしてあげて?」

 

タルト「ホンマか?かたじけないわぁ~」

 

美希(あとでラブに扱いてもらわないとねぇ…!!)

 

六花「確かに今の例え、とても面白いわね。でも流石にロマンティックというわけではないかも」

 

ラケル「本当は恋人のような―――」

 

六花「だぁああめぇえええ!!(むぐむぐ)」

 

タルト「顔が赤くなってるであんさん?」

 

六花「べ、別に私とマナはその…。そういう関係とかじゃないからっ…!(カァアアア)」

 

美希「ガールミーツガール…?」

 

六花「と、とにかくだけど。マナはとても凄いのよ?リーダーみたくしっかりしてるし。時にはおっちょこちょいな一面もあるし」

 

美希「最高のパートナーになりそうね、正直」

 

六花「仲間がいたからこそなのよ。あんな風になれてるマナが羨ましくて、本当は私がしっかりしないとだめだったから。でも、さっきの事態がかなり心が痛んじゃって……。悲しくて胸が苦しいの……」

 

ラケル「六花…」

 

六花「今頃心の中でマナが泣いてる気がして、そんな顔見ようとしただけで……(ぐすん)」

 

美希「悲しみなんて、人にはあって当たり前よ。ラブだって過去に経験したことがある。六花も少なくはないでしょ?」

 

六花「わ、私……」

 

美希「おいで、今だけは慰めてあげる。まずは大いに泣くとあとからスッキリするわよ」

 

タルト「ベリーはん、上手いことを言うなぁ。感動してまう…(ウルウル)」

 

ラケル「今は思いっきり泣くケル。そうするとスッキリできるはずケル」

 

六花「うぅ…、私は……」

 

 

 

ビュゥゥゥ…

 

 

 

六花「うぁあああああああっ!あぁああああああっ!!」

 

美希「よしよし、これでこそ立派なお姉さんね」

 

六花(私は今、本当に泣いてる…。苦しい思いをしてるマナのために、盛大に…)

 

美希「ここまで耐えた六花は完璧よ、あたしにはわかるんだから」

 

六花「あぁああああああっ!わぁああああああああああっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時私は、初めて心の苦しみという涙を味わった。今のは決して、心に刻むのだろう。それに、かけがえのない感情なのだと思う。


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