あたしと六花が角へ曲がろうとしたら、紙を持ちながら信号を待っていた一人の少女がいた。
マナ「道に迷ってるのかな?」
六花「地図らしい物は持っているようだけど、そうなのかしら?」
とても気になってしまうが、ここは慌てないで聞いてみようか。
マナ「ねぇ、どこか行きたいところでもある?」
???「いやぁああああっ!!」
すると当然壮大に驚いてしまう少女。脅かしてないのに…。
六花「ちょっと、どうなってるのよ!?」
マナ「大丈夫かな…?」
悲鳴を上げた少女は思わず蹲ってしまう。結構ビビりなのかもしれない。
???「な、何ですか…?」
六花「ごめんなさい、急にビックリさせちゃって。私達は怪しい者じゃないわ」
寿命が縮んだかのような素振りを見せる少女に六花が代りに謝る。これで少しは楽になれたみたいだね。
???「よかった~…。私、行きたい場所があるの。これから向かうところだけど、道に迷ったら困るから地図を見ながら進んでるの」
マナ「行きたい場所?それはどんなところかな」
???「ちょっと口では言い表せにくいと思うけど、私の友達が待ってるんです」
六花「あなたにもお友達がいるのね」
その娘は照れながら笑っていた。案外可愛いかも。
マナ「そういえばあなたの名前を聞きたいな」
???「私はアイラって言います。友達のリムのところへ行くの」
マナ「よろしくねアイラちゃん」
六花「ふと思ったけど、あなたの頭に被ってる帽子とてもオシャレね。なんだか素敵な感じがするわ」
六花はアイラちゃんが被ってる帽子にさりげなく見惚れていた。結構オシャレに決めるんだぁ。
アイラ「この帽子は昔っからあって、私はこれが気に入ってからいつも被るようにしているの。ちょっと、センスが足りないかな?」
六花「そんなことないわよ、十分に決まってると思うし」
アイラ「ありがとう、あとはこの帽子を被っていたら恥ずかしくないし」
マナ「それってどういうこと?」
目をキョロキョロさせながら言葉を紡ぐアイラちゃんがちょっとあざといかも。
アイラ「実は私、昔から人見知りでいつも人前にいると恥ずかしくて顔を出せないから…。だから帽子を被ってあちこち移動したりしてて」
マナ「人見知りかぁ……。あたしだったら堂々といれるタイプかな」
六花「まぁ、マナだったら余裕よね」
人見知りをどうにかしたいのならどうやればいいのやら…。
アイラ「とりあえずどうにかして人見知りを克服しようと努力してみますね。そうすれば―――でも、大勢の人達に耐えれるかが問題かも」
六花「その時点で克服に時間かかりそうね」
う~ん、残念。うまく考えがまとまっていたけど、呆気なく崩れちゃったねぇ。
マナ「そうだ、よかったらこれ食べて。あたしの自慢の桃まんなんだ」
アイラ「これを私にくれるんだ、じゃあいただきます(パク)」
アイラちゃんにあたしがサクッと作ってきた桃まんを食べさせてみた。さて、どんな反応になるのかな?
アイラ「これ、とても美味しい。私の友達もこれとよく似た物を作れるの」
これは予想通りの反応だ。なんだかニコニコしてるね。
六花「流石マナね。ここまで味が上達してるなんて」
マナ「それほどでもないよ~」
ちなみに六花も一つ頬張っていた。どうやら美味しかったみたいだった。
アイラ「そうだ、ここで出会った恩として二人にこれをあげる」
マナ「なんだろうこれ?」
六花「さぁ」
アイラちゃんに渡された謎のオブジェ、これは何に使うんだろう……?