それは、私がある人物にラビーズを渡すまでの課程だった。とある少女から事情を説明されるところから始まる。
せつな「それで、これを誰に渡せばいい?」
私はラビーズを手にとりながらリムという少女に尋ねる。大方予想はついてたがこれをある人物に受け取らせてほしいということになる。
リム「その人物ですが、ちょと見つけにくい方でして…」
せつな「見つけにくい人?」
リム「特徴で例えるなら金髪の男性です。最もユニークな方だと思いますが」
聞く限りだとあまり見なさそうな感じでもあるが、ちょっと目立ちがちな印象でもあるみたい。
せつな「それは面白い意味で?」
リム「多少のジョークは通じる方なので気にすることはありませんよ。あなたが何も感じなければの話ですけどね…(あはは)」
せつな「さりげなく苦笑いしてるわね…」
恐らくは私がその人のペースについていければ(性格的な問題だが)どうにかなるのね。ちょっと理解したわ。
せつな「もう少し聞きたいことがあるんだけどいいかしら」
リム「構いませんよ。私はあなたが言いたいことを何でも聞き受けますから」
せつな「わかったわ。それで何か手がかりのありそうなことってない?」
更に気にかかった部分があったので詳しいことを聞いてみる。それさえわかればありがたいんだけど…。
リム「手がかりですか…。多分その人はとある場所の主らしいんですが」
せつな「とある場所?」
リム「私の記憶が正しければですけどソリティアという場所にいると…」
せつな「ソリティア…。トランプを使ったゲームの名前ね」
なぜか関心するような態度になってしまう。そこまでこだわってはいないもののなぜか心がそう告げている。
リム「トランプ、好きですか?」
せつな「私はあまりやらないわね…。だけど、私の仲間達が一緒にやってくれるから」
確かに私だけではそういうのはやらないだろうけど、ラブ達となら気軽にやれる。一人よりみんなの方が楽しい、そんな感情が湧き出てくる。
せつな「ちょっと、嬉しい気持ちになっちゃった。こうして考えると幸せだと思うの」
リム「幸せ―――私、その言葉が大好きです。誰だって笑顔になれたら一番だと思います」
せつな「私の仲間がよく口にするの。『幸せゲットだよ』って」
考え方にもよるけど、人には多くの感情を得ているということが私に感じる。まさしくその通りだった。
せつな「とりあえず、これを―――それよりその人の名前とかわかる?」
リム「すみません、特徴しかわからないので…」
せつな「つまり直感で探してこいってことみたいね」
リム「もう少し私の記憶が頼りになれたらよかったのですが、お手数をおかけしてしまいました…」
せつな「いいのよ。その分私がなんとかしてみせるから」
蹲って謝るリムを私が励ます。これっぽっちのミスなんて大丈夫よ。
リム「では、お願いしますね。何かあれば報告をお願いします」
せつな「とりあえずやってみる。精一杯頑張るわ」
場所が近くなったらラビーズが応えてくれるようになっている。でも、これは何に使うのだろう。まずはその人物に託してからでないとわからない。そう振り絞り、私はただ目的地ねと向かうのだった。
~~そして現在~~
せつな「ラビーズが光ってる…?」
それから進んでいくとラビーズがだんだん強く光始めた。ひょっとしたら場所が近いのかもしれない。
せつな「凄い…。どんどん導いてくれる。これって偶然ではないようね」
とてつもない反応のあまり光が放射状に放たれる。近づけば近づく程強くなってゆく。
せつな「…っ!!」
すると視界全体が真っ白になって周りが見えなくなってしまう。それに眩しすぎて目を開けてられない。
せつな(何が起きてるの…?私は今、どこに…?)
とてつもない摩訶不思議な空間へと彷徨う私は周りの物が見えない。あとは突然周りが早く突き進んでいく光景を耳で感じ取った。
せつな(これからどうなるの…?)
まだわからない未知なる景色が徐々に見えてきた。ところが、それはもう過ぎてしまったのだった。それと同時に、私は真っ白な空間から放逐されてしまう。
せつな「…どうなったの……?」
未だに理解できなかった今の出来事。なぜかこの後のことが気になっていたのも定かではない。
せつな「…ソリティア?」
私が立ち上がるとそこにはソリティアと書かれた建物が目の前にあった。さっきまで遠距離がかなりあったけれど、無事にたどり着いたのかもしれない。
せつな「ここにあの娘が言ってた人物がいるのね。ちょっと尋ねてみようかしら」
私はゆっくりとドアの目の前へと近づく。ちょっと不気味な感じだろうけど、ラビーズを渡したいためなら手段を選ばない。
せつな「っ?手紙…?」
すると足元に誰かからの手紙が落ちていた。それをチラッと確認するが、送り主の名前は書いていない。ただ誰宛てなのかは書いてある。
せつな「ジョー、岡田…」
ちょっぴり変な名前だった。もしかしたらあの娘が言ってた人物とはそのジョー岡田っていう人なのかもしれない。
せつな「封筒の口が開いてる…」
細かいことが気になった私は黙々と手紙の口を閉めた。これなら荒らされないで済むはず。
せつな「そうだ、何か一言をかけないと」
そう思った私はインターホンを鳴らしてみた。数秒たらずで返事が返ってきてドアが開いた。
せつな「あの、ジョー岡田さんですか…?」
ジョー「そうだけど、どうしたんだい?」
せつな「これ、手紙が落ちてたんです。ポストに入りきらずに」
ジョー「なるほどね。送り主は封筒に書いてない。ということは中に中に書いてあるのか。とりあえず中に入っていいよ。お茶とお菓子用意してあげるから」
せつな「あの、私は何もそこまで―――」
ジョー「遠慮しなくていいよ。さ、中へお入り」
私を出向いてくれたのはまさしく金髪の男の人。多分この人で確定となる。そのまま玄関を通り過ぎ、辺りをぐるっと見渡してみた。
せつな「…あ。この臭い…」
ジョー「どうかしたの?」
せつな「いえ、なんでも…」(この臭い、もしかしてラブ達の……)
一瞬誰かと判別できる臭いを感じた。ということはラブ達が…。
せつな「ここに今ラブ達はいますか?」
ジョー「あぁ、あの娘達か。それがついさっき帰っちゃったんだ。たくさん和んでね」
せつな「そうなんですか…」
ジョー「君はあの娘達の知り合い?」
せつな「はい、私のかけがえのない存在です」
試しに聞いたけど、どうやらいなかった。つまりさっきここに立ち寄ったってことになるわね。
ジョー「それじゃあ君の名前は?」
せつな「東せつなです。今日はある女の子からあなたに託したい物がありまして」
ジョー「僕にかぁ。一体それは何かな」
せつな「これを―――ラビーズを渡したくて…」
ジョー「ラビーズ…?」
ついにこの人にラビーズを手渡す時が来た。ここからどう説明すればいいのか、私でも整理がつかない。まずはそこから始まろうとしていた。けれど、ラブ達は今どこで何をそているんだろう……。
~~クローバータウンストリート~~
ミユキ「じゃあどんな感じで練習してるかを今から見せるわね」
ありす「ではお願いしますね」
六花「生で練習する姿見るのも初めて~♪」
マナ「六花がどんどんキュンキュンしている…」
とりあえずトリニティの練習風景を見学することになったあたし達。あまりダンスに関して詳しくないけど何事も経験ってことだね。
マナ「でも、こんなキレのいい動き早々ないよね」
ありす「格が違いますわ」
今でも素晴らしい動きを見せてくれている。普段テレビで見るダンスとはまた訳が違う。これこそがプロの実力なのかもしれない。
六花「素敵よね…」
ありす「六花ちゃん完全に毒されてますね…(あはは)」
かれこれ練習が進んでいくと、休憩時間へと移行した。
六花「マナ、これで多少は興味持てたかしら」
マナ「い、一応だけどね…。それは誰だって好みはあるけど六花はとても興味津々だなーって思ったから」
いくら凄いとはいえ、六花がかなり興奮している。まぁいっか。
ありす「マナちゃんもあんな風になれたらどう思いますか?」
マナ「あたしだったら華麗に決めたいね。決めポーズバッチリと!」
六花「そんなんじゃ通じるのかしら…」
ミユキ「それだったらあなた達もダンス、やってみない?」
三人「「「えぇーっ!?」」」
この時、ミユキさんの一言で驚きの声をあげてしまった。