ログ・ホライズン ~高笑いするおーるらうんだーな神祇官~   作:となりのせとろ

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第五十七話 終わらせる

 

 エンバート=ネルレスは段々と朦朧となっていく自我の中でも確かな違和感を感じていた。ルグリウスの精神に侵食される中でも確かに感じる違和感、むしろその違和感は自身がルグリウスの精神に飲まれれば飲まれるほど増していく。

 その違和感の対象はこの街にいるひとつの存在。自分と似て非なる気配ではあるがその気配の正体の力量は自身を同等か上回るであることが対峙することなくネルレスにはわかる。またその気配の正体に遭遇してしまえば自身の正気が保てなくなることがわかった。

 それはただ一度その気配の存在と下水道でほんの僅かな時間対峙しただけでわかった。金髪金眼の美しい女だ、その女とルグリウスの記憶の中のものであろう裏切り者の女と重なり憎悪が噴き出してくる。下水道での僅かな時間の会合でネルレスの意識はルグリウスに大幅に飲み込まれ本能的な撤退の意思に従わずそのまま対峙を続けていればそのままルグリウスに全てを乗っ取られていただろう。

 今でさえ段々と意識は朦朧としてきており飲み込まれるのは時間の問題ではあっただろうが、その存在と出会うことがいかに致命的であるかという衛士としての直感がネルレスの精神を保たせていた。

 

『ネルレス、代われ。お前では荷が重かろう、ストゥイナウはわたしがこの手で殺す』

「待て、お前は出てくるなルグリウス。お前の言うストゥイナウという女は後回しだ。今は目の前の小娘どもを」

『代われ、代われ、代われ、よこせ、よこセ、ヨコセ、キエロ、キエロ、キエロ』

「うるさいっ!!邪魔をするなっ!!」

 

 頭の中で反響するルグリウスの声を怒鳴り散らすことでかき消そうとする。だがその声は消えることはない。段々とネルレスの残った自我も飲まれていく。ネルレスは頭をふるった。ルグリウスは自分ではない。

 

 いつのまにか相手取っていた<冒険者>の数は一人から二人、二人から三人と増えていく。

 大したこともできやしないというのにそれでも先ほどから対峙し続けている一人の<冒険者>の娘を生かそうと立ち向かってくる。ひとつひとつは大したこともない、<動力甲冑>(ムーブルアーマー)とルグリウスの力を持つ殺人鬼との力の差は大人と子供ほどの力の差がある。それでも()()()

 

 

 その何人もの<冒険者>たちが殺人鬼の行く手を阻む中で殺人鬼の放つ殺意に溺れた吹雪が吹き荒れる中で短い棒状のものが回転しながら視線の先にいる殺人鬼が追い続ける<冒険者>の少女に投げつけられた。

 

「もってけ」

「--<鳴刀・喰鉄虫>(めいとう・はがねむし)

 

「じゃない……。<喰鉄虫・多々良>。打ち直し」

 

 少女がその短刀を鞘から僅かに抜くことで吹雪の中でも確かに光る乱れ刃の刀身が露になった。それは殺人鬼が<霜刀・白魔丸>を手に入れた店に並び置かれていた刀。

 だが細部が異なる、長さが違う、握りも違う。

 まるで()()()()()()()()()()()()調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「こんなのっ、払えないっ」「勝って」

 

 アメノマの店主の多々良が普段の眠たげな声とは違う強い響きが泣きそうになるアカツキの声にかぶさるように言った。

 

「ここまで走って、勝てなかったら割に合わない。

 だがら、その刀で、私の刀で、アレを倒して」

 

 これ以上の言葉は必要なかった。多々良にアカツキは強い頷きを返して身をひるがえし殺人鬼へと一直線に駆けた。

 

 そしてそんな中でも自我をズルズルと飲み込まれていくネルレス(殺人鬼)の事などまるで構わず自身や感じている気配と比べれば羽虫のような存在でしかない<冒険者>たちが鬱陶しくも攻撃を仕掛けてくる。それを邪魔だとなぎ払おうとしてもその小さな邪魔者は羽のようにふわりと振るった刃を掠めて飛び退いてしまう。先ほどまで回復を受けていたアカツキの一撃が殺人鬼の一撃と重なり合い鋼っを食い破るようなつんざく音が響き渡る。

 

 それでも、殺人鬼はその巨体を強引に寄せて羽のように飛び回るアカツキにその必殺の一撃を当てようとする。それは空中のアカツキにとってはかわしようのない位置での一撃。しかしアカツキはその一撃をなんなく跳ね上がりかわして見せた。その挙動はまるで空中のあるはずのない足場を蹴ったかのような動きだった。

 

「なーにしてんだい。やっぱり身近に詰めの甘いやつが多いと似てくるものなのかねぇ」

 

 飛び出してきたのはナズナだった。殺人鬼の一撃を躱して本来の目的地へと走ろうとするアカツキの隣へと殺人鬼の刀を踏み台にして距離を取り、高下駄を履いているとは思えない俊敏な動きで追走してくる。

 

「さぁて、シロエの後輩ってんならアタシの後輩みたいなもんでもある。ソウジに心配かけるわけにもいかないしアタシも一肌脱ごうか」

 

 アカツキを救ったのはナズナだった。それは本来ならばダメージ遮断呪文として攻撃を遮る「壁」として作用するはずの障壁を「足場」として活用する業。それがナズナの口伝<天促通>だった。

  ナズナは進む道のいたるところに張り巡らせるようにダメージ遮断呪文を配置していく。その増えていく足場は殺人鬼の攻撃を躱す助けとなり余裕を生み攻撃のチャンスをさらに増やしていく。

 

 

 そしてついに、アカツキたちはたどり着く。気の遠くなるような死を率いた剣戟と命を連れ去る吹雪に耐え抜きそこに殺人鬼を連れ込む。

 

 そこは御前だ。それまでの冷徹な凍てつく風とは真逆の蒸発しそうになる熱量を放つ紅の姫の間である。

 

「待っていたわ、よくも姫の友達をいじめてくれたな、殺人鬼」

 

 アキバという大都市の中心、ギルド会館が眼前に建つ巨大な広場、空気を歪める熱と万象一切を灰塵と帰す大炎を爆発させ大小二つの薙刀を構える覇極の姫がそこにはいた。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 クインの目の前で千菜の持つふた振りの薙刀から重圧を感じるほどの大炎とそれに準ずる膨大な熱量が噴出する。渦巻く焔は空気を焦がし近くに寄れば呼吸するだけで喉を焼かれてしまうだろう。それすらもものともすることなく顔色のひとつ変えずに殺人鬼を睨み据える千菜にクインは絶対的な信頼と敬意の延長線上にある畏怖を持っている。

 

接触(エンゲージ)

 

 殺人鬼との接触。殺人鬼と千菜の視線が交差する。その次の瞬間には千菜の放つ大炎と熱に対抗しえるだけの巨大な氷塊の壁と冷気が殺人鬼の<霜刀・百魔丸>から吐き出される。それは一度千菜と相対しその身を焼き尽くすだけの炎とただただ埒外じみた純粋な力を体感した者の反応として当然の帰結である。

 しかもそれが最初から全開で躊躇いも容赦もなく自分に振るわれようとすれば考えるまでもなく本能のままにそれを回避しようとする。英雄としての天賦の才ともいえる野生の戦闘本能に任せた戦い方をする殺人鬼であるならばなおさらに、だ。

 

 だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

接触(エンゲージ)」。クインが放ったその一言は殺人鬼が全て思惑のままに逃げ場のない落とし穴へとかかった瞬間であるとレイドメンバー全員に伝えられる。

 

 クインのその一言で準備していた全ての仕掛けが作動されるのだ。

 

 レイネシアと供贄一族の長である菫星の手によってアキバの街の地下描かれる巨大な都市魔法陣への魔力供給が十数年の機能停止と引き換えに絶たれ都市防衛結界及び<動力甲冑>(ムーブルアーマー)の機能が完全に停止させられる。

 

 広場を囲むように立ち並ぶ背の高いビル群のひとつの屋上に陣取ったアキバの街トップギルド<D.D.D>の誇る<妖術師>(ソーサラー)リーゼが放つ自由落下による射程無視の広範囲氷攻撃魔法<フリージングライナー>。

 本来であればダンジョンやフィールドで使えば二十メートルの範囲の相手を押し流す氷混じりの水流は自由落下によって射程を大きく伸ばし、千菜の大炎と莫大な熱から自身の身を護るために放出した氷塊と冷気を飲み込み凍てつき<動力甲冑>(ムーブルアーマー)による補助もなくなった殺人鬼の全身を氷の柱の中に閉じ込める。

 

 

「チェックメイトだ」

 

 

 クインはリーゼのような大規模戦闘に精通する程に戦術面に長けているわけではない。千菜や戦闘系ギルドの面々のように高い戦闘能力を持っているわけでもない。

 だがその身は探偵、心理戦においてのプロフェッショナル。

 クインは後押ししただけ。リーゼの立てた作戦で十分に策としては成り立っていた。だから殺人鬼を仕留める最後の局面を確定にした。ただの一手で望みの局面にたどり着けばで確実に全てを絡め取る。「犯人はあなたです」と勝利宣言をあげる。

 探偵は解決編に入ってしまえば負けることなんて絶対にありえない。

 

 

「終わった、のか?」

「うん、これでおしまい。あとからこの氷山の中から<霜刀・白魔丸>だけを回収すればいい」

 

 殺人鬼から発せられた莫大な冷気と広範囲氷魔法<フリージングライナー>が互いに氷結することで出来上がった大規模な、氷山といってしまっても構わない大きさの氷の塊を見上げながらこぼれたアカツキの言葉にクインが言葉を返す。段々と各地に散らばっていたレイドメンバーたちも集まり始めその巨大な氷塊に思い思いの反応を見せる。

 

「わたしをただの惹きつけだけに使うなんて贅沢したんだから終わってくれなきゃ困るよ」

 

 千菜も姫モードから普段の雰囲気と口調に戻り、クインとアカツキの二人に後ろから抱きしめる。ぎゅー、と少しばかり苦しいくらいだがアカツキはそれが嬉しい。そんな三人に気づいて他のメンバーたちも三人の下へと集まりハイタッチやハグをしていく。

 みんなと触れ合う中で、そのぬくもりの中でアカツキは自分が欲していたものを、見いだせた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

「まいったな、これは驚いた。

 まさか詰めの部分をここまで完璧にこなすなんて、僕が出てこないといけなくなるなんて ……ほんとはこんなお膳立てしないで出てきてくれたらよかったのに」

 

 金髪金眼の女だった。その絹糸のような髪の一本一本が月の光に照らされて惹きつけるように風に揺らされる。その視線の先はついさきほどまで暴虐の嵐を振りまいた殺人鬼に向けられている。その女の歩みは一歩一歩確実に殺人鬼が凍りつかされている氷塊に進められていた。

 

 

「千菜!あの人を殺人鬼に近づけさせるな!」「わかってるわよ!」

 

 

 千菜とクインは既に臨戦態勢に入っていた。先程までの和やかな雰囲気から抜け出しきれない周囲の反応を置き去りにし二人だけが武器を取る。さしたる確信があるわけではない、がその女を、その傑物を、奏儚百恵だけはあの化物に近づけさせてはいけないと直感的に判断した。

 千菜は躊躇の一つもなく前へ飛び出し百恵へ向けて薙刀を振り下ろし、クインは千菜に向けてありったけの補助をやつぎはぎに投射していった。

 

 だが、その千菜の渾身の一撃も百恵は長い長い太刀を抜き放ち受け止めてみせた。太刀と薙刀がぶつかる瞬間には炎と衝撃波が大気を揺らす。

 

「なにする気よ!?姉さん!」

「ごめんね、千菜、今はあなたに構ってあげれないの」

 

 千菜の視界から百恵の姿が消える。百恵が消えることで抑えを失った千菜の炎と斬撃が地面を割り殺人鬼が張り巡らせた氷と降り積もる雪を溶かす。百恵の実体がなかったわけではない、千菜の振るった一撃には確かに手応えがあった。ならば千菜はこのやり口を知っている。<神祇官>(カンナギ)の兄がPVPの時によく使う手だった、<飛梅の術>での背後への瞬間移動。

 

「千菜、氷塊に!」

 

 クインの声に反応するまでもなく千菜は背後を振り向く。背後には太刀でこちらに切り掛ろうとする百恵の姿はあらず氷塊に向けて拳を振りぬこう百恵がいた。

 薙刀で熱線を飛ばそうとするがそれでも間に合わず見上げるほどに大きかった氷塊はたったひとつの拳に砕かれ中に閉じ込められていた殺人鬼はその氷河の堅牢から解放された。

 

「起きなさい殺人鬼(シリアルキラー)。あなたの中のルグリウス(英雄の成れの果て)に用がある」

「……ぁ、っく…」

「身体の方はもう限界ね、大地人の身で身の丈に合わない力(古来種の力)なんかに手を出すからこうなる」

 

 百恵はどこか憐れむような目で殺人鬼(ネルレス)を見ながら片腕だけで殺人鬼の身体を持ち上げる。無理矢理に身体を起こされた殺人鬼はうめき声をあげながらも動かない四肢の代わりに仮面の割れ顕になった濁ったその目で百恵を睨みつけた。四肢は動かなくなろうともその手には<霜刀・百魔丸>が握られていた。

 

(「……ス…トゥイ…ナ…ウ…?」)

 

「そう、私がストゥイナウ。あなたを殺した裏切り者の女よ、愚かで哀れな英雄様?私たちを呪うその狂気随分と矮小なものなのね、その程度で災厄を振り向こうなんてさすがエッゾの英雄、死んでなおお優しいこと」

 

 そんな妄言は嘘に決まっている。<冒険者>である百恵がエッゾの英雄ルグリウスを毒殺した裏切りの女ストゥイナウであるはずがない。そんなことはわかりきっている。

 

 だが、そんな判別が狂気に飲まれた英雄の成れの果て(ただの化物)に理解できるわけがなかった。

 

 

「あっああっ、あああっ、ああああっ、あああああっ、ああああああっ、あああああああっっ、ああああああああっっっ!!!!」

 

 狂気が器から溢れる。

 持ち上げられていたネルレスの身体が激しい痙攣を始めその手に持っていた刀すらも取り落とす。刀を落としたことを見た百恵はネルレスの身体を放し<霜刀・百魔丸>からうずまき始めた冷気で凍てついていく地面に打ち捨てる。

 その終わったはずの殺人鬼の異様な光景に身動きのひとつもできずに見守ることしかできないレイドチームとは裏腹に百恵はその場から足をどけ、その場から飛び去り距離をとった。まるでそこにいることは本意ではないという風に。

 

 

「なに、あれ…」

 

 

 誰かの声が小さいながらもはっきりと聞こえた気がした。

 殺人鬼はもう見る影もない。魂が抜け落ちたかのように崩れ落ちて身動ぎひとつもする様子はなかった。だが、この場にいる全員の視線は既に殺人鬼へとは向いていない。

 

 全員の視線が捉えて離さないのは殺人鬼が手にしていた刀の方。持ち主のいなくなったその刀が、まるで誰かの意思をもってしているかのように宙に浮いていた。さっきほどまで殺人鬼が扱っていた冷気よりもずっと重い濃度の冷気を放ちながら。

 

「全員散開!まとまっていてはいい的になります!

 どういうものか意味不明ですけど、元は呪いの類のアイテムですっ、決していいものじゃありません。千菜さんをメイン盾にして戦闘態勢に入ってください!回復は二枚!」

 

 その場でいち早く混乱から冷静さを取り戻したリーゼの指示にその場の全員が我を取り戻し、宙に浮く刀へ視線を向けたまま散らばっていく。一番前には千菜が薙刀を構え、ナズナがダメージ遮断呪文を、マリエールが反応起動回復呪文を千菜にかけた。アカツキも千菜の一歩下がった場所で短刀を構え、クインがそのアカツキにも事前にパフをかけていく。 

 

「<D.D.D>の参謀さん、その判断は正しい。けど残念、認識は間違ってる。

 呪いの類?それは浅慮ね、その刀は元を正せばエッゾの大英雄が持っていた由緒正しい刀よ」

 

 金髪の女がそう口にした。その言葉の意図を頭の端に引っかかりを覚えて思考を割こうとした時だった。カタカタと震えていた刀が動いた、尋常ではない速度で。

 その不意の挙動に対応できたものはただの一人もおらず持ち主のいない刃にアカツキの小柄な身体が真後ろへ吹き飛ばされた。

 

「アカツキっ」

 

 クインがアカツキの吹き飛ばされた方向を向こうと身体を捻らせを背後を振り向こうとすると誰かに突き飛ばされた。次の瞬間には耳をつんざくような金属同士がぶつかり合う音が耳につく。

 

「なにしてんのっ!!敵から目を逸らさないで!」

 

 千菜の怒号を尻餅をついた態勢から聞かされる。戦場慣れしないクインを庇い千菜が宙に浮く刀とつばぜり合う。拮抗していた中で刀の方が揺らいだ。それはまるで力を他所に受け流すような動きで、殺人鬼がやっていた力任せの獣のようなそれとは違い技術を感じるような動き。千菜の態勢が僅かに前のめりに崩れた。それでも問題はなかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 拳で殴られたような鈍い痛みが千菜の腹を襲った。続いて後頭部を上から殴られるような衝撃が続く。その二つの鈍痛に耐え切れず千菜の片膝が雪の地面につかされた。

 

「うっ」

 

 戦闘能力のほとんどを攻撃に集中させている千菜はそれだけ防御が平均の<武士>(サムライ)より低い。本来のレベル90の<武士>(サムライ)の耐久力であれば怯みはしても十分に立て直せる程度の衝撃だっただろう、だが圧倒的な攻撃力の引換として失ったその防御の低さが、ここで致命的な隙を作った。

 

 

 今にも止めを刺そうとせんばかりに刀が真っ直ぐに天を向く。

 リーゼの魔法がそれを止めようと刀へ殺到する。ナズナの<ダメージ遮断呪文>が千菜を守ろうと詠唱される。吹き飛ばされた場から復帰したアカツキが刃を止めようと雪の地面を蹴る。クインが<付与術師>(エンチャンター)の雀の涙ほどにもならない魔法で攻撃を止めようとする。

 

 そのどれもが間に合わない、届きはしない。絶望()が振り下ろされる。

 

 

世界(黄金)は死を拒絶する」

 

 懐かしい声が聞こえた気がした。

 絶望()が弾かれる。そんなものは認めないと。この世界に絶望はいらない。

 その願いは、希望を世界に強制する。希望に満ちた世界を作り上げる。

 

「<黄金領域>」

 

 千菜とクインを黄金の球体が包んでいた。千菜とクインが見上げればひとつ。大きな背中がそこにあった。

 

 

「悪い、千菜、クイン、遅くなった。大丈夫、俺が終わらせるから」

 

 


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