ログ・ホライズン ~高笑いするおーるらうんだーな神祇官~   作:となりのせとろ

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第三笑 砂浜と宮廷に響く高笑い
第十五話 新たなるメガネ


「うらあああっ!!」

 

上段から降り下ろされる木刀

それを右下からの斬り上げで軽く弾かれる

 

 次は左からの横一閃。                上段から木刀を降り下ろしねじ伏せる。

 

 すぐに伏せられた木刀を引き胸めがけての突きを打つ。

 突きの下を滑らせるようにして振り。

 

 カァンッ!と、小気味のいい乾いた木刀同士のぶつかる音が響く。

 

 一本の木刀が宙を舞い三メートル程先に落ちる。

 一本の木刀はピタリと喉元に据えられあと数ミリで喉に触れるであろう位置にある。

 

「まっまいりました……」

 

 ドサリと体勢を崩して腰から崩れ落ち座り込むトウヤ。

身体中から一気に汗が吹き出した。

 

「まぁだまだだなぁ。トウヤクン」

 

 奏がシニカルに笑い木刀を肩に置く。

 

 今日も今日とて出張特訓教室。

 〈記録の地平線〉のギルドホーム屋上は今まさに特訓真っ最中である。

 

「奏さん、お疲れ様です。トウヤもお疲れ。これどうぞ」

 

 ミノリが駆け寄ってきて水筒とタオルを手渡してくれる。本当に気の利く良い娘だ。

 

(千菜やらクインやらアイツやらは絶対こんなことしてくれないな。)

 

「ミノリンは良い娘だな~」

 

「ふぁっ。なんで頭を撫でるんですか?それにミノリンって……恥ずかしいですよ~」

 

「ははっ。残念。今のミノリンの顔を見て決定したわ。これからはミノリンな♪」

 

「ミノリン、最近俺マリちゃん以外にこんなほんわかした会話するの久しぶりな気がするんだ。どうしてだろう?」

 

「千菜さんを怒らせるようなことしてるからじゃないですか?」

 

「なるほど。さすがミノリンだな。俺が気づかないことにもあっさりと気づく、嫁に欲しいわ。

 あいつ最近怒ってばっかりなんだよな~。ソウジロウがよく俺に会いに来るようになったからかな?」

 

 頭をかきながらあてずっぽうでものを言う奏

 

「多分そういうのが千菜姉を怒らせてるんだと思うよ…?兄ちゃん」

 

「よし、トウヤこれで今日はお終いだ。なんか聞いときたいことあるか?」

 

「ふつーにスルーした……まあいいんだろうけど。

 んー、聞いときたいことってゆーか願いが有るんだけど。兄ちゃん、やりたいクエストがあるから手伝ってくんないかな?ミノリと俺とじゃ厳しくって」

 

「〈白蝶の湖〉っていうクエストなんですけど」

 

「あーアレか蝶々追いかけ回すやつ。いいよ。一緒に行こう。午前中の内に行って昼飯は湖で食おうぜ。あそこの湖結構綺麗だったよな?」

 

「やった!さんきゅー兄ちゃん」

「ありがとうございます奏さん。にゃん太さんにお当のお願いしなくっちゃ」

 

「夏期合宿もあるしちょっとでもレベルあげときたいしな」

 

 夏期合宿

 〈円卓会議〉公認の四十レベル以下の新人プレイヤーを対象とした支援対策の一環

 発案は〈三日月同盟〉のマリエールで〈円卓会議〉の各ギルドから引率者がついて行き新人プレイヤーたちの手助けをしようというものだった。

 噂ではマリエールがバカンスに行きたいとソファの上でクッションを抱き抱えながら足をジタバタさせたのがことの発端だったとか、というか目の前でマリちゃんがクッションを抱き抱え足をジタバタさせているのを見ている。

 なにしてんだウチのギルマスは…。

 それなりにいい年いってる大人のああいうところを見るとなんかこう感じるところがあるよね。

 

      

 ◇◆◇◆

 

 

「「「へっくしょん(へくちっ)」」」

 

 アキバの街のゲート前で盛大にくしゃみをかますずぶ濡れの三人組。

 一人は簡素な和風鎧に身を包み肩にはこれまた飾り気のない太刀をぶら下げた少年。

 一人はいわゆる巫女装備。鈴の付いた長い錫杖に髪には真新しい白い蝶の形をした髪留めが似合う少女。

 一人は他の二人とは違う明らかに高レベルだと判る青色の和服に高下駄を履いた青年。

 

 〈記録の地平線〉の貴重な新人プレイヤーで双子の姉弟、トウヤとミノリに〈三日月同盟〉の新参者の奏和風師弟トリオだった。本来ならここに千菜も加わって四重奏(カルテット)になるのだが千菜はヘンリエッタから逃げ切れずに〈円卓会議〉の仕事に取り組んでいる頃である。

 三人がどうしてこんなにびしょ濡れになりアキバの街のゲート前で大きなくしゃみをしているかというと、

 

 トウヤとミノリのお願いを聞いてクエストに行った三人

広大に広がる湖の周りを白い蝶を追いかけ回し間に立ちふさがるモンスターを斬り捨てなんとか制限時間内にトウヤが蝶に飛び付いて捕まえることができた。

 

 ただし捕まえたところは最悪だった。辺りより確実に高くなっている高台。

 トウヤの体は宙に浮き、まっさかさまに落ちた。

 

 トウヤを助けようと奏が飛び付きなんとかトウヤの足首を掴んだけれども、奏の半身もほとんどはみ出していて踏ん張りが効かない。

 ミノリがなんとか落ちないように奏の足にしがみついて引っ張り上げようとするが所詮は回復職の低レベル。力が足りず奏の足に小さいが柔らかな二つの感触が伝わるだけだった。

 だが、その柔らかな二つの感触が奏に不思議な力を与えた。

 

「うおおぉらっっ!!」

 

 雄叫びを挙げ上半身の力だけで反動をつけてマグロの一本釣りの要領でトウヤを上へ放り投げた(奏にマグロの一本釣りなど経験はない)。

 トウヤは一メートル程宙を舞い奏の真横へ「グヘェ」とカエルの潰れたような声を挙げて落ちた。

 

 トウヤを助けたことで一安心し息を吐いたのもつかの間、ピシピシと音がしたかと思うと奏たちの居るところが崩れた。

 結局、三人とも仲良く湖にまっさかさまに落ちたのだった。

 

 そんなこんなでびしょ濡れになりながらもクエストは一応クリアし、クリア報酬の〈湖蝶の髪留め〉をゲットし、このままじゃ風邪をひいてしまうとすぐさま帰巣呪文でアキバの街に帰ってきたのである。弁当を食べ損ない三人とも若干不機嫌である。

 

 アキバの街に入るゲートを潜ろうとするとゲートの辺りを馬に乗った仰々しい一団が道を塞いでいて先へ進めなくなっていた。

 

「すみませーん!道を空けて貰っていいですかー!」

 

「なんだ貴様ら?我々を誰だと心得ている。自由都市同盟イースタル筆頭領主セルジアット=コーウェン公爵の遣いと知っての言葉か?」

 

「いや、そうは言われましても。こちらは見ての通り全員びしょ濡れなんですよ。だから速く家に帰りたいのですこし道を空けてもらえないかと思って」

 

「フン!知らんな。我々の要件が済むまでそこで待っていればよいではないか」

 

 正に虎の威を借る狐の体現を目の当たりし、

「あぁん?何言ってんだコイツ?一回ど突いたろかな」

と奏がボソリと呟きそれを耳にしたトウヤとミノリがアタフタと二人で腕を抑えて止めようとする。

 ここに千菜がいなかったのも幸いだろう。もし千菜がいたら、

「なにいっちゃってんのかしら?姫の通り道を遮るなんていい度胸じゃない。どつきましょうか」

 と止めることはおろか変死体がいっちょう上がってしまうところだったろう。

 

「お前たち!!何をしている。さっさと道を空けてやらないか!」

 

 一団の奥の方から突き抜けるような声が響いてきた。

 目を向けてみると、まだ夏とはいえないまでも春は過ぎたであろうこの季節に黒いロングコートを着た銀髪のふちなしメガネをかけた青年が馬から降りてこちらに歩いてきていた。

 

 うわっメガネだ…。

 

 シロエにクラスティ、ヘンリエッタ、クイン。奏の知るメガネをかけた人間はどこかぶっ飛んでるところがあるので警戒心が増す奏じっくりと青年の色を観察しようとする。

 

 青年から注意された男はこちらを睨み付けながら渋々引き下がっていった。

 

「すまなかった。ウチの配下が失礼なマネをして、この通りだ」

 

 青年は拍子抜けするほどあっさりと頭を下げた。

 

 いや、まぁあやまるのは当たり前のことなのだが、さっきの男の発言から察するにこの一団はセルジアット=コーウェン公爵の遣いなのだろう。確か大地人の貴族でも上の方の人間だったと奏は記憶している。

 貴族はメンツのためとかなんとかいって頭を下げないものだと思っていた奏としては以外だった。

 駆け引きの為に頭を下げることができる切れ者なのか、純粋に謝っているのかは謀りかねたがこの男は稀有な存在なのだろうと認識する。

 

「構わないさ。頭を上げてくれ。あんた貴族なんだろう?あんまり大勢の前で頭を下げるのは良くない」

 

「ありがとう。寛大な対応に感謝するよ。エルノ=コーウェン、エターナルアイスの管理貴族をしている」

 

「〈三日月同盟〉の奏〈冒険者〉だ。後ろはトウヤとミノリだ」

 

 トウヤとミノリはペコリと頭を下げ、奏は握手を求めて手を出す。

 エルノはほんの少しだが右の眉が上がり驚きを見せると、シニカルに笑い奏の手を握り返した。

 

 

  ─二時間後─

 

 

 ベシッ ベシッ ベシッ

 

 〈三日月同盟〉のギルドホール倉庫、そこにはミノリとトウヤと別れた奏が千菜と一緒にいた。

 

「ええ~と。教育に悪いからそういうんは自分の部屋でやっもらってええかな?せっかく入ってきた新人の子に逃げられとうないんよ。カナ坊」

 

 マリエールは千菜に毛糸でできた小さなリンゴ程度の大きさのボールを投げつけられそれを黙って真剣な表情で顔面に受け止める奏に向かってそう言った。

 

「マリエちゃん、別に俺もそういった性癖があるわけじゃないよ……。最近ちょっとやんちゃが過ぎるからってさすがに誤解しすぎだよ」

 

「そうなん?」

 

「ソーナンス」

 

「マリエさん、さすがにこれは本当だから!兄さんの修行だから‼」

 

 心なしかいつもより冷めたように疑うような目をマリエールから向けられこれはさすがにヤバイかと取り繕う千菜

兄の適当な返答にヤバいと思ったのだろう。

 

「まぁ、ええわ。でもさすがに倉庫でこれやるのは堪忍してな?本当に新人君たちいなくなってしまうで」

 

「「面目至極もございません」」

 

「それで、どうしたのマリちゃん?俺たちになんか用?」

 

「ああ、そやった!カナ坊、悪いんやけどいつもの会議室にいってくれへん?シロ坊とクラスティはんが頼みたいことがあるって」

 

 パチンとそこ大きな胸の前で手を叩いて本来の用事を思い出したようにリアクションをとるマリエール

 

「んーわかった。メガネコンビか、やだなーなんか面倒事押し付けられそうだ。まあ行かなきゃアカツキちゃん辺りに 捕縛命令が出されるだろうからな。それもなんか悪いし、いってきます」

 

 奏は嫌そうな顔をしがら胡座を組んで座っていた体勢から立ち上がりなにを押し付けられるか考える。

 考えてもわかるはずもないと一度背伸びをして結論づけ倉庫の扉に手をかけ最上階の会議室まで向かうことにした。

 

「カナ坊、ごめんな。さすがにあの二人はおっかないねん」

 

 奏が出ていった直後にマリエールは申し訳なさそうにそう呟くのだった。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

「はあ!?俺が領主会議の派遣団に同行!?なんで!?俺、新人プレイヤーの夏期合宿についていくつもりだったんだけど!!」

 

「先方からのご厚意だ。〈円卓会議〉の参加ギルドを聞いたときに君の名前を出したんだ。君にいたく興味を持っていたようだよ?ぜひ彼も一緒に来てほしいと言っていた」

 

「いや、知らんがな。

 なんで俺が腹の探りあいばっかりしている貴族のところに行かなきゃなんねーんだよっ!吐くぞ!いいのか?俺、絶対に吐く自信があるからな‼吐く時にお前に吹っ掛けてやるからな!!〈狂戦士〉から〈ゲロ戦士〉に変えるぞ!!」

 

「奏、ここは我慢してくれないかな?(ギルド会館への借金の肩替わり)」

 

「うっ…」

 

 そうなのである。先日の突入時、〈ハーメルン〉のギルドホールの壁を千菜に吹き飛ばさせた。その時の損害請求がくにえ一族の方からきたのである。

 その額金貨五十万枚程先のゴブリンの集落での陰陽札による大散財により立て続けに散財することになりさすがに今回の一件はどうにか経費ってことで〈円卓会議〉の方で落とせなーいとウィンクしてみたところなんとかお涙ちょうだいでき請求を肩代わりしてもらえたわけである。

 そんなわけで〈円卓会議〉もといこの件で尽力してくれたシロエにははっきりいって強く出れない……

 

「ちくしょー、覚えてろよっ!この鬼畜メガネ共!!」

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

「というわけで兄さんは今ごろ東の貴族の総本山に向かって馬車の中」

 

「はーん。なるほど!奏クンも大変だー」

 

「兄さんなにかと昔から目を付けられやすいですよね。

犬も歩けば棒に当たるの派生で奏も歩けば絡まれるっていうか」

 

「ふふっーそれいいねー!今度奏クンが厄介事の相談に来たら言ってあげよーっと」

 

「あのー、和やかに談笑しているところ失礼します。

千菜さん、その肩にぶら下がってるソレ、何ですか?」

 

「ソレとは失礼だなー。ミノリちゃーん。うさぎもどきのフェレットもどきにも人権があるんだぜー。いや、人権じゃなくて獣権か。アレ?獣権ってこの世界にあったけ?というか元の世界にもなかったなー」

 

 千菜の肩にぶら下がってる赤い宝石のような目をしたうさぎもどきのフェレットもどきの白い毛玉が大して怒った風もなくケラケラと笑いながら言葉を発する。

 

「コレ?コレはね、私たちと同じ引率者。ミノリちゃんたちのお目付け役。

 中身はちゃんとした人間だよ。この人召喚術師〈サモナー〉だから〈ソウルホゼッショッン〉で中身だけ使い魔と入れ替わってるの」

 

「マイクロフトっていいまーす。引きこもりでーす。よろしくね♪」

 

 キラーンという効果音が聞こえそうなドヤ顔を決めたマイクロフトもとい白い毛玉は千菜の肩にぶら下がってる体勢からよじ登り、ミノリの頭の上へと跳び移る。

 

「さあー目的地が見えてきたよヨー!!」

 

 頭上から聞こえてきたすっとんきょうな間の抜けた声についつい笑みがこぼれるミノリだった。

 

 目的地のチョウシの町に着いたマリエールたち。

 チョウシの町といってもマリエールたちが合宿の期間中に過ごすのは町から少し離れた神代の学校の校舎だ。

 今は校舎の寝泊まりする教室を掃除したり町に買い出しに行ったりと準備中。

 

「マリエさん、マリエさん、ホラ!こんなにたくさん梨譲って貰っちゃったよ。」

 

「んぅーっぅ。ええにおいやんね。後でにゃん太班長にデザートにしてもらおうか。きっとこれは美味しいで」

 

 土地は平坦で、穏やかにうねる大地のあちこちがタイルのように四角く区切られあちらは畑、こちらは田んぼ、そちらは果樹園と利用され広い土地を上手くいかした農地は期待を裏切ることなく多くの農作物を育てているようだった。

 〈料理人の〉のサブ職業を持った新人プレイヤーたちも思い思いに様々な作物を手にとって見たりしている。

 

 マリエールは千菜とミノリを引き連れチョウシの町の町長の所へと挨拶と世間話ついでにここらの情報があったら掴んでおきたいと話す内容を頭の中でまとめながら歩いていた。ミノリの良い娘具合にやられて奏と同じように頭を撫でるマリエールと千菜の三人の姿は年の離れた中の良い姉妹のようで周囲からは微笑みが見られた。

 

後ろの方で「いやー!たすけてー!!」と大地人の子供たちに追いかけ回されている白い毛玉には同じ引率者たちは深いため息が出た。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

「ラグランダの杜?」

 

 トウヤは声をあげた。

 ダンジョンの名前みたいではないか。そんな疑問をぶつけてみると直嗣からは「ダンジョンみたいなんじゃなくてダンジョンなんだぜ。ボケんなよ」という答えが帰ってきた。

 

 日もゆったりと落ち空はすっかり藍色に染まり、一行が寝泊まりすることに決めた廃校のグラウンドはいくつもの焚き火で赤々と照らし出されている。

 今晩はこのベースキャンプ到着を祝うバーベキューパーティだ。

 

 姉のミノリは座って一緒に食べていれば良いものを忙しく飲み物を配って回ったりしていたが、トウヤの手招きに気がつくと駆け寄ってきて「どうしたの?」と問いかけた。

 

「あんなミノリ。ダンジョン行くらしいぞ?知ってた?」

 

「え、ダンジョンなのっ!?」

 

 先程のトウヤと同じように驚きの声をあげるミノリ。

 奏の指導を受けて早くも2ヶ月近く月日が流れたが、ミノリは勿論トウヤも一度たりともダンジョンには挑戦したことはなかった。

 奏は基礎の反復練習をとことん重きに置いてダンジョンやら難しい応用やらはもう少ししてから実践すると言っていた。ダンジョンの基本的な立ち回り方は知識としては知っていても不安がないとは言い切れなかった。

 

「私もですか?」その言葉に白い毛玉を頭に乗せた千菜と直継は頷く

 

「大丈夫だよミノリちゃん。奏クンが今のミノリちゃんとトウヤクンならダンジョンもきっとなんとかできるはずだからって言ってたしー」

 

「そうそう、ミノリちゃん、トウヤ君。兄さんからの伝言だよ『上手いことダンジョンの攻略に成功したらご褒美を用意するぜ。信頼してるよ俺の弟子たち(ドヤァ)』だってさ」

 

「奏のモノマネ上手いな……さすが兄妹」

 

 マイクロフトと千菜の言葉に少しだけ緊張が和らぎ、奏からの伝言が嬉しく感じる。本来であればこの場にいた自分たちの師匠の期待に応えるためにミノリとトウヤはやるきを奮い立たせる。

 

「よっし、ミノリ!やるぜ!明日から〈ラグランダの杜〉だっ!!」

 

「まったく。トウヤったら……もう。私だって絶対にトウヤのレベルに追い付くんだからっ」

 

 

           ◆

 

 

  ─翌日─

 

「今日のミノリちたちはどうでしたかにゃ?マイクロフト。彼らの後ろをこっそりついていってたんでしょう?」

 

「んー?ダメダメだったねー。最初の最初は良かったけど、突発的な事態になった時冷静さを欠いちゃって、そこから先は泥沼さー。

 奏クンの弟子っていうからもうちょっといけるかなーと思ったけど、やっぱりパーティーでダンジョン攻略となると個人の力なんて成功の三十パーセントにも満たないからねー、そこに気づけなきゃ奏クンの弟子失格さー」

 

「ふふっ、そうでしたかにゃー」

 

「ところでさーにゃん太ー」

「何ですかにゃ?」

 

「猫人族って年齢詐称するのに便利だと思わない?」

 

「ノーコメントですにゃ」

 

 

 

 

 


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