天国には理想郷がありまして   作:空飛ぶ鶏゜

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酒と泪と雲と月

「その様子だと無事戻ってこれたようだな」

 

 無断欠勤に対する遠回しな嫌味を乗り越え、流れ仕事(バイト)を終えた後のことだった。スーパーの通用口を出たところで、見知った顔に出くわす。

 銀縁メガネをかけたどことなく柔和な表情は、そう日が経っている訳でもないのに、懐かしい気さえした。

 

「言ったでしょう? そう大事にはならないって」

「そうだな」

 

 立ち話もなんだしと。ついでにおごってやると、銀さん(マダオ)には存在しない甲斐性を見せてくれた鴨ちゃんの後について、居酒屋の暖簾を潜る。とたん、居酒屋特有の喧騒が押し寄せてくる。

 ガチャガチャと食器が触れ合い混み合う店内で、案内係を待つ間、意外だなと隣に立つ鴨ちゃんの顔を見上げる。

 

「なんだ」

 

 その視線に気がついた鴨ちゃんは首を(かし)げる。

 

「いや、一見さんお断りな料亭とか、高級クラブとかそーいう場所に連れて行かれるかと思った」

「そっちの方がよかった……か?」

「違う違う。むしろそんなところ連れてかれたらどうしようか心配した」

「そうか」

 

 どこかほっとした姿に、なんだか面白いモノを見た。お仕着せられた子供の逆バージョンというか。慣れない様子で、身の置き場に困っている姿が面白い。

 そうして、店員に連れられ席に案内される途中。

 

「あれ? キリちゃんじゃないの! それに、先生も。珍しい」

「近藤局長。先生というのは……」

「ああ、悪い悪い。どうも癖が抜けなくってね……カモね、カモ」

 

 鉢合わせした近藤さんは、ボリボリときまり悪そうに頬を掻き、カモ、カモと繰り返す。

 

「近藤さんは一人で?」

「いや、総悟とトシも一緒だ。良かったら一緒にくるかい?」

「それならお言葉に甘えて。いいよね?」

「ああ……」

 

 二つ返事で了承して、鴨ちゃんと一緒に、近藤さんの後を追う。

 

「いいじゃねぇですか。元は国民から絞りとったアブク銭なんだから。弾けさせて還元しやしょうぜ」

「だったらテメェの財布だけ弾けさせりゃあいいだろう、そのすっからかんな頭ごと」

「あっ! いっけね……そういや今日、財布忘れてきたんだった」

「てめぇ、最初からたかるつもりだっただろ」

「いやだなぁ。そんな訳ないじゃないですか。うっかりですようっかり」

 

 小上がりになった座敷にたどり着くと、襟首を捕まえようと手を伸ばす土方さんと、身を引いて避ける総悟の姿があった。忌々しそうな表情を浮かべた土方さんとは対照的に、総悟は人を小馬鹿にするような笑みを浮かべていた。

 

「おお、盛り上がってるな」

 

 近藤さん……盛り上がる方向が違うと思いますよ? とは心の中で、机の中心に置かれた一升瓶を見つめる。

 

「純米大吟醸――あべつ??? なんて読むのこれ」

 

 手に取り、くるりと回してみる。しかし、名前の読み方や、由来など売り文句は一切なく、代わりに、艶のない黒々とした瓶と、巻かれた金の飾り紐が、中身の品質を保証するかのようだった。

 

「ほう、これは……」

「知っているの?」

 

 肩越しに覗き込んだ鴨ちゃんは頷くと、「良くこんなものが」と、睨み合う二人――間に入った近藤さん越しに、土方さんが一方的に総悟を睨んでいるだけだが――に水を向ける。

 

「いやね、いつも懇意にしてくださってるからって、店長じきじきに持ってきてくれたんでさぁ」

()()()()()()()の間違いだろ。大方、仕入れたはいいが、高過ぎて誰も手が出せなかったんだろうよ」

 

 ぶすくれた表情でタバコに火をつけた土方さんはしかし、一息つくと、こちらを見る。

 

「だがま、こんだけの酒だ。俺等だけで飲むにゃもったいねぇ。飲んでくんだよな? ()()()()

 

 渡りに船だと、にやりと笑う顔に、元からそういうつもりだったが、逃げられないなと顔を見合わせる。

 

「それじゃあ、お疲れ様です。乾杯」

 

 近藤さんの音頭で、カチンとグラスが合わされる。いい酒は後からだと、とりあえず注がれたビールをチビッと舐める。

 苦ッ! 良くもまあみなさんこんなものを飲んでいられるモノだと、盛られた刺し身に箸を伸ばし、騙し騙し消化していると――。

 

「そういや、近藤さんが呼んだのか?」

 

 土方さんに話を振られる。

 

「呼んだというか、たまたま会ったから、誘われただけだよ」

「こいつも一緒にか」

 

 行儀悪く、土方さんは鴨ちゃんに箸を向ける。

 

「そうだけど……?」

「ふ~ん」

 

 何? そのにやにやした顔……。何を想像したのか予想はつくが、否定が肯定の意味になりかねないので、声を荒げたくなるのを(こら)える。

 そこに、やり取りを見ていた総悟が割り込んでくる。

 

「気持ち悪く煮崩れた顔を止めるか、副長止めるか、いっそのこと副長の座だけ残して溶けて消えてくれやせんかね」

 

 土方さんはそれに、何か言い返そうとして、結局何も思い浮かばなかったのか、チッと舌打ち一つで、タバコを灰皿に押し付ける。

 ナイスだ総悟! 心の中で拍手を送りながら、チラリと鴨ちゃんを見る。机の向こうで、近藤さんに酒を注ぎながら、照れくさそうに笑っていた。生憎と、二人の声は周りが煩くて聞こえなかった。

 土方さんはあまりつまみを必要としないタイプなのか、箸を手元に置いたまま、杯だけを重ねていく。総悟が手を伸ばし、唐揚げにレモンを絞る。タバスコを仕込まれる前に、横から箸を伸ばしつまむ。うまっ!

 どうにか半分飲み干したグラスを置くと、その隣に空になったグラスが並べられる。

 

「総悟、注ごうか?」

「お、悪いな」

 

 手酌でビール注ごうとしていた総悟に手を差し出す。するとそのまま、茶色の瓶はこちらに渡ってくる。

 水滴が浮いた瓶を見よう見まねで傾けると、にゅっっと伸びた口からとぽとぽと、金色の液体が零れ落ち、飾り気のない寸胴のグラスに注がれ――アレ?

 

「うわっ、おしぼりっ!!」

 

 総悟の悲鳴と共に、泡が盛り上がるように膨らんでいったかと思うと、ダバァっと縁を越え、さながら堤防が決壊した川のような勢いで、机上に広がる。バタバタと四方から投げ渡されたおしぼりが土嚢の様につまれ、机の端から零れ落ちる寸前、惨劇は食い止められた。

 

「…………」

 

 手を伸ばし、おしぼりを抑えながら、総悟が恨めしげに見上げてくる。

 

「ごめんごめん」

 

 手を合わせ頭を下げると、「下手くそ」という悪態一つで許してくれた。

 雑に、おしぼりの山を脇に避けた総悟は、グラスの底に残ったビールをすする。顔を(しか)め、至極不味そうな表情を浮かべていた。

 ビールというのは、そもそもがまずい飲み物なのだという言い訳を心の中にしつつ、店員を呼び、おしぼりを変えて貰う。ついでに『鉄板とろとろチーズオムレツ、プロバンス風味』という、なんとも食欲をそそる一品を頼む。

 そう言えば、よく聞くが『プロバンス』ってどういう意味だろう? 聞けば良かった。チビリとグラスを傾ける。ほらやっぱり苦い。

 程なくして運ばれてきた、熱々の鉄板に乗ったオムレツを独占しながら食べていると、総悟が横から箸を出してくる。

 

――ガチッ

 

 それを箸で受け止める。

 

「いいじゃねぇか一口ぐらい」

「嫌だね。食べたいなら自分で頼めばいいじゃん」

「俺ァ、それが食べたいんでィ」

「小学生か!」

「じゃあ、いらねぇ。そんな、牛の乳が腐ったモンを混ぜた食べ物、食うやつの気がしれねーや」

「ふっ、愚かな。この熟成されたチーズと半熟卵の奏でる二重奏を理解できぬとは」

「……などと考えたのは過去の話。隙あり!」

「だが甘い!」

 

 それから二三応酬の後、一歩も引かない私に折れた総悟が、店員を呼びつけ追加で注文する。

 

「そろそろいくか」

 

 頃合いを図っていたのか、区切りの良いところに打たれた土方さんの言葉で、瓶の蓋が回される。

 酌しようか? と手を伸ばしたが、その上を素通りして、鴨ちゃんが皆の分を注ぐ。――解せぬ。

 

 目の前。グラス半分に注がれた、透明に透き通る液体。花ともフルーツともつかない、だが優しく柔らかな甘い匂いが鼻に抜けていく。恐る恐る舌をつける。

 

「あ、これは意外に」

 

 コクッと飲むと、喉の奥で蕾が開くように開花する。だが、それはしつこく残る事もなく、程よい余韻を残して溶けていった。これは好きかもしれない。

 

「お、いい飲みっぷりじゃないの。もう一杯いっとく?」

「いくー!」

 

 空にしたコップを突き出せば、局長自ら酌をしてくれる。良き身分だ!

 

「おい、近藤さん」

「硬い事言わない。ほら土方さんもかんぱーい!」

 

 止めに入る土方さんに無理やりグラスを持たせ、カチンと合わせる。

 

「お前、酔ってるだろ」

「んー。少し?」

 

 そう言えば、体がフワフワするし、なんだかとても愉快だ。なるほど、酔っているのか私は!

 ケラケラと笑いが止まらなくなる。 

 

「これどうすんだ……その辺にしておけ」

「やだぁー、土方さんのケチぃ、総悟ぉー、土方さんが私のお酒取るのぉー」

「土方の奴はいつもそうだ。肝心の場面でケチくせぇ、その点俺は違うぜ? ほら、飲めよ」

「やったー、総悟大好きー」

 

 けちくさいマヨネーズ野郎を押しのけて、総悟がお酒を注いでくれる。

 

「くそ、俺は止めたからな。シラフになった時、自分の言動に身悶えろ」

「土方。キリ君、酒は強いのか?」

「知らん」

 

 心配顔で鴨ちゃんが机を回り込み近づいてくる。乾杯とグラスを掲げれば、ノリ良く付き合ってくれる。なにがどうという訳でもないのだが、総悟が面白い。

 気持ち良くグラスを傾けると、喉の奥で花が咲く。雰囲気に乗せられ、ますます気持ちが良くなって、酒が進み…………。

 

 

 

 

 気がつけば、体が揺れていた。ぽかぽかとした体に夜風があたって気持ち良い。どうやら誰かにおぶわれてるようだ。

 まだ少しふわふわする体でバランスを取りながら身を起こす。最初に視界にはいったのは、総悟の髪より一段色の薄い、跳ねた後頭部。

 

「気がついたか?」

「んー……鴨ちゃん?」

 

 視点が定まらないまま返事を返す。

 どうやら寝てしまったみたいだ。途切れ途切れになっている記憶を繋ぎあわせ……そのまま頭を壁に打ち付けたくなる衝動を(こら)える。お酒って怖い……。

 そんな私の葛藤を知ってか知らずか、鴨ちゃんは首をよじりこちらを見る。

 

「気分は悪くないか?」

「大丈夫……。それより他の皆は?」

 

 おぶってくれる鴨ちゃん以外は見当たらなかった。

 

「近藤局長もそうとうに酔ってたからな。沖田君と一緒に土方が連れて帰ったよ」

「そーいえば、何か衝撃的なバナナ的な何かを見たような……?」

「忘れた方がいい」

 

 溜息混じりの口調は、既に悟りを開いた人間のものだった。

 だが、モザイクのかかった記憶に、アレに比べれば己の醜態など瑣末な事だと気を持ち直す。

 ゆらゆらと揺れる背中に頭を預ける。再び寝落ちてしまいそうだ。

 アクビを噛み殺しながら、流れる風景に目をやる。へんてつもない木塀、時折、電信柱とすれ違う。街頭はないのに、道は明るい。空を見上げると、ふっくらとした月がかかっていた。満月まであと少し。

 

「なぁ……」

「んー? なーに?」

 

 溜息のようにも聞こえる、ともすれば聞き落としそうだった。ちゃんと聞き取った事を伝えるため、返す。

 

「君は……()()か?」

 

 場に沈黙降りる。

 

「ぷっ……ぷぷぷぷっ、鴨ちゃん……天女って! 天女って!! まるで僕のために舞い降りた天女のようだって? あれ、これ口説かれてる? さては鴨ちゃんも酔ってるでしょ!」

 

 バシバシと鴨ちゃんの肩を叩きながら、体を揺らす。はっきりと目が覚めた。

 

「……『酔っているよ、君に』とでも言えばいいか?」

「そー言えばいいよ」

 

 あーあー。つまんない。折角楽しかったのに興醒めだ。体を逸し、空を見上げると、焦った声と共に、鴨ちゃんが腕に力を込める。

 

「危ないから大人しくしててくれ」

「鴨ちゃん……。鴨ちゃんはさぁ、どこまで知ってる?」

 

 『天女』その単語に行き着いたのならば――。鴨ちゃんは苦々しくその口を開く。

 

「昔、この世界は多重構造になっていると唱えた学者がいたらしい。具体的な仕組みまでは理解できなかったが、上位の層から下位の層へ物質を移動させ、その時に生じる位置エネルギーを流用した対天人用兵器。そんな攘夷戦争時代(過去)の異物がまだ生きていたとはな……」

 

 何度も実験が繰り返され、失敗し、実現しなかった、一人の男の夢――『天ノ羽衣(アマノハゴロモ)計画』。 

 三次元が二次元よりも高位に存在するなんて、妄言だ、ばかばかしい夢物語だと捨て置けば良かった。

 だが、打ち捨てられた研究を『今』になって拾い上げた人間がいた。

 

――田宮厭衛門(たみやいえもん)

 

 金を注ぎこみ、干からびた研究を復活させた人物。それは転換時に発生するエネルギーを利用した爆弾を開発するに至った。

 初の実用実験。それが行われたのは私がこの世界に落ちるのと丁度同じ頃。

 

「テロ。あったんだって? ビルが爆発して多数の死者が出た。過激派攘夷グループは捕まり、事件はそこで終わった。真相なんて知らないよ。証拠もない」

 

 あの時、攘夷浪士が潜伏していた場所に存在していた資料はついでに奪い、燃やした。他にも二、三実験施設があったがそこも不幸な出来事があって、吹き飛んでしまった。

 天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にして漏らさずとは良く言ったものだ。

 

「君は……」

「だから、鴨ちゃんもしらんぷりしてたらいい。私だって知らない。誰も知らないことは存在しないのと一緒なんだよ?」

 

 ゆらり、ゆらり。足を揺らす。鴨ちゃんの体に合わせ、揺れているのか、振り子のような足に共振した鴨ちゃんが揺れているのか。

 

「……帰りたくはないのか」

「帰れないよ。羽衣を奪われた天女は帰れない。知らない?」

「……済まなかった」

 

 ああ、嫌だな。もうちゃんと自分の中で終わらせたのに。燻った残り火が、他人に飛び火する。

 ちゃんと月は綺麗だし、お酒だって美味しい。江戸は楽しい。それでいいじゃないか。病室(あそこ)には何もなかった。こんな温かな背中も、酒を注いでくれる手も、それを止める腕も、一緒に笑ってくれる友人もいなかった。

 ならば、私は奪われたのではない。――事実を確認する。干からびて尽きる命。それを拾われたのだ。

 

「そーいえば、こっちの方向って……」

 

 つい話に気を取られおぶわれるままに来てしまったが、この先は自室が存在する年季の入ったアパートではなく……。

 角を曲がったそこ。街頭の下に銀色に煌めくクルクル天然パーマを見つけた。

 

「誰も君の家を知らなかったのでね」

 

 なるほど、だから万事屋に向かったと。ついでに、誰だ? 銀さんに告げ口したのは、フォロ方か?

 

「オオトラの世話、ご苦労だったな」

「なに、誘ったのはこっちだ。最後まで責任は持つさ」

 

 月はちょうど真上に上がっていた。夜半から呼び出された割りにはべつだん機嫌を損ねた風もなく、銀さんは街頭の下に立っていた。どの道を通っても必ず通らなくてはならない場所。そこで待っていたのだろう。抜け目のない事だ。

 かがんだその背から降りる。

 

「鴨ちゃん、ありがとね……っと」

 

 肩から手を離したときに、足を少しもたつかせた。

 

「オイオイ、大丈夫か? 背借りるか?」

 

 寝る直前だったのか、いつもの着流しではなく、甚平にサンダルをつっかけた格好の銀さんが言った。

 

「んー、大丈夫かな?」

 

 いつもの手を使って酒気を抜いた私に、鴨ちゃんが咎めるような顔をした。だが、銀さんの前でおおっぴらにソレを指摘する訳もいかず、口をつぐむ。

 

「勿体無いことするなお前」

 

 鴨ちゃんとは別の意味で、銀さんは顔を(しか)める。そこからくどくどと、いっぱしの酒飲みってのはな? と始まった説教を、片耳に小指を突っ込んで聞こえないフリをする。

 

「じゃあ、僕はもう行くぞ。くれぐれも変な気を起こすなよ」

「気持ちの悪い気の使い方すんじゃねー。んな気起こそうったって、起きやしねぇよ」

「この前神楽ちゃんから、タマ◯ン握りつぶせばどんな男もイチコロよって習った。そのテクニックを今見せる時?」

「ヤメテッ。それ本当に一つコロっといっちゃってるから! うわっ、想像したらなんか股の間がひゅんってなった」

 

 ふっと鼻に抜けるように笑って、鴨ちゃんは今度こそ、手を挙げて来た道を戻っていった。

 それに手を振り返して、前に進む道と、来た道、両方について思案する。

 

「銀さーん、今日泊まってっていい?」

「そーしろ。俺も、この時間からお前ん家まで送りたかねーよ、地味に遠いし」

 

 元からそのつもりだったのか、銀さんは先に万事屋への道に足を一歩踏み出す。それに二歩遅れてついていく。

 

「ん? 帰るって言ったら送ってってくれるつもりだったんだ??」

「そりゃ、こんな時間から女一人で歩かせる訳にゃいかねぇだろ」

「へー、ほー」

 

 銀さんが、もう大丈夫だな、バイバイと手を振って見送るなんて薄情な事をするとは思ってもいなかったが、そーいう理由で送ってくれるなど……。

 

「何、背筋寒くなるような笑い方してんだよ」

「してませんー。銀さんこそ、気持ちの悪い気の使い方しないでくれますぅ? ちょっと身の危険を感じてしまったキリなのであった……」

「気持ち悪いのはどっちだよ。なに意識しちゃってんの、これだから男に免疫のないガキは……」

「いい年して、女に縁のないマダオには言われたくありませんー」

 

 それからぎゃあぎゃあ言い合って、途中、うるさいとどこかの家からどなられて、小声で言い合いながら万事屋に帰った。そこでまた、どっちが布団で寝るか奪い合いになって、起きてきた神楽ちゃんに怒られた。

 月はやっぱり綺麗だった。




※この話はフィクションです。
未成年者の飲酒は法律で禁じられています。
お酒は二十歳になってから。

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