不可能男との約束   作:悪役

32 / 48
遅ぇ、遅ぇ

10年遅ぇ

配点(今更な話)


終わった話

「───武蔵を英国艦隊としてアルマダの海戦に提供する!」

 

武蔵アリアダスト学院副会長、本多・正純のこの一言によって会議は間違いなく止めを入れられた。

終始、こちらに妨害を入れていた前田・利家、否、この場合は傭兵王、ヴァレンシュタインですらそれ以上の価値を持った商品を提供することが出来なかった。

だが、それでも前田・利家は素の笑顔のまま武蔵に気になる一言を告げた。

 

「"花園(アヴァロン)"に行ったことがあるかい?」

 

花園

 

その言葉だけは知っている。

それは浜での焼肉の時、傷有りという名前しか知らなったメアリから教えられた言葉であった。

それも公主隠しについて問うた時に教えてもらった言葉である。

英国のメンバーがその言葉に反応するのを見届け、そして前田・利家はこちらの反応を見届け笑みを浮かべた。

特に感情を込めていない笑みを。

 

まだその程度しか知らないのか、と。

 

その嘲りに近い言葉と一緒に自分達を置いて行って去って行った───二境紋という更なる謎を置いて。

一難去って一難という諺があるが、生きている限り一難所か百難くらい簡単に来る気がする。特に武蔵にいていると、と正純は心の中で溜息を吐きながら仕方がないと思う。

ワーカーホリックの気があるのは自覚しているので前向きにやる事がたくさんあると思うのが吉だ。

極東人というのは元々、そんな気質だからな、と誰に対しての言い訳をしているのやら、と自分で自分に苦笑しながら会議の解散に身を委ねようとする。

まるでHRが終わったみたいに全員で会場から立ち去ろうとした時に声をかけられた。

私ではない名で。

 

「おい、熱田・シュウ」

 

呼びかけた人間は妖精女王であった。

呼びかけた人物や呼びかけた事自体よりもその呼び名に引き留められた本人以外と葵を除いて振り向いて怪訝な顔をする。

妖精女王は役職名ではなく個人の名で馬鹿を呼んだ。

それはつまり公的な話ではなく私的な話をするという意味なのだろうけど

 

……妖精女王と馬鹿が私的な話?

 

うちの二大馬鹿の一人と私的な話をする妖精女王の話題といえばという事件を解決するには情報が全くない。

他の面々を見ると自分と似たような表情を浮かべているのがほとんどだ。

浮かべていない馬鹿は録音や録画に走っている。

誰とは言わないが、よくもまぁ、そこまでやるな。ネタか? それとも金か? そうか両方か。

金になるなら私もやるべきか?

ともあれその言葉を聞いた当の本人は無視するどころかわざと耳を塞いでそのまま逃げようとしている。

流石の無礼さに浅間がちょっとっ、と苦言を入れようとするが珍しく熱田はそれを聞いても突っ切ろうとする。

他の誰かならともかく浅間の苦言すらも無視して妖精女王の言葉を聞き入れようとしない熱田に眉を顰めているとおいおい、という苦笑付きのワンテンポを置く言葉を吐いて

 

「そう嫌うなよ───せっかくご家族は幸せ(・・・・・・・・・・)そうなのに(・・・・・)

 

「───」

 

熱田の方を見ていた人間だけが彼の無表情を見た。

何時も何らかの感情を張り付かせていた顔には代わりと言わんばかりに無を張り付かせていた。

その表情に英国はおろか武蔵の役職者が思わず何か反応を取ろうとしているのを正純は見───そこで何時ものように心底面倒くさいという表情を出した熱田のお蔭でまた場は静止した。

ぱたぱた、と手を振って熱田は周りに気にすんなと伝える。

それを聞いてやっと皆が緊張を解したのを見て、そこで熱田はようやく妖精女王に振り向いた。

表情はやっぱり面倒という感情ただ一つであった。

 

 

 

 

「随分とまぁ悪趣味だな。妖精女王というのはひょっとして悪趣味の代名詞という意味だったのかよ」

 

「流石に自覚はあるから許せ……と言いたいが女の誘いを無視しようとする貴様の無礼さもあったのがいけないな。男を誘おうとしている女を無視する男には多少の悪戯は許容するべきだろう? それに妖精というのは元来悪戯好きでな」

 

抜かせ、と言わんばかりに鼻を鳴らすシュウ君を見て不安に思いながらも成り行きを見守る浅間。

幼馴染という自惚れ目線で既にシュウ君のテンションが完全に超不機嫌になっている事は察しているし

 

どうして妖精女王がシュウ君の家族の事を……

 

国家を背負う人から他国の人間の家族について知っていると言われると嫌な予想しか思いつかないのは思考の幅が狭いからだろうか。

でも本当にそんな予想の場合、間違いなく彼はこんな風に不機嫌なだけで終わるはずがない。

その場合、正純の交渉結果が全て台無しの結果になる気がする。

 

・あさま :『平和っていとも簡単に無くなりますね……』

 

・銀狼  :『非常に重い言葉ですけど本気で副長に暴れられたら洒落になりませんわよ……』

 

・金マル :『英国終了?』

 

本当に洒落になりませんね……と思わず唾を飲み込む。

ぶっちゃけた話───シュウ君の上限がどこまでなのかさっぱりという話である。

立花・宗茂との相対や三征西班牙、英国での相対でも実力の一端は見せていたがそれら全ては剣神という枠内の実力である。

スサノオの代理神というのならば本領はあくまでも暴風神。

日本神話における国生みの神である伊弉諾尊の息子にして日本最大の竜である八岐大蛇を下した最古の英雄。

神に仕える巫女の視点……と言っても浅間神社が祀っているのはサクヤだ。

同じ神とはいえ役割が違う。

サクヤは安産や子育ての神であり、スサノオは暴風神。

だから、知っているのは彼の神社の巫女である留美さんや正純を助けてくれたハクさんくらいだろう。

まぁ、でも間違いなく……チートなのは確かだろう。

彼と相対している妖精女王と同じくらいに。

 

「で、何のようだ耳年増。正直、聞きたくねぇから無視していいか?」

 

「そこでTes.と答えるのなら声をかけるはずがないだろう? 何、私は先達(・・)としての貴様と話したかったというのもあるが───同時に思った事があってな」

 

「回りくどい。一気に言え」

 

他国の代表を相手にも不遜の姿勢を崩さないシュウ君に妖精女王は愉快だと言わんばかりに微笑し、Tes.と答え

 

「簡単な話───貴様にとって武蔵は居心地が悪い場所ではないのか?」

 

もっと分かりやすく言えば

 

「貴様にとって周りの人間は少々眩しい存在ではないのか?」

 

などという私にはやはり理解出来ない言葉を投げつけた。

思わず、周りと一緒に呼吸すらも停止するが投げられた本人は何も変わらずに面倒臭いという表情のままであった。

 

「どーでもいいがそのおめでた発想はどこから生まれた? 脳の病気なら病院に行っとけって言ってやるし、いらん同情や憐みなら大・き・な・お・世・話・だ」

 

「ははは、じゃあ良かったではないか───妖精女王からの大きなお世話だ。何かいい事があるかもしれんな」

 

ふむ、とシュウ君は何か頷くと唐突にこちらの胸をわし掴んだ。

思わずこちらが笑顔で固まるが本人は気にせずに

 

「成程……ドレスの時のノーブラは別枠……確かにこれは良い事だぜ……!」

 

とりあえずホライゾンに頼んで悲嘆の怠惰を出してもらって思いっきり後頭部を叩いた。

じ~んと腕に振るえるような手応えと

 

「くふっ」

 

という息が漏れる音を出したと思うとゆっくりシュウ君は倒れた。

無駄に凝っているとは思うがまだ真剣な話の途中だ。

面倒とは思うがとりあえずやれやれ、という感じになって

 

「ほら、シュウ君。無駄な芸はいいんでさっさと起き上がってください。加護があるからノーダメージでしょう?」

 

「……浅間。この賢い姉が乳に栄養が行ってしまったエロ巫女に言うけど───大罪武装だから加護貫くわ」

 

え? と喜美に言われた言葉に反応しながら倒れた本人をよく見ると後頭部が赤く腫れ上がりながら動かないシュウ君であった。

 

「え、う、うわっ、ちょっ! わ、私、無罪ですよね!?」

 

・ウキー :『いきなり保身から始めたな』

 

・金マル :『ここまで目撃者がいるのに保身に回れるから凄いよね』

 

・〇べ屋 :『まぁまぁ。ほら、アサマチみたいなのは悪いことすると見苦しく足掻いて最後まで冤罪だって抗うタイプだから』

 

己……! とその言葉全部返したいのだが今は目の前の惨劇が大事だ。

英国側もわざわざ表示枠を使わずにひそひそ声で

 

「Oh……」

 

「シッ」

 

という感じでつまり危険だ。

このままでは浅間神社代表に殺人……というより神殺しの疑いがかかってしまう。

巫女としてその汚名だけは避けなくては……! と思い、とりあえず生きているかどうかを確認しようと思って膝を着いて彼の頭を見るとよく見ると何時の間にか俯せだったのが仰向けになっており

 

「……シュウ君。どうして頭を上げているんですか?」

 

「分からねえか? ───膝枕だ」

 

ふぅん、と頷いといて

 

「じゃあこっち見ないで下さいね? 見るとやりませんから」

 

そう言って浅間は彼の頭の下に敷いた───悲嘆の怠惰を。

全員の無言の中、熱田は満足の表情を浮かべたままそのまま手を載せている悲嘆の怠惰に向ける。

 

「おいおい智。偉く足が固くなってんじゃねえか。ドレスの中に防具とか詰めてんじゃねえだろうな?」

 

「あ、あんまり無遠慮に触っちゃダメですよ? 色々と繊細で大事なモノなんですから?」

 

「そりゃ無理な相談って、お、おお! こ、ここには何か穴が……! 非常に興奮を生み出す意味深な穴があるなあるな!?」

 

「あ、だ、駄目です! そこは駄目です! だってそこはここで押しちゃ駄目なものです!!」

 

「ならばこの何やら感じる突起は智の弱点部位か!?」

 

躊躇わずに馬鹿はトリガーを引いた。

 

「来い! 愛の到来!!」

 

全員が慌てて銃口から逃れるがホライゾン以外が撃っても意味がないんじゃないかと思うと当の本人が密かに撃つのを手伝うかのように馬鹿の指を蹴ったので結果、悲嘆の掻き毟り(弱)が発射された。

全員、見事な反応したがやはり馬鹿だけ反応が遅れて吹っ飛んで行った。

何かボケようと口を開こうとしていたが、ホライゾンがそこについさっき判明した収納空間から何かを取り出してアンダースローで見事に口に何かを放り込んでいた。

だが、芸人は諦めない。

吹っ飛ばされながらも身振り手振りで飛んじゃいながら口まで犯されるの~などと伝えてきた事に流石……と思って壁に刺さる半裸を無視した。

もう一人の馬鹿もよく見れば凄い勢いで吹っ飛んだのか。元の場所にはおらずにトーリ君とは逆の方の壁にぶつかって、しかも勢いを殺せないままブレイクダンスをしている。

余りのおふざけに流石に叱らないと、と思い

 

「ちょっとシュウ君! お偉い人の前で何をブレイクダンスしているんですか! ちゃんとした態度で接しないと相手に失礼ですよっ」

 

「お前が一番掻き乱してんだよ!」

 

全員の叫びに浅間は耳を塞ぐことによって防御した。

だがこちらの叫びにシュウ君も反応してばっ、と起き上がり

 

「そうだな……智。今は真面目な時間だな……」

 

・銀狼  :『……智。私、何か言いたい気がするのですが……』

 

・約全員 :『シッ』

 

くっ……! と唸りそうになるがとりあえず本人が復活したので良しとする。

だが、しかし

 

私達がシュウ君にとって眩しい存在って……

 

今度はネタ抜きに考えるが、そんな事はないとは断言はしないがそんな風に考えられる要素はどれだろうと思う。

真っ先にあるのは単純に金であるが全員が商人を見て、違うな……という感じに首を振るのを見て考えている事は一緒かとは思う。

同時に皆も答えに辿り着いていない事も理解する。

だって彼はそこら辺に関しては無欲というか無頓着だ。

実家が極東有数の戦闘系神社であるからか、本人の性格からか。

多分、後者だとは思うが贅沢というのにはそんなに興味を抱いていない。恐らく日々の生活とエロゲを買うお金があればいいと思っているんじゃないだろうか。

唯一の欲がエロなのは健全なのか不健全なのか……考えるとおかしな方向になりそうだから無視する。

となると更にありがちな才能か。

でも、それこそ各々違う在り方でそこを突出している。

彼が戦闘面で突出しているように、正純が政治の面で突出しているように。

どちらも問題漢の自分ですら凄いと言える様なモノを持っているのに。

そして彼は副長である自分を満足しているように思える。勿論、まだまだ上を目指すことは止めていないのだろうけどそれでも武蔵の中で最高と言えるからこそその座に着いている。

その彼が

 

一体どうして私達を眩しいなどと思うのだろうか?

 

「で? その下らねえ妄想に思い至った理由は結局なんなんだよ、妖精女王」

 

「ま、それは貴様の言う私の悪趣味な部分によるものが一番の原因ではあるかな───何せ目に映るからな」

 

フン、とまた小さく鼻息を鳴らして続きを催促する彼を妖精女王は今度はその顔から微笑を無くし、真剣な眼差しで

 

 

「何よりも───貴様が親友と称する彼は大事な人を取り戻した。取り戻す事が出来た」

 

 

唐突な話題転換とし思えない言葉に浅間は条件反射で親友と称されている人を見る。

彼は何時の間にか穴から脱出しており───そしてやはり決してシュウ君の方を見ていなかった。

見ることを自分に許さないかのような姿勢を崩さないまま、けど決して耳までは塞がずに彼に向けられているはずの妖精女王の声をまるで自分に向けられているかのようにも見え

 

「……別に俺は何も失っていないぜ?」

 

「そうだ。貴様は何も失っていない───ただ、そこにあるだけだ」

 

浅間にはもう二人が何を話し合っているのか理解出来なかった。

当事者にしか理解できない会話に、しかし私は踏み込んではいけない会話を無遠慮に聞いているようで罪悪感すら感じそうになる。

だけど、やはりその思いは無視され、妖精女王の言葉は彼に放たれる。

 

「周りは取り戻す生き方を選び歩んでいるというのに貴様は余計な荷物を背負って這いずっているようにしか私には見えん。なぁ、熱田・シュウ。それでもお前は───今こそ疾走して駆け抜けよう、などと言えるのか?」

 

「……」

 

ふぅ、と一区切りをつけるように彼はその言葉を溜息と共に受け入れ、面倒な表情を捨て去りただ視線と一言だけで

 

「Jud.たりめぇだ」

 

斬り捨てた。

 

 

 

 

 

熱田はその斬り捨てると同時に再び面倒な表情を張り付けながら言う。

 

「そんなネシンバラが好きそうなお悩みシーンを今更持って来て説教しようだなんて十年遅いわ妖精女王。大体……そんな青臭い考えで悩んでいるくらいなら戦うのを選ぶかっつうの」

 

全くもって面倒臭い。

何故ならこれは既に完結した事柄である。

言葉通りに十年前に解決して、終わった話だ。

既にその話は俺の内側でただ残り続けるモノだ。縋り付くものでもなければ、主張するものでもなく、そして引っ張り続けるものでもなかった。

 

「大体、妖精女王……面倒だからようじょ」

 

「おい! 熱田! 問題発言をするな!」

 

あ? 別にいいだろ正純。言われた本人はむしろ喜んでいるんだから。

 

「そういう説教キャラは後のキャラ人気投票にえらい影響出るぞ。何せ人間、叱られるのが大好きな業の強い人間以外は面倒な人間が多いからな! 後の追加版に出たいのなら人気は大事にしておけ……!」

 

「貴様……今、何の話をしている……?」

 

「未来の話に決まっているだろ馬鹿野郎……!」

 

再び背後から後頭部を思いっきり叩かれる。

感じ方からしてやはり智だからつまり容赦がない。

一瞬、意識を失うが負けてはいけないという意地で意識を復活させ体勢を整える。ついでにパンツを頭の上から顔面の位置にくるように調節する。

ぬぁぁぁぁぁぁぁぁ!!? と背後から聞きなれた少女の悲鳴が聞こえるがきっと幻聴だ。

勢いよく鼻から息を吸い

 

「いいか!?」

 

「それが妖精女王に対する態度か!?」

 

「男に聴いてみろ! 絶対に一度はやってみたいと思った事があるって言うからよぅ!」

 

ようじょが女王の盾符の男衆を見ると全員がそんな事はないない、と言わんばかりに首を振るうがとりあえずようじょが何やら椅子の手すりを探っているとベン・ジョンソンが立っている床が開いた。

 

「Oh------──────」

 

アスリート詩人が重力に逆らえずに落ちていく様を見て、ふむ、と頷きながら仕方がないからパンツを頭に被せる形態に戻しながら

 

「それに俺は別に誰に強制しているわけでもないし、人の為に行動しているわけでもないから周りがあーだこーだなんて至極どうでもいい。俺が戦うのは俺が心に思い浮かんだ通りの理由に沿って動いているだけだ。そういう生き方が性に合っていたし、そこに不満もないし、後悔もない。だからお前の言う、それは本当にどーーでもいい───どんな馬鹿げた荷物を背負っても道を変える理由になんざならねえよ」

 

自分の言葉に全くその通りだと内心で頷く。

嫌々な気持ちを抑えて俺はここを望んだのではなく、仕方がないからここに立っているわけではない。

それだけは例えトーリだろうが智だろうがその他馬鹿の連中のせいではない。

友情や愛情があるからこそこの道を選んだのではなく、ただ俺がここがいいと願ったからここにいるだけ。

だから周りだけが幸いの道を行っているように見えるだなんて言われても気にする気なんてない。

むしろ本望だ。

 

「口には出してないかもしれないが俺の考えなんて一つだ」

 

「ほぅ? それは何だ? 教えてくれないか?」

 

「シンプル過ぎて教えるなんてもんじゃねえよ───邪魔するものは叩き斬る」

 

成程、と妖精女王は心底納得したという風に頷き

 

「貴様。自分が完璧に正しいと自惚れているのか?」

 

その言葉に思わず笑いが込み上げる。

無論、侮蔑的な意味合いではなくちょっとした笑いの意味だ。

成程、確かに自分の主張を取りまとめたらそんな風に聞こえるようにも思えるし、そう取られても仕方がないかもしれないという意味の笑いだ。

だからこそそれは勘違いだと笑って否定する。

 

「んなわけねぇよ。完璧に正しい? まさか。別に正しさなんて求めているわけじゃねえが……それでもこんなのただの邪神の理だってくらいは理解しているぜ」

 

正しい、間違っているを論じるような今時に興味はないが、まぁ他人から見たらただの傍迷惑な存在にしか思えないだろうなぁ、くらいには思ってはいる。

でもまぁ

 

「暴風っていうのはそんなもんだろ?」

 

 

 

 

成程な、と妖精女王は今度こそ理解した。

この男は熱田の血族だからこそ暴風神の代理神になれたのではない。

己が生き方こそが暴風の在り様だから暴風神に見初められたのだ。

他者の人生を傍若無人に切り捨て、我が道を突き進む。

暴風の中心は今でこそ無風などと言われているが、神代の頃には暴風の中心点には何かがいると恐れられていた。

神がおわすと畏敬の念を集めた。怪物が暴れていると恐怖を感じさせられた。

この少年はそれを生きながらに体現してすると言う。

その気持ちも心情もどちらかと言うと私には好意的には思える。そういった人間は厄介とは思うが個人的な意見のみならば好ましいと思う程度には気に入るだろう。

だが、妖精女王の視覚は別のモノも捉える。

人の流体を視覚で見る事が出来る自分が彼を見るとまるで違う物が見える。

視えるのはこれからの期待や今の面倒という色も見えるが

 

───それ以上に莫大な疲労とただ幸いの色を映す煌めきが視える。

 

酷いツギハギだ。

立って、まるで何事もないように会話をしているのにエリザベスは嘘偽らずに賞賛に近い驚愕を得ていることを認める。

流体の色からしてかなりの疲労である事は確かだ。

倒れそうになる一歩手前の疲労の色合いであり───恐ろしい事にその最悪一歩手前の体調で彼のポテンシャルには陰りが見えない。

いや、陰っているのかもしれない。

実際、戦闘記録を見る限り前線に出る事がほとんどないので可能性だけの話になるが私と彼とが相対した場合、正直負けるとは思えない。

まぁ、もっとも性能が互角であったとしても負けるしかないなどと思う事はないのだが。

噂通りならば明らかに性能は落ちている。

 

性能が落ちているのはそれだけではない気がするがな……

 

今日のジョンソンとの相対でジョンソンが告げられた言葉を信じるならば、の話ではあるが。

普通に考えて正気ではない。

そんな状態で剣を握って戦場に向かうなど私、今から自殺しに行きますね? と笑顔で行くようなものだ。

だから、戦闘時の記録映像を見た時に驚愕した。

馬鹿げた事に、この少年は戦闘というシーンに切り替わった時、その肉体や思考からも疲労という事実を忘れ去っている。

一種の精神が肉体を凌駕している、の典型例だ。

無論、余程の集中力で行っているのならよくある事である。

戦場でなら尚更に。

何せ一つのミスで命を落とす場所だ。集中力を失くした人間から危機を迎える。

だが、逆に言えばそれは過度の緊張状態になるという事だ。

戦場とは出来る限りがつくが万全の状態で挑むべき場だ。

だが、しかし、この少年は少なくとも現状の状態ではその万全を持って挑む事が不可能だ。

 

皮肉な事に、望んだ現状になるという事は彼にとって莫大な不安と疲労を得る生活になる。

 

無論、副長職というのはそういうものだろうと言われたらそうであると答えられる。

だからこそ副長職には国としては最高のコンディションを持って挑ませるべきなのだが

 

・副長  :『じょじょ女王陛下? な、何かあったでしょうか?』

 

我が国もある意味余所の事を言えぬな。

まぁ、それには愛い事情があるので良い事にする。

それに流石に武蔵としても今直ぐにこの少年を休ませる訳にはいかないのだろう。

何せ、世界征服を本格的に始める前の大事な時期だ。

その中で間違いなく戦闘系の役職者の代表である彼は中核とならなければいけないし、有事の際の切り札とならなければならない。

副長なら当たり前の事ではある。

当たり前の事ではあるが

 

……背負い過ぎ、というのは彼を侮辱する言い方だな。

 

少年にとってそれは好きでやっていることなのだろう。

彼の言葉を借りるなら彼の心に思い浮かんだものに従っているだけなのだろう。

だがらその愚直さに早計な人間は彼の事をこう評するかもしれない。

 

正気ではない、狂っている、と。

 

だが、真実の彼は───必死なのだ。夢を叶えようと。

子供か、と妖精女王は思う。

大人は夢に対してそんな眩しい物を見る目と姿勢で追わない。

夢に対して現実的に考え、理論的に可能か不可能かを考えて身の程を考える。

そして次に大体の人間が自分には無理であったと夢から視線を逸らす。そしてそれ以外の人間がそれでも、という思いで努力を重ねる。

そしてそこからまた挫折するか成功するか、努力を更に重ねるかに分かれるのだが。

だが、この少年は夢をまるで光輝くモノのような姿勢で追いかけている。

 

夢とはどうしようもなく尊く、だからこそ追いついて手に入れたい、と

 

子供か、と再び思う。

妖精女王と言われ、自分でも時たまネタにしている言葉でロマンと使われるが、目の前の少年に比べたら自分が如何に現実的なのかを知る。

ジョンソンはこうも言った。

間違いなく彼が年齢にそぐわない"死"を体験しているのは確かだと。

総長連合に入っている者だ。特別不思議な事ではない───と言いたいが、ジョンソンは恐らくそれを踏まえて(・・・・)こう言ったのだ。

間違いなく自らの意思を持って生き地獄を味わったはずだ、と。

それでもいい。それが自らの意志であってもそれを支える何かがあればいい。地獄を踏破した後に安らぎがあるならばそれは救いだろう。

 

だがこの少年は……

 

そんなものを持っていただろうか?

身内の梅組のメンバーは身内過ぎてそんな事を言い出せるような仲には見えない。私達ですらそんな事を軽く言い合えるような仲ではない。

浅間神社代表は恋仲なのかと思えば、何やらジョンソン情報では初デートらしいし何か曖昧な関係らしい。ヘタレか。

熱田神社は仕組み的に彼を敬い、畏怖する側になるはずだ。力にはなれど支えではなくむしろ彼が支えの柱にならなければいけないはずだ。

ならば外からだが……外からには最近まで彼は武蔵総長と一緒で無能の烙印を得ていた。

実際、評判に関しては最近は良くなったらしいがつまりはそれ以前は語るまでもないという事だ。

そして家族は正しく文字通りに後悔(チカラ)になった。

つまり、この十年、彼を支えたのはただ己の意志だけだ。意志のみだけで彼は十年間のフルマラソンを乗り越えてきたのだ。

身内からは期待の念を預けられ、周囲の人間は彼に対し嘲笑や見下しの目線を向け、家族にはただ重みを背負わされた。

武蔵総長は本当の無能だが、だからこそ支える人間がいただろうに。それこそ彼の姉辺りがそうなのだろうと思う。

私ですらそうだ。口では言わないし、能力的な事も含めて支えは間違いなく必要であった。

性格とかそういう問題ではなく、生物として誰かが居なければ、誰かの力がなければ、人間も鬼も妖精も霊体も竜もその他諸々の種族も性能が落ちていくものなのだ。

そこまで考え……聞きたかった事を聞いていなかった事に気付き、思考から現実に帰ると熱田は勝手にこっちに背中を向けて去ろうとしている。

おい、と声をかけようとした。

まだ聞きたい事を聞いていないと。

だが、その前に

 

「ああ。そういや一つだけミスがあるだろ」

 

意図と意味が分からぬ突然のミスの指摘。

条件反射で過去を思い返すよりも早く少年、自らが答えを出す。

 

「何やら人の事を勝手に先達とか何とか言ってるが……それは間違いだろ」

 

言葉を耳で咀嚼し、理解する。

自分はお前の先達ではない、と。

確かに、と思う思いはある。

同時に違いはないだろう、という思いもある。

差異は確かにあれど私の辿る道はお前が辿った道とそこまで変わらないだろう、と。

無論、過程も結末も同一なものではない。ないからこそ傲慢にも話を聞きたいと思った。

だから、私は口を開けてこう言おうかと思った。

 

それは違う。私と貴様では選んだ道も答えも違ってはいたが、その道によって見せられたモノは似たものだったはずだ、と。

 

だが、それすらも彼の口で閉ざされた。

 

「だってお前は少なくとも責任は取ろうとしている───俺より立派だよ。何せ」

 

 

───責任を取るどころか罪すら得られなかった。

 

 

「───」

 

音にならなかった言葉を意思で届けた彼は周りを停止させながらも、気にせずに軽薄そうに手をひらひらとこちらに振りながら

 

「ま、やりたいようにやれよ。女王なんだろ? 好き勝手生きていくのが吉だ。そこの全裸を見ろ。フリースタイルだろう? ああ、だからと言って全裸になりゃいいってもんじゃねえぞ? それは売れない芸人の犯罪行為だからな」

 

「お、オメェ、今、俺を全否定しただろ!?」

 

武蔵のメンバーが全員無視したからこちらも流れに乗った。

 

「私に躊躇いがあるとでも言うつもりか?」

 

「は? 知るかよ? 俺はその方が人生楽しいんじゃね? って言っただけだ。会って一日も経っていないようじょ相手にどうして俺が理解を示さなきゃいけねえんだよ。安易な同情が欲しいなら昨今の神肖動画(テレビ)で大量増殖されている鈍感ハーレムタイプの主人公(馬鹿)にでも頼んどけよ」

 

「生憎だが、私はエリザベス女王の襲名者だ。それに何より浮ついた言動と行動で身売りする程、自分を安くした覚えはないな」

 

「そいつは奇遇だな。俺も簡単に自分を売る女は好みじゃねえ。ついでに気軽に女を口説く言葉を自覚を持ってならともかく無自覚に吐く男もどうかしてる」

 

うむ、と二人揃えて視線を合わせずに納得の首肯をする。

どうやら恋愛観に関しては似たようなものらしい。いや、違う。問題はそこではない。

問題はそこではないというのに本人は一人去ろうとする。

去ろうとする方角には当然、出入り口があるが……そこには武蔵総長兼生徒会長がいる。

未だにこちらに背中を向けたまま……しかしまるで友を待つかのようにそこに立っている。

そして剣神は迷いのない足取りでその背中に向かっていく。

まるでそこに行くのが当たり前のように。

まるでそこに行くこそが望みという風に。

とりあえず、この男は私の言葉なぞ聞く耳も持たないという事は分かった。

だからこそ、聞く気がなかった言葉を聞いてみた。

 

「貴様は今、幸いなのか?」

 

間があった。

だけどその間に音は無かったが、その背中から何故か確信に近い形で彼がどんな反応をとったのか二つに絞り込めた。

 

苦笑か───微笑だ。

 

どちらの反応か。

結局、答えを得る事が出来ないまま答えは返ってきた。

 

「Jud.当然だとも───何せ俺は自分の道を選べてる。俺が望んだ幸いの道を。それを疾走してるんだ……贅沢だろ?」

 

 

 

 

ミトツダイラは膝を着きそうになるくらいの敗北感を感じていた。

否、敗北とすら言えないかもしれない。

何故なら彼が語りかけていた相手は妖精女王であり、彼の強さは全て自身の内に向けられていたのだから。

ミトツダイラは見失いそうであった。

誰かをではない。

余りの虚脱感に視野挟角に近い症状は起きているが、視覚は生きている。

だから見失いそうになっているのは自分の内にあったものであり、その名は自信と呼ばれるものであった。

今までの人生が片っ端から否定されていくような錯覚を覚えてしまっている。

無論、そんな事はないとは頭では分かっている。

今の第五特務という立ち位置も我が王の第一の騎士であるというのも自身の今までの在り方から得たというのは理解している。

頭では分かっている。

 

 

でも心が今、並んで出て行こうとする二人を見ているとそう思えない───

 

 

余りにも自然で当たり前のように並ぶ二人。

堂々としているなんてレベルではない。まるでそれが世界のルールであるかのように、あの二人は歩いているように見える。

最早、嫉妬すら覚えないというのはこの事だ。

総長は今の会話に何の反応もしていない。反応する必要がないと理解しているのだ。

 

・○べ屋 :『とりあえず今までの映像全部取ったけどナイトいる?』

 

・金マル :『自前で撮ったからお金は払わないよん』

 

どちくしょーーーー!! とこちらのシリアスを壊すつもりのように見える商人の狂行はとりあえず無視するが。

ああ……、と本気で感嘆の吐息を吐く。

ミトツダイラは知っている。

彼がかなりの疲労を抱えている事を。

そのせいで間違いなく体の動きや反応が鈍くなっているの事を。

訓練を経て、ようやく気付いた事の一つだ。

ただ最初は本当に気付けなかった。

理由は簡単だ。

もう彼にとって疲労を抱えているのは当たり前の事になったからだ。

自分の性能が落ちている事を前提に動いている。

余りにも当然な事だ。

自分達は知っている。

本人は隠しているつもりではあったのかもしれないが、聞いた通りならば恐らく十年前の我が王との約束の日から副長はずっと疾走していた。

小等部では恐らく肉体と基本を突き詰める地味な基礎鍛錬を武蔵の自動人形や自身の神社で詰め込み、その後、中等部で彼は技術だけではなく経験が必要だと思ったのだ。

そして結果は一年の時は一週間に一回は血まみれでぼろぼろになって帰ってきた。

二年の頃は三日、四日の周期で肉体を砕かれていた。

だが三年の頃には疲労と多少の傷を残して日々を過ごしていた。

どんな相手と経験と積んできたのか。

実に単純な話であった。

武蔵で相当な力を持っていて当時の彼を確実に上回るような相手など大量にいる───例えば総長連合と生徒会と教員、もしくは武蔵に流れてきた実力者だ。

クラスの皆はその事実を知っている。

私の場合は偶然、彼と相対した人間と出会う事が出来たからだ。

そして私はその人に対して他のメンバーが知っているのか分からない質問をした。

勝負の内容はどうだったのか、と。

そしたら

 

「勝負の内容なら間違いなく自分の勝ちだった」

 

攻撃力はともかく技や経験、流れ、閃き。

どれも自分が間違いなく勝っていた、と。

だが

 

「勝ちだったが……全く勝った気がしなかった。否───何をやっても勝てない(・・・・・・・・・・)んじゃないかと錯覚した」

 

怪物だった、と当時の自分にはまだ理解は追い付いていなかったがかなりの歴戦者だったであろう人は心底恐ろしい者に出会ったと言外に隠そうとして、しかし体が震えてしまったのを自分は見た。

もしかしたら副長が一番怪物染みていた時期は中等部の頃であったのかもしれない、と冗談にもならない事を高等部に入ってからよく考えたものであった。

経験や実力が足りていなかった時こそ一番恐れに満ちていたなんて笑い話にならない。

傍から見たら狂気に近い……いや、もしかしなくても狂気なのかもしれない。

だから本人ももしかしたら先程、己を笑ったのかもしれない。

 

自分の所業は邪神の理だと。

 

実に清々しく笑ってそう言っていた。

間違いなく、それが文句があるならかかって来いという意味でも。

何もかもが上に行かれている。

実力だけならミトツダイラとて納得はする。悔しくは感じるが、それに10年を懸けた副長の努力の一端を知っているならば納得は得る。

 

ただそれ以外の覚悟や執念というものが余りにも遠くに感じて───心が折れそうになる。

 

自分もそこに(・・・)行きたいのに。

自分がそこに(・・・)辿り着くイメージを全く想像する事が出来ない。

 

ミトツダイラは見る。

そこにはもう去っていく彼の背中が見える。

まるで自分を置いていっているようにというのは余りにも被害妄想が激し過ぎるというのを理解しても過ってしまう。

 

背中

 

位置関係上、見えてしまうものであり───かつて自分が無様と共に得るはずだったものをその頼りになる背中が守ってくれた記憶がミトツダイラにはある。

忘れてはいけない記憶だ。

そして忘れられない記憶だ。

当時の記憶よりも間違いなく大きくなった背中。

それを見て思う。

 

私は……あの背中に……

 

本当に追いつけるのだろうか。

答えは当然帰ってこない。

帰ってきたとしても怖くて耳を閉じたかもしれない。

余りにもネガティブ感情に最後に残った理性が溜息を誰にも聞こえないようにさせた。

それで出来る限り気分を入れ替えないといけない。

私は我が王と約束を持って第一の騎士となったネイト・ミトツダイラなのだと。

そう思いながらも

 

まるで約束に縋りついているようですわね……

 

と、最後まで自嘲の念を禁ずる事が出来なかった。

やはり、ミトツダイラの視界には彼の背中が見えた。

 

並ぶ事も超える事も出来ていない、あの背中が。

 

 

 

 

 

 

 

 




か、書き終わったぜ会議終了ーーーー!! 後は最大の難関のアルマダだーーーーー!! まだ二巻下なのかこれ……!?

またもや長い間お待たせして申し訳ない……! 悪役です! ああ、一体、何人覚えてくれているやら。

ともあれ今回でもうかなりカットしましたが会議終了です。というか会議に手を付けれる場所が全然無かったが故の結果ですが言い訳ですね、申し訳ない!
と、とりあえず今回はようやっと熱田の多少、過去に触れる話です。
この会話でかなり見抜けた人がいたら凄い。後で全裸を土下座に行かせます。

内容にあったように実はうちの剣神───実は性能大暴落中です、あはは───冗談じゃないんだこれが。
敢えて数字で表すと25%くらいですかね。
彼の疲労への止めは生徒総会で行く、と決めた時ですかねぇ───あれが彼にとって一番の安堵だからこそほっとしてしまいましたし。
まぁ、だからエリザベス女王の言う通り───と、言える様な可愛げがあるようなレベルじゃないんで安心してくださいククク。

ミトツダイラに関してもこれはある意味原作とかけ離れています。
何せ一人原作と違って異物が紛れているのが二次創作ですから。多少、やはり性格や意思の部分で変化が起きています。
このネイトはちょいとネガティブに入ってます。特に副長関連で。
だからそこはわざとなのでお気になさらずに。気になったならもうそこは諦めてもうらうしか……

ともあれ次回で点蔵とかその他の動きを書いて……うーーん海戦に入るのは二話、三話先になるのかなぁ。
ともあれ次回もよろしくお願いします!!
感想も出来るだけお願いします! それがやる気の源なので!

PS
外伝に関しては申し訳ない! 相棒を焚き付けているけど野郎、クネクネしてインマウスになってオリジナルヒャッハーやっているのでホライゾンやる気を出すのが難しい!
そろそろ一年放置してしまうのでやって貰いたいんですがねぇ(チラっ)


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。